IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

168 / 280
どうも最近不定期更新に……。
何かとリアルが忙しくなってまいりまして……。

久しぶりに義妹登場です。


156話

 

物凄いGに耐えること1時間。

僕はなんとか意識を保ち、フランスに到着することができた。

 

……少し具合悪いけど。

 

 

「将冴様、大丈夫ですか?」

 

「は、はい……なんとか……」

 

「気を失わなかっただけ上出来だ。普通なら3分と保たねぇよ」

 

 

オータムさんになんか褒められたけど、喜んでいいのだろうか……。ここで喜んだら負けな気がする……人間として。

 

 

「それで、ここはどこなんですか?」

 

「デュノア邸の近くの森の中です。あまり不特定多数の方に見られるのは好ましくないので、デュノア社長との会合は社長の家で行っているんです」

 

 

その変装なら別段問題にはならないと思うけど……まぁ、慎重に行くのは悪いことじゃないか。

 

不法入国だし……。

 

 

「ほら、さっさと用事済ませようぜ」

 

「はい。将冴様、車椅子を押しますね」

 

「クロエ、お前社長ってことになってんだから、私が押す」

 

「ですが……」

 

「いいから、変に怪しまれたら面倒だっつってんだよ」

 

 

半ば強引にオータムさんが僕の車椅子を押してくれる。

なんだかんだで、オータムさんはそういうことに結構気が回る方なんだなぁ……。

 

 

「……なんだよ、ジロジロこっち見て」

 

「いえ。車椅子押してくれてありがとうございます」

 

「っ……べ、別に礼を言われるようなことじゃねぇよ」

 

「オータム様、顔が赤いですよ?」

 

「なんでもねぇ!いくぞ!」

 

 

褒めると赤くなるのか……覚えておこう。オータムさんの反応は、今まで見たことないタイプだから、弄りがいがありそうだ。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

10分ほどして、僕たちは大きな屋敷の門まで辿り着いた。

さすが世界シェア3位の大企業の社長といったところだろうか。

 

……今更なんだけど、日本とフランスの時差は7時間なんだよね。僕の時計、日本時間で午後1時だから、フランスは今午前6時。

 

早すぎやしないだろうか?

クロエさんもオータムさんも気にしていないみたいだから、大丈夫なんだろうけど……。

 

と、僕がごちゃごちゃ考えてるうちに、クロエさんがインターホンを押した。

 

 

『どちら様でしょうか?』

 

 

フランス語……わからないけど、多分そんなニュアンス。

 

 

「MARZのリリン・プラジナーです。アラン・デュノア様に取次をお願いします」

 

 

そういえば、そんな偽名を使うと前に言っていたっけ。

 

 

『お話しは承っております。どうぞ中へ』

 

 

音を鳴らしながら、門が勝手に開いていく。

なんだか緊張してきた……。

 

門から屋敷まではそこまで離れておらず、せいぜい100メートルといったところだろうか。

 

僕たちが屋敷までたどり着くと、ガチャリと扉が開き、一人の中年男性が出てきた。

 

適度に髭を蓄えており、ダンディーな感じの男性だ。

 

 

「リリン社長、遠いところをよくおいでくださいました」

 

 

と、流暢な日本語で挨拶をしながら、クロエさんと握手をした。

 

 

「いえ。こちらこそ、朝早くに申し訳ありません。アラン様」

 

 

アラン様……ってことは、この人がシャルのお父さんか。

 

 

「そちらにも予定がおありでしょう。気にしないでください。……そちらの2人は?」

 

 

アランさんが僕とオータムさんを見てそう聞いてくる。

自己紹介しようと口を開こうとしたとき、僕の後ろにいたオータムさんが先に自己紹介を始めた。

 

 

「お初お目にかかります。私は、巻紙礼子(まきがみれいこ)と申します。本日は社長の護衛として、ご同伴させていただきました」

 

 

……誰だこの人。

 

 

「リリン社長の護衛……以前来たときは、ブロンドの女性だった気がしますが……」

 

「彼女は違う仕事で、担当を外れております」

 

 

僕の頭がついていけていない。オータムさんの表での偽名なんだろうけど、この豹変っぷりは……。

 

 

「なるほど。まぁ、本日はよろしくお願いします」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 

2人が握手をするが……やっぱり今のオータムさんに違和感しか感じない。これは慣れなさそうだ……。

 

 

「で、君は……」

 

 

と、僕も自己紹介しなければ。

 

 

「柳川将冴と言います。MARZでテストパイロットとして所属させてもらっています。シャル……ロットさんには、いつもお世話に……」

 

「おお、君が将冴君か!」

 

 

アランさんが僕の手を握りブンブンと振り回した。

そんなに乱暴に扱われると、腕が外れてしまいますよ!

 

 

「娘から話は聞いてるよ。いや、本当に君には感謝してもしきれない。君がいなければ会社も娘もどうなっていたか!」

 

「い、いえ……僕は何も……」

 

「いやいや、謙遜することはない。シャルロットから聞く限り、随分と優秀なようではないか。そうだ、今シャルロットを呼んでこよう。この時間はいつも寝ているが、君が来たと聞いたらすぐに……」

 

 

シャル帰ってきてたのか!?

まずい、クラリッサとのことでシャルを怒らせてるから、できれば会いたくない……。

 

 

「いえ、寝ているなら無理して起こさなくても……」

 

「お父さん、MARZの人たちきたの?」

 

 

一番聞きたくない声が聞こえた気がした。

 

 

「おお、シャルロット。今到着されたぞ。将冴君も来ているぞ」

 

「将冴?」

 

 

アランさんの影から、ヒョコッとシャルが顔を出した。そしてバッチリ目が合い、その瞬間シャルの目がキラリと光り輝いた。

 

 

「やぁ、お兄ちゃん。ようこそフランスへ」

 

「ヤ、ヤァ、シャル……イイ所ニ住ンデルネ」

 

「そうかな。ところで、ちょーっと話しがあるんだけど、一緒に来てくれるかな?」

 

「シャルサン、顔ガ怖イデスヨ……」

 

「そんなことないよぉ〜。お・に・い・ちゃ・ん?」

 

 

あ、ダメだこれ。どう考えても逃げ出せないや……。

 

 

「社長、オータ……礼子さん。僕、少シ彼女ト、オ話シテキマス」

 

「は、はい……」

 

「大丈夫なのか……?」

 

 

大丈夫と思いたいですよ……。

 

と、シャルがいつの間にか僕の後ろに立っており、いつでも車椅子を押せる態勢に入っていた。

 

 

「それじゃ、僕の部屋に行こっか」

 

「ウン……」




やだシャル怖い。

どうしてこうなった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。