IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

175 / 280
今回で束編終了です。

長かった……夏休み長かった……2カ月もかかったよ←


163話

 

束さんのラボにきて一週間。

今日は学園に帰る日だ。

 

クラリッサには前もって帰る時間を言ってあるから、多分出迎えてくれるだろう。

 

 

「よっこいしょと」

 

 

僕は荷物を車に詰め込み、トランクを閉めた。

忘れ物はなんども確認したから大丈夫かな。

 

車の近くには、僕を見送るために束さん、クロエさん、スコールさんが来ていた。

 

オータムさんとマドカは僕を学園まで送ってくれることになっているため、すでに車に乗り込んでいる。

 

 

「しょーくん、今日で帰っちゃうんだね。寂しくなるよぉ」

 

「束さんはその気になればいつでも会いに来れるじゃないですか」

 

「いつも一緒にいるのと、会いに行くのじゃ意味が違うだよぉ〜!」

 

 

なんとなくその気持ちはわかるけれども、それに対しては苦笑いを浮かべるしかない。

 

 

「将冴様、またいつでもいらしてください」

 

「はい。クロエさんも、そのうち学園に」

 

 

千冬さんに頼めば入れてくれるだろう……多分。

 

 

「ダイモンの調査は任せてね。将冴君は余計なことは考えちゃダメよ?」

 

「……わかりました。よろしくお願いします」

 

 

僕一人でできることはたかが知れてる。ここは、スコールさんや束さんに任せるしかないか。

 

 

「将冴、そろそろ行くぞ」

 

「今行きます。それでは、一週間お邪魔しました」

 

 

僕は三人に礼をし、車に乗り込んだ。

 

 

「挨拶は済んだか?」

 

「はい。お待たせしてすいません」

 

「別に。シートベルトしな。ほら、エムもさっさとシートベルトしろっての。途中で警察に見つかったら面倒だろうが」

 

「締め付けられるから嫌だ」

 

「ワガママ言ってんじゃねぇよ!ISスーツの方がよっぽど締め付けてくるじゃねぇか」

 

「それはオータムの胸が大きいからだろう」

 

「ばっ、お前変なこと言ってねぇで早くシートベルトしろって!」

 

 

マドカが顔をむすっとさせ、しぶしぶシートベルトを締めた。それを確認したオータムさんは車を発進させ、ここに来た時の通路を走っていった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

数時間ほど車を走らせ、僕たちはIS学園のある島まで行くモノレール乗り場に着いた。

 

僕は車から降り、トランクから荷物を取り出した。

 

 

「将冴、私が持つ」

 

「いや、これくらいは……」

 

「いいから」

 

 

マドカが僕の荷物を持ってくれた。

まぁ、助かるからいいんだけど……。

 

僕は車のウィンドウを覗き込み、運転席に座っているオータムさんに話しかけた。

 

 

「オータムさん、一週間ありがとうございました」

 

「私は何もしてねぇよ。……まぁ、なんだ。元気でな」

 

「はい、オータムさんも。お酒ばかり飲まないようにしてくださいね」

 

「余計なお世話だっての」

 

 

オータムさんが笑みを浮かべながらそういい、車を発進させて去っていった。

 

あれ?

 

 

「マドカ、オータムさん行っちゃったけど?」

 

「構わない。私は学園に用事があるんだ」

 

「学園に?」

 

「ああ。悪いが、束に口止めされている。将冴には話すなと」

 

 

なんだろう気になるな。

そして嫌な予感もする。

 

 

「授業が始まればわかる。時間だ。モノレールに乗るぞ」

 

「う、うん」

 

 

マドカがフードを被り、モノレール乗り場に向かっていった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「……そろそろか」

 

 

私……クラリッサはIS学園にあるモノレール乗り場で、将冴のことを待っていた。

 

2週間……本当に長かった。この日をどれだけ待ち焦がれたか。まず会ったらどうしよう。とりあえず抱きしめて、それから……。

 

 

「クラリッサ、顔が弛んでいるぞ?」

 

「はっ……申し訳ありません、織斑先生」

 

 

いかん、織斑先生もいるのを一瞬忘れていた。

織斑先生にはまだ私が将冴と付き合っているということを伝えていないからな……。将冴と一緒に報告するつもりだったのだ。

 

しかし……

 

 

「織斑先生も、将冴の出迎えを?」

 

「いや、私は別件だ。将冴と一緒に来る者に用があってな。束の使いらしい」

 

 

将冴と……前に話したオータムだろうか?

ダイモンの調査をしていると将冴から聞いていたから、そのことか……。

 

 

「……来たか」

 

 

モノレールが到着し、何人かの生徒が降りてくる。

みんな私たちを見て挨拶をしてくるな。まぁ、織斑先生は人気だから仕方ないか。

 

それより、将冴は……

 

 

「クラリッサ」

 

 

私を呼ぶ声が聞こえ振り向くと、そこにはいつもの車椅子に座った将冴の姿があった。

 

 

「将冴!」

 

 

私はすぐに駆け寄り、周りの目など御構い無しに将冴に抱きついた。

 

 

「うわっ、クラリッサ!?」

 

「2週間ぶりなんだ、もう少しこのまま……」

 

「……うん。わかった」

 

 

そのまま数十秒ほど抱き合ったところで、私の背後から「コホン」と咳払いが聞こえてきた。

 

 

「久しぶりの再会はわかるが、もういいだろう?」

 

「は、はい」

 

 

少し不機嫌になった織斑先生の顔を見てしまった私は、すぐに将冴から離れた。

 

 

「将冴、留学ご苦労だった。勉強になったか?」

 

「はい。いろいろ学べました」

 

「そうか。早速で悪いが、レポートを出してもらう。期限は授業が始まる日でいい」

 

「わかりました」

 

 

将冴と織斑先生が話しをしている時、私は将冴の後ろに立っている人物が目に入った。

 

フードを被って、おそらく将冴のものであろう荷物を持っている小柄な人物。この人が、織斑先生の言っていた、篠ノ之束博士の使いか?

 

 

「そうだ、お二人に紹介しますね」

 

 

将冴がそう言うと、フードの人物がこちらに近づいてくる。そして、私と織斑先生のことをフードの隙間から覗くように見ると、織斑先生の方をじっと見つめ始めた。

 

 

「ほら、マドカ」

 

 

将冴がそう促すと、その人物はフードを取った。

 

その顔を見た瞬間、私と織斑先生は息を飲んだ。

 

 

「織斑マドカだ」

 

 

織斑先生と全く同じ顔……。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

マドカがフードを取った瞬間に、顔を強張らせた。

まぁ、仕方がないか。僕もそうだったし。

 

 

「クラリッサ、千冬さん。マドカは……」

 

「将冴、別に言わなくてもいい。私はさっさと用事を済ませたい」

 

 

マドカはそう言うと、封筒を取り出し千冬さんに手渡した。

 

 

「束から預かったものだ。ここにきたら、とりあえず織斑千冬の指示を聞けと言われている」

 

「……」

 

 

封筒を受け取った千冬さんは、その封筒の中身を取り出し、目を通し始めた。

 

 

「……わかった。マドカ、私についてこい」

 

「承知した」

 

 

千冬さんはすぐにモノレール乗り場から出て行き、マドカは僕の荷物を持ち、クラリッサに近づいた。

 

 

「将冴の荷物だ」

 

「あ、ああ……すまない」

 

 

戸惑いながらも、クラリッサは荷物を受け取り、マドカはそのまま千冬さんについていった。

 

 

「……将冴、あれはどういうことなんだ?」

 

「ここじゃ話せないし、部屋行こうか。積もる話もあるしね」

 

「そう、だな」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

部屋に戻った僕たちは、とりあえず僕の荷物の整理をした。とは言っても、服は全部クロエさんが選択してくれていたので、箪笥に戻すだけだ。

 

それが終わると、クラリッサがコーヒーを淹れてくれて、それを飲みながら、僕はこの2週間の話を話した。

 

ナターシャさんや、ジェニファーたちのこと。

アメリカでのダイモンの襲撃。

束さんから聞いたダイモンの話。

スコールさんたちのこと。

 

会えなかった分を、埋め合わせるように話した。

 

 

「……大変だったようだな。この2週間は」

 

「心休まる時が少なかったかも」

 

「その……大丈夫か?ダイモンのことは……」

 

「うん、大丈夫。次に会った時は、前みたいに怒りに身を任せたりしない」

 

「そうか……」

 

 

と、話すことがなくなり、僕たちはコーヒーを手にしたまま黙りこくってしまった。

 

 

「……えっと、夕食を食べに行くか?」

 

「まだそんな時間じゃないよ」

 

「そ、そうだな……」

 

「……クラリッサ、ちょっと僕のことベッドまで運んでくれる?」

 

「?わかった」

 

 

別に義足が使えないわけじゃないけど、僕はクラリッサに頼んでベッドに運んもらい、そのまま少しスペースを空けて横になった。

 

 

「ほら、クラリッサ。ここ」

 

「え……」

 

「会えなかった分、甘えさせるって言ったでしょ?」

 

「あ……じゃあ」

 

 

クラリッサは僕の横に寝転がる。

ベッドは一人用なので、当然のごとく距離が近くなる。

 

 

「ふふ、近いね」

 

「そうだな。ドイツではずっとこうやって寝ていたのに、改めてやるとなんだか恥ずかしいな」

 

「僕も、クラリッサの体温が感じられるくらい近くて、ドキドキする」

 

「……将冴」

 

「なに?」

 

「抱きしめても、いいか?」

 

「うん、僕もクラリッサのこと抱きしめたかった」

 

 

僕はクラリッサの首と背中に手を回し、クラリッサは僕を引き寄せるように抱きしめた。

 

 

「ただいま、クラリッサ」

 

「おかえり、将冴」

 

 

そのまま僕たちは唇を重ねた。




ふう……(やりきった顔

長かった。


さて、これで一区切りということで、一週間休載ささていただきます。一週間更新はしませんが、物語は考えていきますので、楽しみに待っていただければと思います。

では、また一週間後に
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。