IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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この小説を始めてもう少しで半年……。

ようやくここまできました。


116話

「だからぁ、私にはわからんのだぁ!む……ビールおかわり!」

 

 

私……ルカの目の前で愚痴を吐きながら、ジョッキのビールをすごい勢いで飲んで行くクラリッサ。

 

この子、日本に行く前はこんなに飲む子だったっけ……。

 

 

「ドイツにいる頃は、自分でも言うのもなんだが、将冴とは一番仲の良かったと思っていた……今だって、一緒に住んでいる。でも、将冴は私を頼ってくれない、本心を見せてくれない!」

 

「あぁ、そうね。将冴君はあまりそういうの口にするタイプじゃなさそうだし……」

 

「そうなのだ!それなりに長く一緒にいるのに!」

 

「うんうん、頼ってくれないのは辛いわね。あ、ビールきたわよ」

 

「うむ……」

 

 

クラリッサはジョッキの掴みグイッとビールを流し込んでいる。あぁ、そんなに飲んだら……。

 

 

「ぷはぁっ!おぃ、りゅかぁ〜。お前はどう思うぅ?」

 

「どう思うって言われてもねぇ」

 

「わらしらって、こんな……うむぅ……」

 

 

クラリッサの瞼がゆっくりと閉じ始め、そのまま船を漕ぎ始めた。

 

 

「ちょっと、クラリッサ!」

 

「……しょうごのこと……こんなに、おもって……すぅ……」

 

「あちゃー、寝ちゃったか」

 

 

全く、本当に面倒なんだから。

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

夜。

 

部屋で1人、考えをまとめていた。

ダイモンのこと、両親のこと、これからのこと。

 

今ここでベストな答えを出せるとは思っていない。

 

1人で考えるのには問題が大きい。リョーボさんの言う通り、打ち明けられる人を……。

 

と、考えていると、部屋の扉が開いた。

クラリッサが帰ってきたのかな?

 

 

「お邪魔するわよぉ〜」

 

 

入ってきたのはルカさんだ。

 

 

「ルカさん……と、クラリッサ?」

 

 

グッタリとしているクラリッサをルカさんが担いでいた。お酒の匂いがするっていうことは……酔いつぶれたってこと?

 

 

「将冴君、クラリッサのベッドどこ?」

 

「あ、こ、こっちです」

 

 

ベッドまで案内すると、ルカさんはクラリッサをベッドに寝かせた。

 

 

「ふぅ、疲れた」

 

「今日、飲んできたんですか?」

 

「ええ、クラリッサの愚痴でも聞いてあげようと思ってね」

 

「愚痴……ですか……」

 

 

僕のせい……かな……。

 

 

「結構溜まってたみたいだったからねぇ。たまに吐き出させたほうがいいわよ」

 

「あぁ、はい……」

 

「それじゃあ、私は部屋に戻るわね。クラリッサの介抱よろしくね」

 

「え、あ、ちょっ」

 

 

ルカさんはさっさと部屋を出て行ってしまった。

 

いやまぁ、介抱は別にいいんだけれども……

 

 

「着替えとかどうすればいいんだ……」

 

 

僕が着替えさせるわけにもいかないし。

 

はぁ、起こすしかないか。

 

 

「クラリッサ、服が皺くちゃになっちゃうよ」

 

「うぅん……もう飲めない……」

 

「ぷっ、ふふふ。なんてベタな寝言を……」

 

 

なんだか、さっきまでいろいろ考えていたのが馬鹿らしくなってきた。

仕方ない、このまま寝かせておこう。

 

僕も寝よう。さすがに疲れた……

 

 

「って、あれ?」

 

 

立ち上がろうとすると、服の裾を引っ張れた。

見ると、クラリッサが僕の服を掴んでいる。

 

 

「クラリッサ、離してくれないとベッドに……」

 

「どこにも……行かないでくれ……」

 

「……」

 

 

はぁ、卑怯だよクラリッサ。

 

寝言でそんなこと言われたら、その通りにするしかないじゃないか。

 

 

「一緒にいるよ、クラリッサ。ずっと一緒に……」

 

 

僕はクラリッサのベッドに入り、添い寝するように寝転がる。

 

 

「大好きだよ。クラリッサ」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

目が覚めると、目の前に将冴の寝顔があった。

 

え、なにがあったんだ?昨日はルカと飲んでいて……途中から記憶がない……。まさか、酔った勢いで……

 

これは今すぐに離れたほうがいいのか?

それとももう少し堪能したほうが……

 

 

「う、ん……」

 

 

もぞもぞと将冴が動き始め、目を開けた。

 

 

「あ、クラリッサ……」

 

「しょ、将冴……これは……その……」

 

「クラリッサ、今日何かある?」

 

「いや、予定はないが……」

 

「そっか……それじゃあ、もう少しこのまま寝ようか」

 

「へ?」

 

 

将冴は私の首に手を回し抱き寄せた。

え、いや、将冴がこんな、こんな!?

 

 

「ふふ、クラリッサドキドキしてるね」

 

「こ、こんなことされれば……ドキドキもする……」

 

「そっか。じゃあ、しばらくドキドキしてもらおうかな」

 

 

将冴に何があったんだ!?




将冴君が「甘える」を覚えた。

将冴の気持ちの切り替えが上手すぎる気がするが、作者の文章スキルだとこれが限界だった……。
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