この度、ラグ0109様の「インフィニット・ストラトス 〜狼は誰が為に吼える〜」とコラボすることになりました。
偽腕と狼、どちらの読者様にも楽しんでいただけるようなコラボにしたいと思っていますので、どうぞ生暖かい目でご覧ください!
※このコラボ作品は、両作品の本編になんら関わりはありません。コラボが終わりしだい、本編の方を更新していきますのでお待ちいただければと思います。
コラボ第1話
「ふふ……できた」
暗闇の中。
メカメカしいうさ耳をつけ、エプロンドレスを身にまとったその女性は……篠ノ之束はゆらりと立ち上がった。
「実験は……適任がいたね」
束がキーボードを叩くと、とある座標が映し出される。
そこは、IS学園学生寮のとある一室。
「むふふ、それじゃポチッとな」
タッーンと、束がエンターキーを押す音が響いた
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夏休みが明け、数日が経ったある日の夜。
将冴は自室でクラリッサが作ってくれたコーヒーを片手に、携帯電話を耳に当てていた。
電話の相手はというと……
『ねえ、しょーくんどう思う!?ちーちゃんったら、電話しても用件だけ聞いたらすぐ切っちゃうんだよ!?』
稀代の大天才、篠ノ之束だった。
どうやら将冴に愚痴をこぼすために電話してきたらしい。
将冴からしても、それを自分に言ってどうするのかという心境だった。
隣に座って将冴にくっついてコーヒーを飲んでいるクラリッサでさえも、漏れてくる声に苦笑いを浮かべていた。
「そればっかりは、僕でもどうしようもありませんよ。束さんがもう少しで落ち着いて話せば、問題ないのでは?」
『ぶぅ〜、束さんはいつでも落ち着いているんだよ!最近じゃ、箒ちゃんも適当にあしらうように電話を切っちゃうし、束さんは悲しくて泣きそうだよぉ』
(それで僕に電話してきたのか……)
よほど大切なことがない限り、束の方から電話してくるということがないため、将冴の中でわかりたくないものを知ってしまった虚しさが生まれた。
「束さん、あまりしつこいと千冬さんにも箒にも嫌われますよ」
『大丈夫!なんだかんだ言って二人とも束さんのこと大好きだから!』
この自信はどこから溢れるのか、将冴とクラリッサには到底知る由もなかった。
『そうだ。しょーくん、最近…ザザッ…におかしなとこ…ザッ…』
「ん?束さん?」
束の声にノイズが混じり、聞き取れなくなる。
「将冴、どうかしたか?」
「うん、なんかノイズが酷くて……もしもし、束さん?」
『ザザ、ザ……ーくん、しょーくん聞こえる?』
「繋がった、はい。聞こえますよ、束さん」
『ごめんね、なんか機材の調子悪くて。今開発してるもののせいかな?』
「何か作ってるんですか?」
『ちょっとねぇ〜、今は企業秘密ってことで、できたら改めてお披露目するよ』
(こういう時、ろくなもの作らないんだよなぁ。束さん。実害がないものだったらいいんだけど……)
『それじゃ、そろそろ切るねぇ。愚痴につき合わせちゃってごめんね。くらちゃんによろしく』
「はい。伝えておきます。それではまた」
束が何を作っているか気になりながらも、通話を切り携帯をポケットにしまう。
将冴の胸中は不安でいっぱいだったが、とりあえず隣にいる自分の恋人に目を向けた。
「束さんがよろしくだって」
「篠ノ之博士からそんなことを言われるとは、夢にも思っていなかった……」
「まぁ、僕とクラリッサの関係知られちゃったからね。束さんからしても、僕が認めた相手なら問題ないと思ってるんだよ」
「随分と将冴のことを慕っていたみたいだからな……」
頬を膨らませながらそう呟くクラリッサ。
将冴はその様子を見て、小さく笑みをこぼした。
「ふふ、やきもち妬いてるの?」
「そういうわけでは……」
「大丈夫、僕が好きなのはクラリッサだから」
「……ならいい」
そういうとクラリッサは将冴に抱きつく。
「おっと……」
「今日はもう休むだろう?」
「うん。コーヒー飲んだらもう寝るよ。一緒に寝るでしょ?」
「ああ!」
「じゃあ、ちょっと待っててね」
将冴はコーヒーを飲み干し、流しへ向かいカップを手早く洗い戻ると、クラリッサはすでにいつもつけている眼帯を外し、寝る体制に入っていた。
「はは、クラリッサ早いよ」
「き、気にするな……ほら、早くここに」
「うん」
クラリッサの横に向かい合うように寝転がった。
「それじゃ、おやすみ。クラリッサ」
「おやすみ、将冴」
唇を軽く重ね合わせると、お互いの手を握ったまま二人は目を閉じた。
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「それで、これはなんだ?」
白銀の髪に金色の目をし作務衣を着た男が、ベッドに寝転びながら小さく呟いた。
男の体には、3人の女がくっついていた。
「今日はみんなと寝る日だったか?」
「そうじゃないけど、ねぇ……」
「いつもお姉ちゃんばかりズルい……」
「そうですわ。私達だって、一晩中くっついていたいです」
「だからといって、まだまだ寝苦しいこの時期にやらなくてもよかろうに……」
夏休みが明けて、9月に入ったとはいえ、まだまだ暑い日が続くわけである。
「あら、暑くて寝れないなら、もっと暑くなることやってもいいのよ?」
女3人のうちの一人がそう呟くと、他の二人がキラリと目を輝かせた。
「悪いが、今日はどんなに寝苦しかろうとこのまま眠らせてもらう。連日の訓練やら生徒会やらなんやらのせいで疲れてしょうがない。お前たちも、ひっつくのはいいが、さっさと寝ろ。明日は平日だということを忘れるな」
「「「はぁ〜い」」」
四人は静かに目を閉じると、すぐに寝息を立て始める。
翌日。
彼女たちが抱きついていたはずの男はベッドから姿を消していた。
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「ん……うぅ……」
翌日、将冴が目を覚ますと、小さく寝息を立てるクラリッサが最初に視界に入った。
「んー……今何時だろう……」
体を起こし時計見るのは億劫なので、ISの網膜投影で現在の時間を確認する。
「5時半……まだ早いな……」
食堂が空く時間でもなく、今から準備を始めても無為に時間を過ごしてしまう。筋トレをして時間を潰すのも考えるが、クラリッサを起こしてしまう可能性があるため憚られる。
「もう少しこうしていよう」
クラリッサの寝顔を眺めていることにし、額と額がコツンとくっつくまで近づいた。
「ん……」
クラリッサが小さく呻き、ゆっくりと目を開いた。
「将冴……起きたのか?」
「うん。ごめん、起こしちゃったね」
「いや、構わない。今何時だ?」
クラリッサか体を起こしながら時計に目をやるが、将冴が先に答えた。
「5時半。もう少し寝ててもいいよ」
「いや、もう目が覚めてしまった。コーヒーでも淹れよう」
眼帯をし、部屋に備え付けてある簡単なキッチンに向かうと手早くアイスコーヒーを淹れる。
クラリッサがコーヒーを淹れている間に、将冴は義肢の簡単な動作確認を始めた。普段はやらないのだが、今は時間が余っている。
「ん?何だろう……」
指先がピクピクと不自然に痙攣している。
このようなことは、今まで一度もなかった。
「不具合……?束さんに相談したほうがいいかな」
「どうかしたか?」
「ちょっと指先が痙攣してるみたい」
「大丈夫なのか?」
「うん、痙攣するのは力をいれていないときだし、動かすぶんには問題なさそう。夜にでも、束さんに連絡するよ」
そう言うと、将冴はクラリッサからコーヒーを受け取り一口啜る。
将冴の好きな甘めのコーヒーが、口の中に広がる。
「美味しい。ありがとう、クラリッサ」
「これくらい構わない。っと、忘れていた……」
すっとクラリッサの顔が将冴の目の前に現れ、軽くキスをした。
「おはようのキスを忘れていた」
「そう……だったね。ふふ、突然でびっくりした。もう当たり前にやるようになっちゃったね」
「最初はかなり恥ずかしかったが、今ではやらないと落ち着かないんだ……」
照れ隠しのように、コーヒーをぐいっと煽るクラリッサ。将冴はその様子を見て、なんだか気恥ずかしくなり頬を掻く。
「ど、どうした?」
「いや……まぁ……」
クラリッサの姿を見てドギマギしてしまったとは言えず、言い淀む。
そして誤魔化すように、クラリッサの唇を奪った。
「むっ!?しょ、将冴……?」
「お返しということで」
「むぅ……な、なら!」
コーヒーをベッド近くの棚に置き、ガシッとクラリッサが将冴の肩を掴む。
「ば、倍返しさせてもらうぞ」
三度、唇が重なる……そのとき。
ドスンッ!
「ぐうっ!?」
突然、何かが落ちる音と呻き声が聞こえ、二人はキスする直前で止まった。
「いつつ……ベッドから落ちたか……女子三人にベッドを占領された……か?」
落ちてきたであろう物……いや、人物は打ってしまった頭押さえながら立ち上がり、将冴とクラリッサを見て目を丸くした。
その人物は白く輝く銀髪に金色の目の作務衣を着た男だった。
「……」
「「……」」
「すまない。部屋を間違えたようだ」
謎の男性はそのまま部屋を出て行ってしまう。
「「……今のはいったい……」」
第1話、いかがだったでしょうか。
これから将冴君と狼さんが絡んでいくので、楽しみに次話を待っていただければと思います。
ラグ0109様の作品はこちら
http://novel.syosetu.org/41194/