サンドイッチを食べ終え、将冴とラウラ、シャルロットは教室へ。クラリッサは職員会議のため職員室に向かっていった。
将冴たちが教室に入ると、すぐにセシリアが駆け寄ってきた。
「将冴さん!あの不審者はどうなりましたか!?」
「不審者じゃなくて狼牙ね。織斑先生に任せたよ。まぁ、すぐにどうなったかわかると思うから。あと、狼牙さんのこと不審者って呼んじゃダメだよ」
「は、はぁ……?」
詳しく話を知らないセシリアは生返事するしかなかった。
一応、将冴はサンドイッチを食べている時に狼牙を不審者扱いしないようにとラウラに釘を刺しておいた。
元の世界で特に親しかった者に不審者扱いされるのは、狼牙の精神衛生上よくないと判断したからだ。
「よう、将冴」
「朝から大変だったみたいだな」
将冴たちが話しているところに、一夏と箒が近づいてくる。
セシリアから話を聞いていたのか、心配そうに声をかけてきた。
「おはよう二人とも。まぁ、色々あってね。今は織斑先生に任せてるよ」
「千冬姉にか?そいつ大丈夫なのか?」
「一応、あまり酷ことはしないようにとは言ったんだけど……まぁ、どうなるかはわからないけど」
と、その時丁度始業のベルが鳴り、各々席に着くと千冬と真耶、クラリッサが教室に入ってくる。千冬と真耶は教壇に上がり、クラリッサは将冴の後ろに立った。
将冴は声を潜め、クラリッサには話しかけた。
「クラリッサ、狼牙さんはどうなった?」
「今、織斑先生が話す。まぁ、悪いようにはなっていない」
それなら良かったと、将冴は胸を撫で下ろす。
それと同時に、千冬がホームルームを始めた。
「諸君、おはよう。今日はお前達に紹介する者がいる」
千冬の言葉に、教室内がざわつく。
「転校生?」
「この時期に?」
「ずいぶん急だね」
「静粛に。とりあえず紹介しよう。入れ」
千冬がそう言うと、ガラッと扉が開き一人の人物が入ってきた。将冴はやっぱりと呟き、入ってきた者に目を向けた。
「銀狼牙だ。少し複雑な事情でこの1年1組の世話になることになった。不束者だが、よろしく頼む」
IS学園の男子制服をきた狼牙が、そう自己紹介をする。
一瞬、しんと静まり返った教室内。これはまずいと、将冴とクラリッサ、そして狼牙は耳を塞いだ。
その瞬間……
『きゃあああああああああ!!』
ビリビリと窓を揺らすほどの大音量が響いた。
「男よ!クールタイプの男!」
「銀髪に金色の目なんて、なんて美味しい設定なの!?」
「なんとなく漂う年上の雰囲気……将冴君が弟なら狼牙君は兄ね!」
「ダメ、ダメよ!一夏×将冴は絶対正義なんだから!ここで狼牙×一夏なんて!?」
「狼牙×一夏なんてつまらないわ!ここは将冴×狼牙でしょう!」
いつも通り、この学園の女生徒は欲望に忠実だった。
「うるさい!静かにしろ!」
千冬の一言でピタッと話し声が止まる。
これも、もはや伝統芸と化している。
「銀はとある事情で少しの間学園で過ごすことになった。事情については詳しくは話せないため、それについての質問は禁句とする」
IS学園の生徒の順応性が高いとはいえ、突然平行世界から飛んできたなど誰も信じることはできないだろうという千冬の判断だった。
「銀個人に対する質問は、休み時間にでも行え。すぐに授業を始める。銀、お前の席は将冴の隣だ」
「承知した」
狼牙は将冴の隣にある空いてる席に向かってくる。
将冴は小声で狼牙に話しかけた。
「やっぱりこうなったんですね」
「お前、わかっててああいう行動取っていたのか」
「まぁ、千冬さんならやりかねないかなとは思っていたから」
「なかなか食えない男のようだな」
「そんなことないよ。まぁ、隣の席だし、何かわからないことがあれば聞いてよ。狼牙さん」
「ああ、頼らせてもらう。あと、俺のことは狼牙でいい。俺も将冴と呼ばせてもらう」
「わかったよ、狼牙。これからよろしく」
「ああ、よろしく頼む」
お互いに握手をする。
と、その瞬間狼牙の頭にスパァンと衝撃が走る。
「ぐぬぅ!?」
「もう授業を始めてもいいか?」
「アイ、マム……」
狼牙が頭をさすりながら将冴の方を見ると、苦笑いを浮かべながら心配するように狼牙を見ていた。
「なぜお前は叩かれん……」
「僕、一度も出席簿アタック食らったことないんだ」
「納得がいかん……」
将冴のことがわからなくなった狼牙であった。