IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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少し視点が変わりまして、束編なのに最近あまり出番のない束さんの話。将冴がシャルに絞られ、オータムさんがモヤモヤしているころ、束さんは……


158話

 

「……」

 

 

バーチャロンのメンテナンスと解析を終わらせた私は、スペシネフのデータを見て頭を悩ませていた。

 

 

「しょーくん、一度感情値が劇的に上昇してる。あれほど気をつけてって言ったのに……」

 

 

大体2週間前……しょーくんがドイツにいた頃かな。確かに、ダイモンがドイツにいた形跡はあった。多分、しょーくんの両親のことを聞かされたからなんだろうけど……もう一つ気になることがある。

 

感情値が上がったあと、すぐに下がっている。

 

前にスペシネフを使った時は、緩やかに感情値が下がっていたけど、今回のはいったい……。

 

 

「しょーくんが感情を落ち着かせる何かがあった……考えられる可能性は……」

 

 

ドイツ……もしかして、前に海で会ったあの眼帯女?

もしそうだとしたら……。

 

 

「少し話をしなきゃいけないかもねぇ」

 

 

ドイツまでなら、人参ロケットの2号機を使えばすぐかな。

こんなことならくーちゃんと吊り目女についていけばよかったなぁ〜。

 

今ラボに残ってるのはしょーくんとすーちゃんとまーちゃんかな?

 

みんないるであろう食堂に突撃しようではないか!

 

 

「やぁやぁ皆の衆〜!束さんがメンテナンスを終えて帰ってきたゾォー!」

 

「あら篠ノ之博士、お疲れ様」

 

「もぐもぐ……」

 

 

そこにいたのはソファでくつろいでいるすーちゃんと、フルーツバーを頬張っているまーちゃんだけだった。

 

 

「あれあれ?しょーくんは?」

 

「クロエとオータムと一緒にフランスに行ったわ。デュノア社の人に挨拶してくるって」

 

 

なんだぁ、せっかくしょーくん成分を補給しようと思ったのに。ま、しょーくんが寝てる間に色々してるからいいんだけどねぇ。

 

 

「んー、ならいいや。すーちゃん、束さん少し出掛けてくるよ。留守番よろしくねー」

 

「ええ、それはいいけど、どこに行くの?」

 

「ドイツ」

 

「そう。夜には帰って来るのかしら?」

 

「うん、夕食の用意よろしくぅ!あとまーちゃん、そんなのばっかり食べてたら、夕飯食べれなくなっちゃうぞぉ?」

 

「ただのおやつだ」

 

「そっか。食べ過ぎないようにねぇ」

 

 

さてと、私もいきますか。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「ふぁ……ねむ……」

 

 

猛烈な眠気に勝てず、布団から出ることができない……。

 

結局、昨日も将冴と話せなかったから、心配でなかなか寝付けれなかった。少し寝すぎたか……早く準備しなければ……。

 

篠ノ之博士のところに行くと言ってから、連絡がないな……よほど忙しいのか連絡できない何かがあるのか……。今は待つしかないか……。

 

 

「ずいぶんと寝坊助なんだね、君は」

 

「……へ?」

 

 

誰か部屋にいる……?ルカの声でも、隊長の声でもない。

私は枕の下に置いてある拳銃を手に取り、声の方へ向けた。

 

 

「誰だ!」

 

「私に銃向けるなんて、いい度胸だね」

 

「な、あなたは……」

 

 

そこにいたのは、かのIS開発者である篠ノ之束博士だった。

 

 

「ど、どうしてここに……」

 

「君に会いに来たんだよ。えっと……クラリネット?」

 

「クラリッサです!」

 

 

名前を覚えていないだろうとは思っていたから、まぁいいのだけれど。

 

しかし……

 

 

「私に会いに来たって……いったいどういう?」

 

「ごちゃごちゃ言うのは嫌いだから率直に聞くけど、君はしょーくんの何?」

 

 

ど直球……。

本当に突拍子もない人だ、この人は。

 

……どう答えたら良いものか。素直に恋人と答えると、あとが怖い気がする……だけど、友達とか知り合いとかそういう言い方だと、なんだか納得が……。

 

 

「……はぁ、その様子みたらもうわかったよ。それで色々納得行ったし」

 

「え、いや、あの、なんのことか……」

 

「しょーくんと付き合ってるんでしょ?」

 

「そ、それは!えっと……」

 

 

これはばれてはいけなかったんではないだろうか……将冴は今まで言ってなかったみたいだし……。

 

 

「別に君を責めるわけじゃないよ。そういうのは当人たちの問題だし、私がどうこう言うことじゃないし」

 

「は、はぁ……」

 

 

なんだか、聞いていた話と違うようなのだが……。

 

 

「認めたくないけど、認めざるを得ないんだよ。私は……」

 

 

どういうことだ……認めざるを得ないって?

 

 

「しょーくんのこと、一人にしたら1ミクロンも残さず消滅させるから、覚悟しておいてね」

 

「は、はい!」

 

「じゃあね。くらちゃん」

 

 

と、何もかも理解する前に、篠ノ之束博士は窓から飛び去っていった。

 

何も飲み込めていないんだけど……いったい何だったんだ……?

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「こんなつもりじゃなかったんだけどなぁ〜」

 

 

本当はコテンパンにしてしょーくんとこれ以上一緒にいられないようにしてやろうと思っていたのに……それはしょーくんの望んでいることじゃないって思っちゃうと、できなかったなぁ。

 

それに、しょーくんが認めた相手なら、束さんは納得せざるを得ないよ。嫌われたくないしね。

 

 

「ま、これから特に何か変わるわけじゃないけどねぇ」

 

 

さ、帰ろう帰ろう。

 

しょーくんたちも戻ってる頃だろうしねぇ。

 

 

「あーあ、失恋しちゃったなぁ〜」

 




束さんはヤンデレではない、ヤンデレではないぞぉー!!


これがやりたかった、やりたかったんだ……
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