コラボは予約投稿で投稿しているので、前書き後書きで感想の反応できませんので、あしからず。
部屋を飛び出した銀髪の男は、廊下にしゃがみ込み頭を抱えた。
「まさか、夢遊病の類か……?いや、だが楯無や簪、セシリアが抱きついている中を抜け出せるだろうか……?」
ここで男は周りを見渡す。
そして妙な既視感を覚えた。
「ここは……俺の部屋のはずだ……」
そこは男の元いた部屋と同じ部屋のはずだった。
「もう一度、確かめてみるか」
男が部屋の扉に手をかけ開こうとすると、遠くから聞き覚えのある声が聞こえた。
「シャルロットさん、ラウラさん。確か、今日の授業では一緒の班でしたわよね?」
「そうだね。まぁ、他の人たちの補助に徹することになるだろうけど」
「私は兄さんと同じ班が良かったぞ……」
「しょうがないよ、ラウラ。将冴は別の仕事があるみたいだから」
廊下の向こうからセシリア、シャルロット、ラウラがお喋りをしながら歩いてきたのだ。
男は安堵の息を洩らし、3人に手を挙げ挨拶をする。
「3人共、ちょうど良かった」
男の姿を見つけた3人の反応は、彼にとってまったく予想外のものだった。
「あら……?」
「男?」
「二人の知り合いか?」
「いえ、私の知り合いでは……」
「作務衣着てるから、新しい用務員さんじゃないかな?」
「警戒しておいた方がいいかもしれないな。スパイかもしれない」
セシリア達は、男を警戒し少し離れたところで立ち止まった。
(……おかしい。シャルロットはともかく、セシリアとラウラならすぐに近寄ってくるはず。まさか楯無が仕組んだ新手のドッキリか?)
はぁ、とため息をこぼし、男は3人に近づく。
「さすがの俺も驚いたぞ。さ、主犯は誰だ?どうせ楯無あたりが裏で手を……」
「貴方、何を仰っていますの?」
「……は?」
「怪しいやつだな。兄さんの部屋の前にいたようだったし、不審人物として捕縛するか」
「ま、待てラウラ。俺だ、わからないのか?」
「私は貴様のような男は知らない。手荒な真似はしたくないから、大人しくしてもらおう」
「ちょっと待て!セシリア、ラウラを止めてくれ」
「どうして見ず知らずの貴方の言うことを聞かなければならないんですの?」
セシリアからの返答に、男は頭を殴られたような気分になった。
セシリアとはお互いに愛し合う仲であり、ラウラとは血の繋がりはないが親子のように過ごしてきたのだ。
信頼している人から裏切られたような気分に吐き気を催す。
「そうだ……白。これはどうなっている?」
男は突然独り言を喋り始める。
セシリア達は、男の突然の奇行に首を傾げた。
「……わからない?そんなことあるわけ……寝ていたなどと言ってくれるなよ?……だったら今すぐ調べろ」
「すいません」
「……たーさんに連絡は……繋がらない?あのたーさんだぞ?」
「もしもーし」
「もうなんでもいい、とりあえずできる範囲で……」
「聞こえてますか?」
「ええい、さっきから煩いぞ!……って、お前はさっきの……」
男が独り言をつぶやいている間に、彼の後ろには車椅子姿の将冴と、その車椅子を押すクラリッサがいた。
2人の姿を見た男は、先ほど情事の邪魔をしたのを思い出したが、それとは別のことに思い立った。
「男……か?」
「はい。そうですが?」
将冴がそう答えると、男は目を丸くし黙りこくってしまった。将冴が男の目の前で手を振るが、反応はない。
いろいろなことがあって放心状態になっているようだ。
「兄さん、その男は不審者だ!不用意に近づいては……」
「んー、なんかそんな感じしないんだよね」
「将冴さんがそう言いましても、IS学園に正体不明の男がいるのは見過ごせませんわ」
「そうだよ。すぐに先生に連絡しないと」
「……そうだね。セシリア。悪いけど、織斑先生を呼んできてくれる?」
「わかりましたわ」
セシリアは寮長室のほうへ走っていった。
「シャルとラウラは朝食を持ってきてくれる?簡単なサンドイッチとかでいいから、多めに」
「将冴はどうするの?」
「この人と少し話をしてみる。多分、悪い人じゃないから」
「それなら私も一緒に……」
将冴の身を案じたラウラが一緒にいると志願するも、将冴が制した。
「大丈夫だよ、ラウラ。あまり人数がいても警戒されちゃうかもしれないし、何かあっても自分の身くらいは守れるよ」
「隊長、私も将冴のそばにいます。何かあっても全力で守りますので、ご安心を」
「……わかった。2人とも、すぐに戻るからな」
シャルロットとラウラはすぐに食堂へ向かう。
残されたのは将冴とクラリッサ、そして謎の男。
「とりあえず、この人を部屋に入れようか」
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男を部屋に入れて、椅子に座らせる。そして将冴がパンッと手を鳴らすと、ビクッと体を震わせ、男が意識を取り戻した。
「な、ここは……」
「僕の部屋だよ。もっとわかりやすく言えば、貴方が現れた部屋です」
「そうか。……すまない、少し頭が追いつかなくてな」
「そうですか。とりあえず、お名前を教えてもらってもいいですか?」
「名前を聞く時は、そちらから……と言える立場ではないな。
その言葉に、将冴とクラリッサは目を見合わせる。
1年1組にこんな人はいない。デタラメを言ってるのかはわからないが、今は突っ込まないほうがいいと思い、将冴も自己紹介をする。
「初めまして、狼牙さん。僕は柳川将冴。IS学園の1年1組に籍を置いています。こっちは……」
「クラリッサ・ハルフォーフ。教育実習生として在籍している」
と、クラリッサの名前を聞いた瞬間に、狼牙が目を見開いた。
「クラリッサ……まさか、ラウラの部隊の副官か?」
「どうしてそのことを知っているのか知らないが、今は副官ではない」
「そ、そうか……どうも自分の記憶しているものと現実が噛み合わない。一体どうなっているんだ」
相当参っていると、将冴とクラリッサの目には映った。
「とりあえず、一旦落ち着いてみるのはどうですか?クラリッサ、コーヒー淹れてもらえる?」
「ああ」
「狼牙さんもコーヒーでいい?」
「贅沢を言える立場ではないし、今の状況でコーヒーは願ったり叶ったりだ」
狼牙がそう答えると、クラリッサはキッチンへ向かいコーヒーを入れ始めた。
「コーヒーが来るまでに狼牙さんに聞いていいかな?どうして僕たちの部屋に居たのか」
「喜んで答えたい……と、言いたいところだが、俺自身もわからない。気がついたら、床に頭を打っていた」
「なるほど……。さっき、セシリア達と話しているところを聞いていたんだけど、どうも知ってる風だったよね?」
「知ってるも何も、セシリアとは好きあった仲だ。ラウラも、父娘のような関係だ。どういうわけか、俺のことを知らないという態度で接してくる。そして、俺の知らない男が、俺と同じ1年1組……に……」
と、何かに気づいたのか狼牙が言葉を止めた。
「狼牙さん?」
「そうか……なるほど、そういうことか」
狼牙はスッと立ち上がり、将冴の目の前に立った。
「全て合点がいった」
「合点?」
「ああ。俺は……平行世界から来た」