そのあとは束編か……目の前が真っ暗になりそう。
まぁ、どうにかなるはず……はず……
少し駆け足で話を進めたいと思います。
アメリカに来て4日目。
午前中のハッターさんとのスパーリングを終え、昼食を取ろうと食堂へ続く廊下を歩いていると、後ろから声をかけられる。
「ショウ!」
振り向くと、こちらに小走りで駆け寄ってくるステフとジェニーの姿があった。
「ステフ、ジェニー。お疲れ様」
「ショウもお疲れ。前みたいに動けなくなるってことはなくなったみたいね」
「うん、少しペース落としてもらったから。今日は決め技の練習だけだったし」
「ああ、襲撃の時に叫びながら放ってたやつ?」
しっかりジェニーに覚えられていた。
でも、今日練習してわかったのだけれど、叫ばなければ本気で打てなかった。ハッターさんが、重要と言っていた意味がよくわかる。
「でも、よくついていけるね。ハッター軍曹のスパーリングはかなり厳しいって聞くけど」
「手加減してもらってるんだよ。じゃないと、僕だってすぐに倒れるさ」
「いやいや、あの体見ちゃうとその言葉は信用度低いよぉ〜?」
そう言われましてもね……。
小さい時から剣道で鍛えていたんだから、仕方ないというかなんというか……。
「その調子なら午後も問題なさそうね」
「うん。先日は迷惑かけちゃったから、今日はしっかりやらせてもらうよ」
「もうクレーター作らないでよね」
「善処するよ……」
一夏も授業で一回クレーターを作ってた気がするな……。
あまりISの操縦に関して、一夏に強く言えないかも。
「ジェニー、ショウ。早くランチ食べようよ。私お腹減っちゃった」
「僕もお腹ぺこぺこだよ」
「食べさせてあげようか?」
「ジェニーが食べさせるなら私も!」
「一人で食べれるから!」
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午後の訓練を無事に終えて、家に戻ると既に鍵が開いていた。ナターシャさん、帰ってきてるのかな。
「ただいま……」
「ショウゴォー!!」
「むぐう!?」
突然の抱擁。柔らかい感触が僕の顔を包み、息ができない。
「1日家を開けてごめんね。何も問題なかった?私はもう、心配で撮影どころじゃなったわぁ!」
「む、むぅ!?」
「あ、ごめんなさい!強く抱きすぎちゃった」
なんとか窒息死する前に解放されて、僕は一息ついた。
「ふぅ……お帰りなさい、ナターシャさん。お仕事、お疲れ様でした」
「ありがとう。ショウゴも訓練お疲れ様。ご飯にする?お風呂にするそれとも……」
「シャワー浴びてご飯が食べたいです」
「最後まで言わせてよ……イケズ」
どこでそんな言葉を覚えたんだ……アメリカでもそういう言い方するのかな?
とりあえず、シャワー浴びてこよう。
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ショウゴがシャワーを浴びに行っちゃった。
一緒に浴びようかと思ったけど、ショウゴにダメって言われるのはわかってるし、夕飯でも作りましょうか。
でも、ショウゴって性欲ないのかしら?結構誘惑してるつもりなのに、全部回避されて……ショウゴくらいの年頃なら、もっとお盛んだと思ったんだけど……。
「そういえば、ショウゴって彼女とかいるのかしら?」
そういえば気にしたことなかった。
……そうよ、IS学園なんて女の子の宝庫じゃない!毎日女の子あんなことやこんなことを……。
「って、ショウゴがそんなケダモノなわけないじゃない!それに、私には学生にはない色気だって……」
……色気があるはずなのに、ショウゴは反応しない……?
ますますわからなくなってきた。もしかしてショウゴってゲ……
ピリリリ
「きゃ!?け、携帯?」
テーブルに置いてある携帯の音に年甲斐もなく驚いちゃった。
あの携帯って……ショウゴのかしら?
勝手に出るのは失礼だし、ショウゴがシャワーから上がったら教えてあげましょう。
ピリリリ
ピリリリ
ピリリリ
「ダメ、やっぱり気になる!」
ショウゴには後でいっぱい謝りましょう。
相手は……クラリッサ?
確か、IS学園の教師にそんな名前の人が……。
留学という名目で来ているし、教師から連絡が来てもおかしくはないかしら。一緒に住んでいるし、私から挨拶しておいたほうがいいわよね?
私は通話ボタンを押して、携帯を耳に当てた。
「Hello」
『な……お前は誰だ?』
「失礼、ナターシャ・ファイルスです。ショウゴの宿泊先を提供している……」
『ナターシャ・ファイルスだと?なんでお前が将冴の携帯に……』
「ショウゴなら今シャワーを浴びてるわ。それで、一緒に暮らしているから、私からも挨拶をと……」
『一緒に暮らしているだと!?そんなこと一度も聞いていないぞ!』
聞いていないって、ショウゴ話してなかったのかしら?
「下宿先を提供しているんだけど……ショウゴから聞いていない?こっちにいる間は、私の家で一緒に……」
『聞いていない……ナターシャ・ファイルス。お前、将冴に変なことはしていないだろうな?』
「変なことって、私が留学に誘ったのに、そんなことするわけないじゃない!IS学園のほうからも、護衛を頼まれてるし……」
昨日は急な仕事でいなかったけど……。
『将冴に変なことをしたら許さないからな……』
「するつもりはないけど……」
一緒にシャワー浴びようとか、朝の処理を手伝おうとか、それくらいよ、うん。
「あなた、教師にしてはやけにショウゴのこと気にかけてるのね。ちょっと、一教師としては踏み込み過ぎじゃないかしら?」
『わ、私は!……その……』
なんか、途端に歯切れ悪くなったわね。
なんなのかしら、この教師。
『将冴のヘルパーも兼任している。心配するのは当然だ』
「あらそう。なら心配しないで、ショウゴのことは全部お世話するわ」
『そんなの信用できるわけ……』
「あ、そろそろ夕飯の支度しなきゃ。それじゃあ、ヘルパーさん。失礼するわね」
『ちょっ、まっ』
無視して電話を切る。
それと同時に、ショウゴがシャワーから上がってリビングに戻ってきた。
「シャワーあがりました。あれ、携帯鳴ってました?」
「ええ、IS学園の教師の人からよ。クラリッサって言っていたかしら?挨拶しておいたほうがいいと思って」
「え……」
ショウゴがなにやらマズイといったような顔をする。
あの教師といい、ショウゴといい、様子がおかしい。
「何か悪いことしたかしら?」
「い、いえ……ちょっと電話してきますので、携帯を……」
「ええ、はいどうぞ」
ショウゴに携帯を渡すと、すぐに電話をかけ始めた。
……もしかして……。
今作初の修羅場。
まさかナターシャと修羅場になるとは思わんかった←