IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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修羅場らばんば。

作者、修羅場とか書いたことなかったりします。

……がっかりさせてしまったら申し訳ありません。


143話

 

携帯のスピーカーから呼び出し音が響く。

 

マズイことになった。まさか、僕がシャワーに入っている間にナターシャさんが電話をとるとは思わなかった。こっちの人は、勝手に人の携帯にかかってきた電話を取ってしまうのかな……。今度からそこらへんに携帯を置くのはやめよう。

 

若干パニックになりつつあるのを自覚していると、電話がつながった。

 

 

『ナターシャ・ファイルス!!』

 

 

キィンと僕の鼓膜を震わせる大音量。

 

 

『さっきはよくも勝手に……』

 

「クラリッサ、僕だよ」

 

『……将冴だったか。いきなり怒鳴ってすまない』

 

「いや……それは大丈夫……」

 

『……』

 

「……えっと」

 

 

急いで電話したものの、なにを話せばいいのかわからない。

 

とりあえず……

 

 

「クラリッサ、ナターシャさんのこと黙っててごめん……」

 

『……』

 

「怒ってるよね……こんなこと黙ってたんだし……」

 

『ああ、怒ってる』

 

 

当たり前か……。

クラリッサは僕の恋人なのに、黙って違う女の人の家にお邪魔しているんだ。

 

こんなことになるなら、話すべきだった……。

 

 

『でも、私は将冴のことを信じている』

 

「え……?」

 

『話してくれなかったことは怒ってる……けど、信じてるから、これ以上はなにも言わない』

 

「クラリッサ……」

 

『でも、次からはちゃんと話してくれ』

 

「……もちろん、約束する。それと、日本に帰ったらちゃんとお詫びもする」

 

『いや、そんな詫びなんて……』

 

「僕がそうしないと気が済まないの。クラリッサのしたいこと、なんでも聞くから。なにしたいか考えておいて」

 

『わ、わかった……』

 

 

クラリッサはか細い声で返事してくれる。

そのあと、10分ほど話して通話を切った。

 

はぁ、一時はどうなるかと思った。今度からはクラリッサに隠し事はしないようにしよう。でも……

 

 

「僕のことを信じてる、か……」

 

 

改めて、クラリッサに惚れ直しちゃったな。

 

 

 

リビングに戻ると、すでに夕食の準備ができていた。

……まさかこの短時間でビーフシチューを作るとは……。

 

 

「あ、ショウゴ。電話は終わったの?」

 

「はい。何事もなく……」

 

「そう。さ、食べましょう」

 

 

テーブルにつき、手を合わせていただきますと言ってからビーフシチューを一口頬張る。

 

目の前でナターシャさんがこっちを笑顔で見ている。

 

 

「美味しい?」

 

「はい、とっても」

 

「よかった。……ねぇ、ショウゴ」

 

「なんですか?」

 

 

ナターシャさんが笑顔を崩さずに聞いてきた。

 

 

「クラリッサって教師、ショウゴの彼女?」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

将冴との電話を終え、私……クラリッサは椅子にもたれかかった。

 

信じると言ったが……実際は不安でしょうがない。

 

 

「ナターシャ・ファイルスに襲われたりしていないだろうか……将冴が彼女に手を出すのはまずあり得ないとは思うが……」

 

 

うう、考えないほうがいいのだろうが、どうしても悪い未来を考えてしまう……。こんなことなら、無理を言ってでもついていけばよかった……。

 

 

「はぁ……早く会いたいぞ……」

 

「意気消沈しているところ悪いんだけど、入っていいかしら?」

 

「る、ルカ!?」

 

 

いつの間にかルカが部屋の入り口に立っていた。

一体なにをして……

 

 

「将冴君と会えなくて、寂しがってるんじゃないかと思ってね。案の定みたいね」

 

「う、うるさい。茶化しに来たのなら出て行ってくれ」

 

「別にそんなつもりないわよ。で、何かあったの?」

 

「……なにもない」

 

 

嘘だ。

ルカに話すことでもない。本当に寂しいだけなんだ。

 

 

「あっそ。まぁ、いいけど。仕事に支障が出ないようにしなさいよ」

 

「ああ。それくらいわかっている」

 

「それと……」

 

 

ルカが私の肩をポンと叩く。

 

 

「女の嫉妬は醜いわよ」

 

「なっ!?」

 

「じゃあねぇ〜」

 

 

そのままそそくさと部屋を出て行ってしまう。

なんなのだ、今のは……。

 

 

「別に、嫉妬なんて……」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「クラリッサって教師、ショウゴの彼女?」

 

「はい、そうです」

 

「即答しちゃうのぉ!?」

 

 

事実ですし、これ以上隠してややこしくなるのは嫌ですし。

 

 

「僕はクラリッサと付き合ってます」

 

「明言しないでよぉ!悲しくなるじゃない!」

 

「今日みたいなことが起きないように明言しておいたほうがいいかと」

 

「うぅ……この遣る瀬無い思いはどうしたら……」

 

 

なんだか、申し訳ないことをしてしまっただろうか……。

 

なんとなく……ナターシャさんが僕に好意を寄せてくれているのは気づいていたけれども……。

 

 

「すいません、ナターシャさん」

 

「謝らないで。これは私の戦いなんだから」

 

 

戦いって、誰と戦ってるんだ……?

 

 

「いいわ、こうなったらあの教師から奪い取るまでよ……」

 

「……え?」

 

「というわけで、ショウゴ。今日は一緒の布団で寝ましょう!ショウゴが望むなら、裸でもいいわ!」

 

「全力でお断りします!」




短いし、そんなに修羅場でもないし……なんだこれ。

作者の限界。ドロドロとか荷が重いっす……。

次回、アメリカ編最後。
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