何かとリアルが忙しくなってまいりまして……。
久しぶりに義妹登場です。
物凄いGに耐えること1時間。
僕はなんとか意識を保ち、フランスに到着することができた。
……少し具合悪いけど。
「将冴様、大丈夫ですか?」
「は、はい……なんとか……」
「気を失わなかっただけ上出来だ。普通なら3分と保たねぇよ」
オータムさんになんか褒められたけど、喜んでいいのだろうか……。ここで喜んだら負けな気がする……人間として。
「それで、ここはどこなんですか?」
「デュノア邸の近くの森の中です。あまり不特定多数の方に見られるのは好ましくないので、デュノア社長との会合は社長の家で行っているんです」
その変装なら別段問題にはならないと思うけど……まぁ、慎重に行くのは悪いことじゃないか。
不法入国だし……。
「ほら、さっさと用事済ませようぜ」
「はい。将冴様、車椅子を押しますね」
「クロエ、お前社長ってことになってんだから、私が押す」
「ですが……」
「いいから、変に怪しまれたら面倒だっつってんだよ」
半ば強引にオータムさんが僕の車椅子を押してくれる。
なんだかんだで、オータムさんはそういうことに結構気が回る方なんだなぁ……。
「……なんだよ、ジロジロこっち見て」
「いえ。車椅子押してくれてありがとうございます」
「っ……べ、別に礼を言われるようなことじゃねぇよ」
「オータム様、顔が赤いですよ?」
「なんでもねぇ!いくぞ!」
褒めると赤くなるのか……覚えておこう。オータムさんの反応は、今まで見たことないタイプだから、弄りがいがありそうだ。
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10分ほどして、僕たちは大きな屋敷の門まで辿り着いた。
さすが世界シェア3位の大企業の社長といったところだろうか。
……今更なんだけど、日本とフランスの時差は7時間なんだよね。僕の時計、日本時間で午後1時だから、フランスは今午前6時。
早すぎやしないだろうか?
クロエさんもオータムさんも気にしていないみたいだから、大丈夫なんだろうけど……。
と、僕がごちゃごちゃ考えてるうちに、クロエさんがインターホンを押した。
『どちら様でしょうか?』
フランス語……わからないけど、多分そんなニュアンス。
「MARZのリリン・プラジナーです。アラン・デュノア様に取次をお願いします」
そういえば、そんな偽名を使うと前に言っていたっけ。
『お話しは承っております。どうぞ中へ』
音を鳴らしながら、門が勝手に開いていく。
なんだか緊張してきた……。
門から屋敷まではそこまで離れておらず、せいぜい100メートルといったところだろうか。
僕たちが屋敷までたどり着くと、ガチャリと扉が開き、一人の中年男性が出てきた。
適度に髭を蓄えており、ダンディーな感じの男性だ。
「リリン社長、遠いところをよくおいでくださいました」
と、流暢な日本語で挨拶をしながら、クロエさんと握手をした。
「いえ。こちらこそ、朝早くに申し訳ありません。アラン様」
アラン様……ってことは、この人がシャルのお父さんか。
「そちらにも予定がおありでしょう。気にしないでください。……そちらの2人は?」
アランさんが僕とオータムさんを見てそう聞いてくる。
自己紹介しようと口を開こうとしたとき、僕の後ろにいたオータムさんが先に自己紹介を始めた。
「お初お目にかかります。私は、
……誰だこの人。
「リリン社長の護衛……以前来たときは、ブロンドの女性だった気がしますが……」
「彼女は違う仕事で、担当を外れております」
僕の頭がついていけていない。オータムさんの表での偽名なんだろうけど、この豹変っぷりは……。
「なるほど。まぁ、本日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
2人が握手をするが……やっぱり今のオータムさんに違和感しか感じない。これは慣れなさそうだ……。
「で、君は……」
と、僕も自己紹介しなければ。
「柳川将冴と言います。MARZでテストパイロットとして所属させてもらっています。シャル……ロットさんには、いつもお世話に……」
「おお、君が将冴君か!」
アランさんが僕の手を握りブンブンと振り回した。
そんなに乱暴に扱われると、腕が外れてしまいますよ!
「娘から話は聞いてるよ。いや、本当に君には感謝してもしきれない。君がいなければ会社も娘もどうなっていたか!」
「い、いえ……僕は何も……」
「いやいや、謙遜することはない。シャルロットから聞く限り、随分と優秀なようではないか。そうだ、今シャルロットを呼んでこよう。この時間はいつも寝ているが、君が来たと聞いたらすぐに……」
シャル帰ってきてたのか!?
まずい、クラリッサとのことでシャルを怒らせてるから、できれば会いたくない……。
「いえ、寝ているなら無理して起こさなくても……」
「お父さん、MARZの人たちきたの?」
一番聞きたくない声が聞こえた気がした。
「おお、シャルロット。今到着されたぞ。将冴君も来ているぞ」
「将冴?」
アランさんの影から、ヒョコッとシャルが顔を出した。そしてバッチリ目が合い、その瞬間シャルの目がキラリと光り輝いた。
「やぁ、お兄ちゃん。ようこそフランスへ」
「ヤ、ヤァ、シャル……イイ所ニ住ンデルネ」
「そうかな。ところで、ちょーっと話しがあるんだけど、一緒に来てくれるかな?」
「シャルサン、顔ガ怖イデスヨ……」
「そんなことないよぉ〜。お・に・い・ちゃ・ん?」
あ、ダメだこれ。どう考えても逃げ出せないや……。
「社長、オータ……礼子さん。僕、少シ彼女ト、オ話シテキマス」
「は、はい……」
「大丈夫なのか……?」
大丈夫と思いたいですよ……。
と、シャルがいつの間にか僕の後ろに立っており、いつでも車椅子を押せる態勢に入っていた。
「それじゃ、僕の部屋に行こっか」
「ウン……」
やだシャル怖い。
どうしてこうなった。