IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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日付変わってしまいましたが、更新です。

やや話が停滞気味。

今回は少し話を進めようかと思います。


133話

 

「ほら、ナタル。自分で立てよ」

 

「イーリぃ……もう一軒行くわよ、もう一軒!」

 

 

バーでしこたま飲んだナターシャさんが、イーリスさんの肩にもたれ掛かりながら、ハシゴすると大声をあげた。

 

ナターシャさん、酒飲んだらこうなるんだなぁ……。

 

 

「ああ、こりゃもうダメだな。坊や、ナタルのことは私に任せて、家に帰んな」

 

「え、でも……」

 

「いいから、私は慣れてっからよ。えっと、確かここに……」

 

 

イーリスさんがナターシャさんの服のポケットに手を突っ込み、なにやらガサゴソと何かを探している。

 

 

「あんっ、イーリのエッチ」

 

「変な声出すなよ……あった。ほれ、家の鍵。道はわかるよな?」

 

「え、ええ……」

 

「上出来。まっすぐ帰るんだぞ。ほら、付き合ってやるから、行くぞナタル」

 

「さっすがイーリ!話がわかるじゃない……あれぇ?ショウゴは?」

 

「お子様は帰る時間だ。ほら行くぞ」

 

「嫌よ嫌よ、ショウゴが居ないんじゃ嫌よぉ〜!」

 

「文句言うな。ほらさっさと歩けって」

 

 

イーリスさんはナターシャさんを連れて次の店に向かっていったようだ。

 

まぁ、未成年だし、夜間の外出は避けたほうがいいか。明日も訓練あるし。

 

っと、そうだ。クラリッサから連絡来てるかもしれない。携帯、携帯……。

 

 

「メール3件……クラリッサとラウラ、それに千冬さんから?」

 

 

とりあえず、千冬さんからのメールを見てみよう。

 

 

『件名:無題

忙しいところすまない。

留学の状況を聞きたくて連絡した。いつでもいいから、返信してくれ。』

 

 

まぁ、担任だし、留学ともなると心配だよね。

これは家に帰ってゆっくり返信しよう。

 

次はラウラからのメールだ。

 

 

『件名:そちらは大丈夫か?

兄さん、そっちでは何か問題は起きていないか?

何かあれば、シュバルツェ・ハーゼを派遣するからいつでも言って欲しい。

それと、シャルロットが随分怒っていたぞ。兄さんに待ちぼうけをくらったと愚痴ってきた。兄さん、シャルロットに何かしたのですか?』

 

 

ハーゼを派遣するって、そんなことまで考えなくていいのに……ていうか、シャルがそんなこと言ってたのか。日本に帰った時怖いなぁ……。

 

とりあえず、こっちは大丈夫って連絡しておこう。シャルのことも気にしなくていい……っと、送信。

 

夜遅いし、返事が来るのは明日かな。

 

最後にクラリッサのメール……

 

 

『件名:大事ないか?

そっちは忙しそうだな。

こっちは特になにもなくて暇を持て余してる。

訓練は大丈夫か?

昨日言っていた、代表候補生とは仲良くなれたか?

ナターシャ・ファイルスに変なことはされてないか?

将冴のことが心配でたまらない。

いつでもいいから連絡してくれ。

待ってる』

 

 

……

 

僕はすぐにクラリッサの番号を呼び出した。

 

1コール……2コール……3コール……

 

 

『将冴!』

 

「クラリッサ、メールありがとう。今大丈夫だった?」

 

『ああ、大丈夫だ』

 

「もうそっちは日付変わっちゃったよね……ごめん、こんな時間に」

 

『ううん、なかなか寝れずにいたから気にしないでくれ』

 

 

クラリッサの声……1日聞かなかっただけなのに、こんなに恋しくなっている。

 

 

『そっちは大丈夫か……って、昨日も聞いたな』

 

「そうだね。でも……」

 

『でも?』

 

「……ちょっと、愚痴ってもいいかな?」

 

『うん、いいぞ』

 

「今日、訓練でね……」

 

 

人生初かもしれない。誰かに愚痴をこぼすのは……。

 

 

「ハッターさんっていう人と……」

 

 

こんなに自分の気持ちを、晒け出すのは……。

 

 

「その後の訓練で、変なミスばっかりして……」

 

 

リョーボさんが言っていたことを、今、本当に理解した気がする……。

 

 

「僕、情けなくって。これじゃあ、ジェニファーに言われた通りだと思っちゃったよ。本当に貧弱だなぁって」

 

『……そんなことはない』

 

「え?」

 

『将冴が貧弱なんて思わない。VTシステムや、福音の時だって、将冴がいなければどうなっていたかわからない。それはみんなが知っている』

 

「クラリッサ……」

 

『だから、自分を落とすようなことを言わないでくれ……』

 

「うん……ありがとう、クラリッサ」

 

 

ふふ、クラリッサには敵わないな……。

 

はぁ……なんだか吹っ切れたかも。

 

 

「ごめんね、クラリッサ。愚痴なんか聞かせて」

 

『役に立てたなら良かった。……明日は?』

 

「今日と同じ、訓練の1日だよ」

 

『そうか……怪我しないようにな。また愚痴も聞いてやる……全部話してくれ。恋人なんだから』

 

「うん。わかった」

 

『……さすがに、もう遅いな。明日も早いだろう?早く休んだほうがいい』

 

「そうする。おやすみ、クラリッサ」

 

『ああ、おやすみ』

 

 

ゆっくりと通話を切り、少し携帯を眺めた。

 

うん、すっきりした。

 

 

「恋人か」

 

「えっ!?」

 

 

背後から声をかけられた。聞き覚えのある声……この声は……。

 

 

「一週間程度しか経っていないが、随分と手の早いことだ。相手は、あの時私を撃ってきた女か?」

 

「ダイモン……」

 

 

僕の周りで起こる事件の黒幕……仮面の男。なんでここに……

 

 

「ふふ、随分と怖い目をする。それにしては、冷静だな」

 

「どうしてここに……」

 

「君のことを知りたくてね。迷惑だったか?」

 

「すごく迷惑だ」

 

「当たり前か。まぁいい。今日は君に危害を加えに来たわけではない。忠告をしに来た」

 

 

……胡散臭いことを言う。

 

 

「とても信じられるものじゃないんだけど」

 

「信じるも信じないも、君の自由だがね。まぁ、君の意思に関係なく喋らせてもらう。明日、テロリストがこの近くを襲撃する。気をつけたまえ」

 

「なんでそんなことを知って……」

 

「私が焚きつけたからさ。力も与えた。ドイツのように、簡単にはいかない」

 

 

そう言うと、ダイモンは僕に背を向けた。

またいなくなるつもりか!

 

 

「待て!」

 

「せいぜい頑張りたまえ。そして、今度こそ私に負の力を見せてくれ」

 

 

以前のように、ダイモンは揺らぎ、夜の闇に溶けていった。

 

……堂々と犯行予告か。

 

軍に伝えた方がいいか……でも、これは僕の……

 

 

「はぁ、違うだろ」

 

 

僕の問題だけど、もう一人で抱え込まない。

……今から誰かに連絡するのも難しい。明日、朝一でナターシャさんやチーフに伝えよう。

 

 

「好きにさせない……」




これからどんどん事件に巻き込まれていくだろうと思います。

それと、キリのいいところ……夏休み終了頃まで書いたら、更新お休みさせていただきます。

お休み、と言っても一週間ほどですので、すぐに戻ってきます。

少し執筆から離れて静養したいと思います。
誠に勝手で申し訳ありませんが、ご理解いただければと思います。
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