IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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日を追うごとに書くスピードが落ちている作者です。

なぜ落ちてるかというと……まぁ、ね。いろいろありますよ。パズドラとか、その他もろもろのソシャゲとか。

はい、与太話はこれくらいにして本編どうぞ〜。


154話

 

さて、束さんからダイモンの話をいろいろ聞いたから、ここに来る大きな目的は達してしまった。

 

訓練場があるから、ISにでも乗ろうかとも思ったけど、バーチャロンは束さんが絶賛フルメンテ中でまだ時間がかかると言っていた。バーチャロンの拡張領域に義足をしまっているため、筋トレもできない。

 

クラリッサと電話しようかとも思ったけど、あちらも忙しいみたいだった。

 

……詰まる所、僕は暇を持て余していた。

 

まだ束さんの所に来て2日目だというのに、何もすることがなくて、僕自身もビックリしているくらいだ。

 

まぁ、そんなこんなで、僕は食堂のテーブルに突っ伏している。思えば、こんな風にゆっくりするのも久しぶりかもしれない。たまにはダラけるのもいいかもしれない。

 

 

「将冴様、何か飲み物でも淹れましょうか?」

 

「あ、クロエさん」

 

 

さっきまでいろいろ片付けをしていたクロエさんが、突っ伏ししている僕をみて気を使ってくれたみたいだ。

 

 

「それじゃあ、コーヒーをお願いします」

 

「はい。マドカ様も飲みますか?」

 

「ああ、貰う」

 

「うおっ、マドカいたの?」

 

 

いつの間にか僕の後ろにマドカが立っていた。全く気配がしなかったよ……。

 

 

「いてはダメだったか?」

 

「ダメじゃないよ。とりあえず座ったら?」

 

「ん」

 

 

小さく返事をすると、僕の隣に座った。

んー、姿は千冬さんに似ているけど、性格はまるで違うな。

 

そういえば、マドカのこと何も聞いてないな。

……聞いてもいいのかな?

 

 

「将冴、何か聞きたいことでもあるのか?」

 

「え?」

 

「さっきからこっちをジロジロ見ていたから。まぁ、だいたい想像はつくが。織斑千冬と似ていることについて聞きたいんだろう?」

 

 

図星だ。察しの良さは千冬さんにそっくりかもしれない。

 

 

「えっと……その通りなんだけど、聞いてもいいのかな?」

 

「別に構わない。隠すようなことでもないし、それを話したからといって、お前が私との接し方を変えるような人間ではないのはわかっている」

 

 

昨日会ったばかりなのに、なんだか全て見透かされているようなことを言われた。

 

まぁ、マドカの言う通りなんだけど……。

 

 

「まぁ、簡単にいえば、私は織斑千冬のクローンだ」

 

「クローン……」

 

 

なるほど……なんとなくそんなことだろうとは思っていたけど……。

 

 

「初代ブリュンヒルデの強さが圧倒的だったからと、亡国機業が織斑千冬の遺伝子を使って私を作り出した。本当は織斑千冬と同じくらいになるまで成長させてから外に出る予定だったらしいが、何を思ったのかスコールとオータムが培養液に浸されていた未成熟の私を連れ出した」

 

「マドカを……ダイモンに利用されたくなかったんじゃないかな?」

 

「多分な。ま、今は篠ノ之束に利用されているが、亡国機業のために動くよりはマシだと思っている。思いの外、気に入られているようだしな」

 

 

そういえば束さん、マドカのことをまーちゃんって言ってたもんな。スコールさんはすーちゃんだし。オータムさんとは馬が合わないのか、名前で呼んでいる所を見たことないけど……。

 

 

「そういうわけだ。特に面白いものでもない」

 

「千冬さんに会ってみたいとかは思わないの?」

 

「別に。まぁ、私を見て驚いた顔は見てみたいかもな」

 

 

ふむ……特にしがらみはなさそうだ。クローンとして生まれたことに対しても、千冬さんに対しても。

 

 

「すいません、お待たせしました」

 

 

ちょうど話が区切られたところで、クロエさんがコーヒーを持ってきてくれた。

 

 

「ありがとうございます、クロエさん」

 

「いえ。お砂糖とミルクは、ご自由に入れてください」

 

 

容器に入れられた角砂糖とミルクを置いてくれる。

 

僕はいつも飲んでいる甘めのコーヒーにしようと砂糖に手を伸ばすと、マドカが先に砂糖の容器を持って行ってしまった。

 

まぁ、いいか。ミルクを先に……

 

 

「何個だ?」

 

「へ?」

 

 

マドカが角砂糖を一個つまみながら聞いてきた。

 

 

「砂糖は何個必要なんだ?」

 

「あ、えっと、じゃあ3個」

 

「ん」

 

 

僕のコーヒーに角砂糖を3個いれてくれる。続いて自分のコーヒーにも3個いれ、次にミルクに手を伸ばした。

 

 

「ミルクは?」

 

「お、多めに……」

 

「わかった」

 

 

多めに、という曖昧な言い方だったけど、マドカはちょうどいいだけのミルクをコーヒーに注いでくれた。何これすごい。

 

マドカも同じだけのミルクを自分のコーヒーに注いでいた。

 

とりあえず、スプーンでかき混ぜて一口飲んでみる。

 

 

「うん、ちょうどいい」

 

「どうやら、私と将冴のコーヒーの趣味は一緒のようだな」

 

「そうみたい、だね」

 

「将冴様とマドカ様は、砂糖3個にミルク多め……今度から、そのようにお作りいたしますね。私も、ご一緒してもよろしいですか?」

 

「もちろん」

 

 

そのあと、特に何か話すでもなく、3人で静かにコーヒーを飲んでいた。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「はぁ……日本に帰る日が近づくにつれて、仕事がハードになっていないか?」

 

 

私……クラリッサは隣で書類を束ねているルカに向けてそう愚痴った。

 

 

「しょうがないでしょ。あんたと隊長の出国のための手続きなんだから」

 

「これは一度書いただろう……」

 

「ドイツを出るたびに書いてもらわないとダメなの。今日の分はもう終わったから帰って愛しの将冴君と電話でもしたら?」

 

「そうさせてもらう……しかし、将冴は大丈夫だろうか」

 

「どういうこと?」

 

「ああ。一度、篠ノ之束博士とあったのだが……どうにも将冴のことを溺愛している節があってな……。会った瞬間に、敵意をむき出しにされた」

 

「うわぁ……一番タチの悪そうなやつじゃない。将冴君、危ないんじゃないの?」

 

「アメリカの時よりも心配だ……」

 

 

篠ノ之博士に何もされていないよな……まさか、そこで浮気なんてこと……。

 

 

「……ふぅ。シャキッとしなさいよ、クラリッサ。将冴君の彼女なんでしょ?将冴君が他の女になびくような子じゃないのは、あんたがよく知ってるでしょ」

 

「ルカ……」

 

「ほら、わかったらさっさと将冴君に電話してきなさい」

 

「……ああ。ありがとうルカ」

 

 

私は電話を取り出し、将冴の番号に電話をかけた。

 

 

『おかけになった電話は、現在電波の届かない場所にあるか……』

 

「なん……だと……」

 

 

私の心の中が、不安でいっぱいになった。




マドカの補完。

次回は、MARZのお仕事を書いていこうかなと思います。
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