IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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どんどん糖分上げていけるように頑張ります。

ドイツ編、まだ続きます。


119話

 

お互いに気持ちを確かめ合い、お互いになんだか気恥ずかしい感じがしながらも、手をつないで寮に帰った。

 

その時、運悪く……と言っていいのかわからないけど、おそらく夕食を食べに行こうとしているラウラとルカさんに鉢合わせた。

 

 

「あ、ラウラにルカさん……」

 

「兄さん、帰ってきたのか。今日は車椅子ではないのか?」

 

 

ラウラはいつも通り……だけど……

 

 

(ニタァ……)

 

 

ルカさんの顔がエライことになってる。

そりゃそうだ。手を繋いで寮に帰ったら、ルカさんならすぐにわかる。

 

多分見られてなくてもわかる人だ、ルカさんは……

 

 

「将冴くぅ〜ん?クラリッサのこと借りてもいいかなぁ?」

 

「る、ルカ……顔が怖いぞ」

 

 

クラリッサが僕に助けを求めるような目で、僕を見てくる。

 

今のルカさんは、拒否しても押し通されるだろう……拒否すれば……。

 

 

「それはいいんですけど……」

 

「しょ、将冴!?」

 

「クラリッサとご飯食べた後でいいですか?」

 

 

堂々とそう言うと、ルカさんは目をキョトンとさせた。

 

ラウラは何が起こっているのかわからず、頭にハテナを浮かべ首を傾げている。

 

 

「返答がないので、肯定ということにしておきますね。行こ、クラリッサ」

 

「あ、ああ」

 

 

僕はクラリッサの手を引いて食堂に向かった。

 

 

「……ルカ。兄さんとクラリッサは、何かあったのか?」

 

「ふふ、ふふふ。やるわね、将冴君……」

 

「おい、どうした……」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

クラリッサと2人で向かい合って夕食を食べていると、何やら周りから視線が突き刺さる。

 

 

「ねぇ、なんかあの2人……」

「雰囲気変わったというか……」

「もしかして……」

「いや、もしかしなくても……」

 

 

そんな声が聞こえる。

あはは、もうバレてる……

 

 

「将冴、どうした?」

 

「ううん、なんでもないよ。……そうだ、今度2人で夕食に行こうよ。ここだと落ち着かないし」

 

「え、あ、そ、それは……またデートの誘いということでいいのか……?」

 

「うん、そうだよ?」

 

「うっ……そうはっきり言われると、照れくさいな」

 

 

顔を赤くし、モジモジとそう呟くクラリッサ。

ふふ、可愛いなぁ、本当に。

 

 

「まだ実感ない?」

 

「その……1年前から、こうなることを待っていたから……いざそうなると落ち着かない」

 

「まぁ、僕も似たようなものかも……初めての彼女だし」

 

「そうなのか?」

 

「そうだよ?」

 

「そうか……私が初めて……」

 

 

さっきよりも頬を赤くして、嬉しそうに呟いている。

 

ああ、本当に……恋人同士になるとどうしてこう愛おしくなるのか。

 

 

「ねぇ、聞いた?初めてだって」

「初夜?今夜が初夜?」

「クラリッサが上に?」

「いや、将冴君が意外と獣の様に……」

 

 

女性だけのコミュニティーだと、こうも大っぴらに話をできるものなのかな……?

 

そうこうしているうちに夕食を食べ終わる。

やっぱりリョーボさんの作るご飯は美味しい……

 

 

「将冴君食べ終わった?クラリッサ借りてくわね!」

 

「え、ルカ!?」

 

 

どこから現れたのか、ルカさんがクラリッサの背後に……。

 

 

「皆の者、であえ!」

 

 

ルカさんが叫ぶと、食堂にいた人たちがガタッと立ち上がり、クラリッサを取り囲んだ。

 

 

「な、なんだお前たち!?やめろ、触るな!」

 

「連行しろ!」

 

『イエス、マム!』

 

 

クラリッサを羽交い締めにして、どこかへ連れ去ってしまった。

 

いや、もうポカーンだよ……。

 

 

「じゃあ、将冴君。クラリッサ借りてくわね。あ、ちゃんと返すから大丈夫よ」

 

 

ものすごくいい笑顔でルカさんも後を追った。

 

これ、助けに行ったほうがいいの?

 

 

「まったく、騒がしい子達だね」

 

「あ、リョーボさん」

 

 

キッチンの方から、リョーボさんが出できて、さっきまでクラリッサが座っていた席に座った。

 

 

「まぁ、女の軍人に男ができるっていうのは、少し珍しいからね。あの子たちは、ISの特殊部隊っていう、近づき難い立場でもあるし」

 

「あぁ、なるほど……」

 

 

なんとなく納得できてしまった。今の女尊男卑の世界では、あり得る話か……。

 

 

「見つけたのかい?なんでも話せる人は」

 

 

昨日のことか。

 

……うん、今ならはっきりと言うことができる。

 

 

「はい、見つけました」

 

「そうかい。おめでとさん。恋人ができたことにも、ね」

 

「ありがとうございます」

 

 

リョーボさんには、本当に感謝してもしたりないな……。

 

 

「兄さん」

 

「うわっ、ラウラ!?」

 

 

いつからいたのか、僕の隣でラウラが立っていた。

 

 

「クラリッサが恋人になったのか?」

 

「う、うん……」

 

「そうか……なら、あまり兄さんには近づかない方がいいのだろうか……」

 

「え?どうして?」

 

「兄さんとクラリッサの時間を邪魔してしまうではないか」

 

 

この妹は……なんとも嬉しいことを言ってくれる。

でも、僕としても、そんなことは望んでいない。

 

 

「ラウラ。そんなの関係ないよ。ラウラは僕の妹なんだから」

 

「し、しかし……」

 

「気にしないの。いつもみたいに、僕を助けてよ。ね?」

 

「兄さん……」

 

 

ラウラが目を潤ませる。

ふふ、世話の焼ける妹だな。

 

 

「そうだ、シャルロットにも伝えなければ!シャルロットも兄さんの妹だからな!」

 

「あ、ちょっと待って!」

 

 

僕の言葉を聞く前に、ラウラは自室に向って駆け出していた。

 

あぁ……シャルに知られると面倒なのに……。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

夕食の後片付けを手伝って、部屋に戻りベッドに倒れこんだ。

 

頭が痛い……義肢を付けすぎたかな……。

こういう時はさっさと眠るのが一番なんだけど、クラリッサが帰ってくるのを待って……

 

 

「ただいま……」

 

 

ゆっくりと扉が開いて、クラリッサが疲れた顔をして入ってきた。

 

まぁ、強引に色々聞かれたんだろうなぁ……。

 

僕は体を起こし、ベッドの淵に座った。

 

 

「おかえり、クラリッサ。お疲れだね」

 

「うむ……今日あったことを根掘り葉掘り、な。あ、ダイモンのことは言ってないぞ」

 

「うん、ありがとう。でも、さすがに隠しきれるほど、小さな問題じゃないよね」

 

「そうだな。今までの事件の黒幕となれば、IS学園にも報告をしなければ……」

 

 

クラリッサの言う通りかもしれない。

 

でも……

 

 

「……いや、IS学園にはまだ伝えない」

 

「え、しかし!」

 

「束さんから、話を聞いてからでも遅くないと思う。それに、ダイモンは僕を狙っている気がする……僕がIS学園から離れていれば、襲撃される可能性は低いと思うんだ」

 

「そうかもしれないが……」

 

「大丈夫、IS学園には伝えないけど、ラウラには伝えるつもり。昨日の襲撃の件もあるからね。まぁ、ラウラにもあまり口外しないように言うけど」

 

「だが、ダイモンを早く捕まえたほうが……」

 

「……多分だけど、束さんもダイモンを追ってる」

 

「篠ノ之博士が?」

 

 

確信ではないけど、そんな感じがする。

 

それに、オータムさんも……。

 

 

「うん。あの束さんが、今も捕まえられずにいるダイモンを、僕らが捕まえることはできないと思う」

 

「そうか……」

 

 

まぁ、これ以上考えても、いい答えは浮かばないと思うし。

 

 

「まぁ、今考えても仕方ないよ。今日は休もう?」

 

「そうだな」

 

「一緒に寝る?」

 

「え!?」




付き合いたてでドギマギするクラリッサ可愛い。
まじ可愛い。

さて、今回の原作キャラはラウラです。


ラウラ・ボーデヴィッヒ

原作と違い、千冬と会う前からそれなりの実力と自信を持っている。
ヴォーダンオージェの拒絶反応に悩まされはするものの、自力で克服している。
また、原作では一夏に嫁宣言をするが、今作では将冴の妹に。
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