今回から束編。
頑張ります。色々と。
「ふぅ……」
長いフライトを終え、飛行機から降りると、僕は小さく息を吐いた。2週間ぶりに日本に帰ってきた。
……なんだか2週間以上日本から離れていた気がするけど……1ヶ月強……38話ぶり?
……僕は何を言っているんだ。ずっと座りっぱなしだったから疲れてるのかな。
荷物受け取りに行かないと。えっと、受取所は……
「あった。もう荷物を流しているみたいだ」
ベルトコンベアに乗せられた荷物が次々と流れてくる。僕のは……あった。
「よっ……重っ……」
多めに服とか色々詰め込んだからなぁ……とりあえず、膝の上において、邪魔になるからここを出よう。
車椅子を動かし受取所を出て、周りを見渡す。
束さんが迎えをよこすって言っていたけど……誰が来てくれるのかな。
束さんに連絡したほうが……
「おい」
「え?」
突然横から声をかけられる。
どこかで聞いたことある声……。
声のほうへ振り向くと、茶髪にスーツを着た女の人が……あ、この人……。
「もしかして、オータムさん?」
「もしかしなくてもそうだよ」
直接会うのはすごい久しぶりだ。あのショッピングセンターでのテロの時以来だから、2年ぶりか。
でも……
「どうしてオータムさんがここに?」
「篠ノ之束に命令されて来たんだよ。お前を迎えに行って来いってな。ったく、人使い荒いうさぎだぜ……」
そう愚痴をこぼすオータムさんに、僕はあははと苦笑いするしかなかった。
「ん」
と、オータムさんが右手を差し出してきた。はて、この手は……
「えっと……」
「荷物、持ってやるから寄越せって」
そういうことだったのか。ちゃんと口にして欲しいです……。
「いや、大丈夫ですよ。膝に乗せておけば、邪魔にならないですし……」
「いいから貸せって!ガキが遠慮なんかするな!」
オータムさんが奪い取るように僕の荷物を持ち、肩にかけた。そしてそのまま僕の後ろに回り、車椅子を押し始めた。
「お、オータムさん、自分でできますから……」
「ぐちぐちうるせぇな!黙って座ってろ」
怒られてしまった……。
何を言っても無駄な気がするから黙っていよう……。
それにしても、どこに向かってるのだろう。こっちは駐車場のほうかな?
「……」
「……」
「……」
「……」
「……だぁ、もう!なんか喋れよ!」
「え、だって黙って座ってろって……」
「たしかに言ったけど……もういい!……調子狂うぜ。ったく……」
どうしろというのか……差し障りない話題でも振ればいいのか……?
「えっと、スコールさんは一緒じゃないんですね」
「別件で違う仕事に行ってる。帰るのは明日って言ってた」
「そうですか……」
「……」
会話が続かない。とても気まずい……早く目的地に着かないものか……。
などと考えているうちに、駐車場に入り、一つの車の前で止まった。
「荷物、トランクに乗せてくるから、お前は乗ってな」
「あ、はい!」
僕はいそいそと義足をつけて、車椅子を拡張領域にしまうといういつもの作業をおこない、助手席に乗り込んだ。
オータムさんは荷物をトランクに乗せてから、運転席に乗り込む。
「シートベルトしめたな?」
「はい、この通り」
「1時間くらい移動する。少し寝てろ。時差ぼけしてんだろ」
「いえ、時差調整して飛行機で寝たので問題ありません」
むしろ、ここで寝てしまうと夜眠れなくなる。
「……そうか」
オータムさんはそう呟くと、静かに車を発進させた。
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ーー
車を発進させて分30分ほど経ったが……
「……」
「……」
気まずい。将冴と何話せばいいんだよ。
だいたい、なんで私がこいつを迎えに行かなきゃいけないんだよ。私は、あの時の電話のせいで会いたくなかったのに……。
『オータムさんって以外とおっちょこちょいなんですね。前にあった時とか男勝りな人だなぁという印象しかなかったんですが、かわいいところもあるんですね』
ああ、もう!思い出しちまった!
顔が熱い……。
かわいいなんて言われたことないから、なんて反応すりゃいいんだよ……。
「あの、オータムさん?」
「なんだよ!」
「あ、いえ……なんか顔が赤くなっているので、大丈夫かなと……」
「なっ」
しまった、見られてた……!
「なんでもねぇ!」
「そう、ですか?」
まずい、変に思われたか……?
今は運転に集中しろ……。
「オータムさん」
「今度はなんだ」
「オータムさんと束さんは、どういう関係で知り合ったんですか?」
……そこを聞いてくるか。私が話してもいいが、これはうさ耳博士から聞いたほうがいい話だ。
ていうか、今の私がうまく説明できる自信がない。
「ラボに着いたら話す。それまで我慢しな」
「……わかりました」
こいつ、妙に物分りがいいな。もっと追求してくる気がしたが……。
と、もうすぐ着くな。
「降りる準備しろ。もう着くぞ」
「わかりました」
さてと、入り口を開けてもらうとするか。
私は私の持つISの通信をつなげた。
「オータムだ。入り口を開けろ」
向こうにそう伝えると、10数メートル先の地面がずずっとせり上がってきた。
短めですがこの辺で。
次回から束さんのが大暴れ。
作者は気が滅入ります……