クラリッサが出たら全部投入します。待ってますからね(威圧
「くっ!」
同時に迫る8本のビームを横に飛びながら躱す。
それでも全て躱せるわけない。
右足と左手をビームが掠めた。少しシールドエネルギーが減ってしまう。
「同時に攻撃されるのは苦手みたいね。今のくらいは無傷でくぐり抜けれると思ったんだけど」
「ちょっと予想外の攻撃でね。でも、どう戦えばいいかはわかった」
「なんですって?」
「ここからは僕のターンだよ。『アファームド』」
音声認識でアファームドを呼び出す。両手にはサブマシンガンを展開している。
「形状が変わった!?」
「単一能力とでも思って。さぁ、行くよ!」
サブマシンガンをジェニファーに向けて掃射する。
ジェニファーは装甲脚で体を守る。うん、やっぱり。
最初の近接戦、僕が苦し紛れに撃ったエネルギー弾、さっきの砲撃。おそらくジェニファーは装甲脚に依存し、戦闘の全てを任せている。
タイプとしては、セシリアに似ているんだ。セシリアもブルーティアーズのBT兵器に頼る傾向があり、自身の動きが疎かになる。兵器の違いはあれど、対策的にはセシリアと同じでいいはずだ。
「このっ、ちまちまと!」
4本の装甲脚で自身を守りながら2本の装甲脚をこちらに向けてビームを放ってくる。
「砲門2つくらいなら、何の障害でもない!」
サブマシンガンを掃射しながら横に飛び退く。ここから、接近する!
受け身を取りながら、瞬時加速で一気に近づく。
「瞬時加速!?でも、真っ直ぐすぎるわよ!」
瞬時加速のため、サブマシンガンでの射撃は止んでいる。
ジェニファーは装甲脚全てをこちらに向ける。同時にビームを撃つ気なんだろうけど、同じ攻撃なら見切るの容易い。
「手数が多くても、攻撃が単調じゃ意味ないよ!」
僕はバーティカルターンで右に軌道を変える。
「なっ!?瞬時加速中で軌道が!?」
目に見えて狼狽えている。
でもまだ攻めどきじゃない。
そのまま連続してバーティカルターンを繰り返す。ジェニファーの周りをグルグルと回るように。
「なんでそんなことできるのよ!この、この!」
ジェニファーが装甲脚の砲門で狙いもつけずにビームを乱射し始めた。
いい感じに狼狽えさせられたかな。早く隙を見せて欲しい。長い時間、この状態を保持するのは僕の体が耐えきれない。今も、鼻から血が出てると思う。上唇から血の味が……。
すると、完全に僕を捉えられなくなったのか、ジェニファーが射撃を止めた。ここだ。
完全な死角になっている背後から一気に近づいた。
「なっ……」
「これで終わりだよ」
両腕のビームトンファーを展開し、振り下ろす。
「ぐあっ!?」
「まだまだぁ!」
そのまま前方宙返り。そして後ろから攻撃されたせいか、後ろに仰け反ったジェニファーの顔面に……
「ぐむぅ!?」
かかと落としをお見舞いした。
あぁ……やりすぎたかな?
『ジェニー、シールドエネルギー0。将冴の勝ちだ』
チーフさんのアナウンスとともに、ナターシャさんとステフがこちらに向かって走ってくる。
僕はISを待機状態に戻し、義肢を全てつけて地面に立った。あぁ……ナターシャさんとかティッシュ持ってないかな。
「ショウゴ!……って、大変血塗れじゃない!は、ハンカチを」
僕の顔を見たナターシャさんがポケットからハンカチを取り出し、僕の鼻にあてた。
「な、ナターシャさん。ハンカチと手が汚れちゃいます!」
「いいのよ安物なんだし!」
いいんですか……。
「ジェニー、大丈夫?」
ステフは地面に倒れたままのジェニファーの顔を覗き込んでいる。すでにISは待機状態に戻したようだ。
……流石に、女性の顔面にかかと落としはなかったよね。
「……私、負けた。あんな貧弱そうな男に」
「もう、まだそんなこと言ってる!私から見ても、ショウの方がジェニーよりもすごかったよ。いい加減認めなよ」
「でも、車椅子なのよ!?そんな奴……に……」
僕の方を見たジェニファーが目を見開いた。
ああ、そういえば今義足つけてた。
「なんで立ってるのよ!」
「本当だ。ショウ足あったんだね!」
「その言い方は何か引っかかるんだけど」
この反応も、なんだか懐かしい。
「ジェニー。もう車椅子っていうのは使えないね」
「うう、でも貧弱そうなのは変わらないでしょ!」
「ちゃんとショウの体見た?」
「え?」
ジェニファーの視線が僕のお腹の方に移動していく。
あのぴっちりしていることで有名なISスーツのせいで、僕のお腹は見事に丸見えだった。
「……」
まさに、開いた口が塞がらない状態のジェニファー。
その様子を見たステフも、僕の方を見ながら、ジェニファーの肩に手を置いた。
「私もさっき気づいたけど、ジェニーは全てにおいてショウに勝ててないよ」
「うぅ……」
悔しそうな目を僕に向けられても……。
「ふふ、ショウゴの腹筋は芸術的ね」
「あの、そんなに触らないでもらえますか、ナターシャさん」
「あら、いいじゃない。ほらほら〜」
「あ、や、ちょっ!?」
ナターシャさんが執拗に僕のお腹を撫で始める。
いや、慣れてるけど、これ以上はクラリッサに顔向けできなくなる!
「二人とも、ご苦労だったな」
「チーフ!」
訓練場に降りてきたチーフさんを見て、ジェニファーが急いで立ち上がり敬礼した。僕も見よう見まねで敬礼をする。……ハンカチで鼻を抑えながら。
「楽にしろ」
そう言われ、敬礼を解く。
「ジェニー、満足したか?」
「……」
ジェニファーはまだ悔しさが顔に出ている。
「試合してわかっただろうが、将冴はジェニーよりも強い。今日、それを痛感できただろう。これを糧に、明日以降の訓練に取り組め」
「はい……」
「将冴。いい試合を見せてもらった。が、明日からの訓練では無茶をするな。その鼻も、無茶したせいだろう」
「はい。すみません……」
いろんな人に口すっぱく言われ続けたことを、今日あったばかりの人にも言われてしまった。
むぅ……今日のは無意識にやってしまったから、無茶というわけではないのだけど……。
「では今日はこれで解散だ。明日、遅れるんじゃないぞ」
「「「はい!」」」
僕、ジェニファー、ステフの声が重なった。
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チーフさんに解散と言われた後、ジェニファーはさっさとどっかへ行ってしまい。ステフは僕に一言「ごめんね」と言い残し、ジェニファーを追っていった。
僕はナターシャさんと基地を出た。
「さ、私の家に行きましょう。ショウゴ、疲れたでしょう?」
「本当に、ナターシャさんの家に泊まるんですね……」
「そうよ。だって、軍の寄宿舎なんて汚くて男臭くて、ショウゴがいていい場所じゃないわ」
いや、一週間くらいならそれで構わないのだけれど……。
「それとも、私と住むのは嫌?」
正直、あまり乗り気ではないのだけれど、ナターシャさんの好意を踏みにじるのは……。
「いえ、嫌ではないです」
「そう、よかった!」
はぁ……クラリッサに知られたらと思うと、気が重い。
もう夕方……ドイツはもう夜かな。クラリッサの声が聞きたい。
「何か、考え事?」
「え?」
「難しい顔してる。何か困ったことがあるなら、なんでも言って」
そんな顔をしていたか……。別に困っているわけではない。完全に惚気だ。
「いいえ、なんでもないです。さ、行きましょう」
「……ええ」
ナターシャのキャラが迷子に……。
大丈夫、書きなれてないだけ……多分。