ところで、クラリッサさんが眼帯つけるのっていつ頃ですかね……。
今までつけてないんですよね……(ガクブル
ふと、目を覚ました。
時刻は深夜2時。まだ起きるには早い時間だ。
隣のベッドで寝ている将冴を見る。
静かな寝息をたてて、寝ている。しかし、寝顔はやけに悲しそうだ。それに小さく口が動いている。
「お父さん……お母さん……」
確かにそう呟いた。
そう、彼はまだ13歳だ。一夏のように、物心つく前から親がいなくなったわけじゃない。心の傷は深いものだ。将冴は精一杯強がっているんだ。
優しく、将冴の頭を撫でる。
「私がいる。クラリッサもラウラもいる。みんなお前を助けてくれる」
私は携帯電話を取り出し、番号を入力する。
1コール目で相手が出る。
「もすもす終日ー?はぁい、ちーちゃんの嫁さん、篠ノ之束だよー!元気だった?元気だよねー!ちーちゃんだから元気だよねぇ!」
「うるさい。将冴が寝ているんだ」
「おっとー、こりゃ失敬。それでそれで?ちーちゃんから連絡とは珍しいじゃないかー。私になにか頼み事かな?」
「ああ、多分お前にしか頼めない」
「むっふっふー。当ててあげようか?ずばり、しょーくんのことでしょ!そうでしょそうでしょ!」
まったく、こいつにはなんでもお見通しか。
というよりは、束も将冴になにかしてやりたいんだろう。
「束、お前に作ってもらいたいものが……」
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「……できるか?束」
なぁるほどねぇ。確かに私にしかできないかもねぇ。
「誰に言ってるのかなぁ。この大天才、束さんだよ?そんなのお茶の子さいさいだよー。あ、でも色々処置を施さなきゃいけないから、しょーくんをしばらくラボに連れて行ってもいい?」
「……仕方あるまい。いつ迎えに来る?」
「明日……あ、もう今日だね。お昼頃に迎えを行かせるよ」
「わかった。将冴に伝えておく」
「よろすこー」
プツッと音がして電話が切れた。
さて、そうと決まったらアレを仕上げちゃおう。
むっふっふー、楽しくなってきたね。
「くーちゃん。ちょっと頼まれごとされてくれるかな?」
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なんだか揺れる感じがして、目が覚めた。
顔を横に向けると、千冬さんが僕を揺り起こしてくれたようだ。
「千冬さん……おはようございます」
「おはよう。朝食にしよう」
千冬さんが僕を抱き起こし車椅子に座らせてくれる。
思考制御で車椅子を慣らす。
これをしないで、いきなり動かすとすぐに頭痛が起きる。
「大丈夫か?」
「はい、もう大丈夫です」
車椅子を部屋に備え付けてあるテーブルの近くで止める。テーブルの上には、綺麗な焼き目のついたフレンチトーストが切り分けて置かれている。
料理も絶望的だった千冬さんに、このフレンチトーストをマスターしてもらうのに3日かかった。
「ほら、口を開けろ」
フォークでフレンチトーストを突き刺し、僕の口の前まで持ってきてくれる。
「いただきます。あむ……」
うん、卵と牛乳の配分もちょうどいい。フレンチトースト「は」完璧に作れるようになってくれた……。
「なんでそんな感慨深い顔をしている」
「いや、一番最初のフレンチトーストのことを思い出したら、ちょっと……」
「……」
無言でデコピンの構えをする千冬さん。
「わ、わ、すいません!あいた!?」
有無を言わさずデコピンをされた。
「まったく、年上をからかうな」
「いてて、ごめんなさい」
「……将冴、話がある」
突然真面目な顔をして、僕と目を合わせた。
かなり大事な話なんだ。
「今日、束の使いがお前を迎えに来る」
「束さんの使い?それはどうして……」
「私が頼んだからだ」
千冬さんが頼んだから?わざわざ束さんに頼むことなんていったい……。
「……何を頼んだんですか?」
「将冴……お前の体を元に戻してくれと」
「僕の体を……元に?」
そんなことが……いや、あの細胞レベルでオーバースペックを自称している束なら……。
「本当に、元に戻るんですか?」
「束曰く、お茶の子さいさいだそうだ」
「はは、束さんが言いそうなことだ」
本当に……本当に元に戻るなら……。
「しばらくは束と一緒に過ごすことになるだろうが……悪い話ではないと思う」
きっと、千冬さんは僕のために束さんと話を通してくれたんだろう。僕にその厚意を断ることは……できない。
「千冬さん。僕は束さんのところへ行きます」
「そうか。では、お前の荷物をまとめておこう。数日分の着替えと……」
あ……準備する前に朝食を……。
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千冬さんが仕事に向かい、日課の挨拶をしていた。
しばらくはできなくなる。自然と力が入る。
「おはようございます!」
「おはよう、将冴君。今日は元気だね」
「ふふ、そうですか?今日も頑張ってください」
いなくなることはリョーボさんには伝えてある。
いつ帰るかわからないし、クラリッサさんやラウラさんには直接伝えたい。
と考えていると、クラリッサさんとラウラさんとルカさんが現れた。
「あ、皆さんおはようございます」
「将冴か、おはよう」
さて、どう切り出そうかな……
中途半端ですが、ここで切ります。続きは明後日になるかもしれません。申し訳ありません。
余裕があれば、明日更新いたします。