IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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隔日更新みたいになってしまいもうしわけありません。
多忙やら体調不良やらでダウンしてます。

楽しみにしていただいていた方には本当に申し訳ありません。


118話

 

僕の作った昼食を食べ終わり、僕とクラリッサはデートに出掛けた。

 

昨日と同じように、僕は義足だけつけて隣を歩く。

 

だけど、クラリッサと僕の間には少し間がある。

 

 

「……」

 

 

クラリッサはさっきから押し黙ったままだ。

 

これじゃデートなんて言えない。

 

……デートの最後で言おうと思ってたけど、もう話したほうがいい。

 

 

「ねぇ、クラリッサ。歩きながらでいいから昨日の話を聞いてくれる?」

 

「っ、ああ」

 

「まずは、謝らせてほしい。昨日は、八つ当たりみたいなことをして、クラリッサに迷惑かけてごめん」

 

「いや、それは別に気にしていない……昨日の男は一体誰なんだ?」

 

「……あの人は、『ダイモン』って名乗ってた。僕も詳しいことはわからないけど……僕と両親を誘拐したあのテロリストは、ダイモンがけしかけたって言ってた」

 

「なっ……」

 

 

クラリッサが立ち止まり、驚愕の表情を浮かべる。

当たり前だ。僕とクラリッサが出会ったきっかけの事件が、ダイモンのせいで起こっていたんだから。

 

 

「だが、あそこにいたテロリストは何も!」

 

「利用されていたんだと思うよ。詳細はわからないけど。両親の研究していたバーチャロンを自分のものにしようとしていたんだって」

 

「そんな……」

 

「……そこのベンチ座ろうか」

 

 

歩きながら話すことではなかったかな。

僕は近くのベンチに座る。クラリッサも僕の隣に腰を下ろした。

 

 

「将冴、その話は……」

 

「昨日ダイモンから聞いた。真実かどうかはわからないけど、嘘は言ってないと思う。それに、ダイモンはクラス対抗戦での襲撃、ラウラのVTシステム、福音の暴走……すべて関与しているって」

 

「ここ最近の事件のすべてに……」

 

「それ聞いて、僕かーっとしちゃってさ。クラリッサが来てくれなかったら、スペシネフで暴れていたかもしれない。ありがとう」

 

「いや、礼を言われるようなことは……」

 

「ううん、クラリッサがいてくれたから、何事もなかったんだ。それなのに、僕はクラリッサに酷いことを……」

 

「将冴……」

 

「本当にごめん」

 

 

昨日はどうかしていたとか、そんなことは言わない。

完全に僕が感情を抑えられずに当たり散らしただけだ。

 

だから、精一杯の謝罪。

 

 

「私は……」

 

 

クラリッサが小さくこぼす。

 

 

「あんなくらいで、どうも思ったりはしない。確かに、将冴にあんなことを言われたのは初めてだし、少し驚いた……」

 

「……」

 

「でも、理由がどうであれこうして将冴が全部話してくれたのが嬉しい」

 

「え……」

 

「私は、将冴のことがわからなくなっていた。いつも何かを内に秘めて、私に話してくれない。本心を表に出さない。……不安だった。なんで私よりも年下の将冴が、こんなにも、と……」

 

 

……クラリッサの言うとおりかもしれない。

ドイツに来る前に、一夏の家でみんなと話している時も、言われた。

 

 

『あまり本心を見せないし』

 

『何を考えているかわからない』

 

 

僕自身、気をつけていたわけではない。

自然と、感情を閉じ込めていたのか……。

 

 

「……変な話だな。将冴に怒鳴られたことが、私は嬉しかったんだ」

 

「……そっか」

 

「他に、話すことはあるか?」

 

「ううん。昨日の話は、これで全部。僕が、クラリッサに謝りたかった……それだけだよ」

 

「うん。……私も、謝らなければな。今日はよそよそしい態度を取ってしまってすまない」

 

 

クラリッサが僕の方を向き、頭を下げた。

 

 

「クラリッサが謝ることはないよ。僕がはっきりしないからで……」

 

 

クラリッサに頭を上げるように促す。

 

 

 

「いや、それでも私は」

 

「必要ないよ」

 

「しかし」

 

 

と、クラリッサが頭をあげたところで、お互いの顔が目の前にあることに気づいた。

 

途端に気恥ずかしくなる。

でもそれより……

 

 

「ぷっ、ふふ」

 

「ふ、くく」

 

「「アハハハハハハ」」

 

 

お互いに謝りあうのが可笑しくて、吹き出してしまった。

 

 

「ふふ、なんかもうどうでもよくなっちゃった」

 

「ああ、そうだな」

 

「それじゃあ、こんな話はもう終わらせて……」

 

 

僕は立ち上がり義手をつけ、クラリッサに手を差し伸べた。

 

 

「デートの続き、してくれる?」

 

「ああ、もちろん」

 

 

クラリッサが僕の手を取り、手をつないだままデートを再開した。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「楽しかったね、クラリッサ」

 

 

すでに夜は更け、僕とクラリッサは寮への帰り道を歩いていた。

 

義手をつけていないので、袖が風で揺れる。

 

 

「ああ。こうして遊んだのは、1年前以来だろうか」

 

「そういえば、ここだったっけ。あの時の帰り道も」

 

 

クラリッサに告白された、あの場所だ。

 

 

「そ、そうだったな……」

 

 

クラリッサが少し口籠もりながらも答えてくれる。

……言うなら今かな。

 

僕は足を止め、義手をつけてポケットから昨日買った緑の石があしらわれたネックレスを取り出した。

 

 

「クラリッサ、少しじっとしててくれる?」

 

「え?」

 

 

クラリッサの背後に回り、後ろからクラリッサの首にネックレスをつけた。

 

 

「これって……」

 

「僕からのプレゼント。貰ってくれるかな?」

 

「え、いや、どうして……私は誕生日でもないのに……」

 

「クラリッサに似合うと思って。それじゃ、ダメかな」

 

「いや、ダメではない!……すごい嬉しい……」

 

 

良かった。気に入ってもらえたようだ。

 

僕はクラリッサに後ろから抱きついた。

 

 

「しょ、将冴!?何か……」

 

「ねぇ、クラリッサ。1年前の返事、してもいいかな?」

 

「っ……あ、ああ」

 

 

クラリッサの鼓動が早くなっている。

多分、僕も……。

 

 

「クラリッサ。僕は、クラリッサのことが……

 

 

大好きだよ」

 

 

言った。心臓がドクドク鳴ってる。

 

 

「……」

 

 

クラリッサは無言のまま僕の手を解き、僕の方を向き、そのままキスされた。

 

 

「んっ……」

 

 

おそらく時間にして10秒くらいだけど、すごく長く感じた。そして、ゆっくりと唇を離した。

 

 

「……はぁ。私の気持ちは、あの時から変わらない。私は、将冴の嫁だ」

 

「ふふ、それはまだでしょ。僕の彼女さん」

 

 




……ふぅ。

ご愛読ありがとうございます。
これにて、IS〜偽りの腕に抱くもの〜完結でござi(ry


嘘です。まだ続きます。
とりあえず、大きな問題が片付いたというところですかね。

さて、今日も引き続き、原作キャラの変更点を。
今回は千冬です。

織斑千冬

原作と変わらず、世界最強のブリュンヒルデ。
原作との大きな違いは、家事ができるようになったこと。
これも将冴が粘り強く教え込んだおかげ。
そして、将冴に対しては全面的に甘い。将冴に一度も出席簿アタックをしていない。
弟である一夏は、今の千冬を見て「なんか今まで見たことないような表情で将冴を見ている」と語ったとか。
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