今年も何卒、よろしくお願いします。
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う……ん……ここは……僕は一体……。あ、そうだ束さんのところに向かうのにクロエさんの車に乗ってそれで……。
まさか、あんなに強烈なGがかかるとは。クロエさんの恐るべし。で、ここはどこだろうか?病院……ではないな。
だってやたらファンシーだもん。童話とかで出てきそうな、ピンクを基調とした部屋だもの。天蓋付きベッドとか初めて見た。
などと考えていると、ガチャリと扉の開く音が聞こえた。足音が近づいてくる。
「あ、将冴様。目が覚めましたか?」
「クロエさん。ここは?」
「束様のラボです。厳密に言うと、束様のお部屋になります」
束さんの部屋?じゃあ、到着したんだ。
確かに、この部屋は束さんが好きそうな感じではあるかもしれない。
「目が覚めたのなら、丁度良かったです。束様からあなたを連れてくるように言われています。今車椅子に乗せますね」
車に乗った時のように、ひょいっと体を持ち上げた。本当に、どこにこんな力が……。それになんだか手慣れている。
「ありがとうございます、クロエさん」
「いえ、お安い御用です。では行きますよ?」
クロエさんがゆっくりと車椅子を押してくれる。
よかった、車椅子を押すのは普通だ。
「将冴様、申し訳ありませんでした。まさか気絶してしまうとは思わなかったものですから」
「あ、あはは……お恥ずかしい限りで」
「どうも車を運転すると、スピードを出し過ぎてしまうようで。将冴様は手足がないのに、それも忘れて」
「次からは気をつけてください。事故を起こす前に」
あのスピードで走ってたらいつか事故を起こしてしまう。乗ったことないけど、ISはあのくらいのスピードが出るのだろうか?
「でも、将冴様が気絶してくれたのはちょうど良かったです」
「え?どうしてですか?」
「このラボの場所は、完全に秘密なのです。束様の友人とはいえ、見られるわけにはいきません。なので、気絶しなくても、少し眠ってもらうつもりでした」
ふむ、まぁ、確かに束さんは全世界の人に狙われてるだろうからね。仕方ない処置といえばしかたないのかな。
「さ、着きました。扉を開けますよ」
クロエさんがパネルを操作して扉を開いた。
扉の奥には、見慣れたウサ耳エプロンの束さんがコンピューターのキーボードを叩いていた。
クロエさんが再び車椅子を押し、中へ入る。
束さんもその時点で気付いたようで、グルンと僕の方を振り向いた。
「しょーーーくぅーーーん!!」
「わ、ちょっと待っ」
クロエさんがよけてくれると思ったら、いち早く自分が避難していた。今から動かしても間に合わない。
あ、詰んだ……
束さんはガシッと僕を掴み抱きしめてくる。
「会いたかったよぉ〜!しょーくんも会いたかったよね?うんうん、束さんはちゃんとわかってるよ!さぁ、一緒に愛を育もうじゃないか!」
「ふが……もごぉ!?」
胸に……すごい豊かな胸に顔が包まれている。息ができない。このメロンは一体……。
「束様」
「どうしたの?くーちゃん」
「将冴様が窒息しています」
「おろ?」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
「はぁ、はぁ……死ぬかと思った」
「ふっふっふー、しょーくんを私のナイスバディーで悩殺なのだ!」
「悩殺どころか圧殺仕掛けてましたが……」
「細かいことはいいんだよぉ、くーちゃん。それに、ただ抱きしめたわけじゃないよ」
あの短時間で僕の体に何かにしたのだろうか。もうなんか色々怖い。
「今ので大体の腕と足の長さの目処はたったよ。あとは腕と足を作って、しょーくんとドッキングするだけだ!」
グッと親指を立ててこちらに向けてくるが、束さんが何をしたいのか検討もつかないし、ドッキングとかロボットじゃないんだから……。
「束さん。僕、何をされるか何も聞いてないんですけど。詳しく教えてくれませんか?」
「そういえばそうだねぇ。くーちゃん、お願いできる?」
「はい、束様」
クロエさんがホワイトボードを押しながら僕の前に来た。
ホワイトボードに備え付けてあるボタンを操作すると、ボードに画像が浮かび上がる。
電子パネルのようなものだろうか?
「では、私が説明させていただきます」
再度、ボードを操作すると、パネルに機械の腕のようなものが浮かび上がる。
「今回、将冴様の腕と足を束様が作ります」
「義肢……ってことですか?」
「はい。このボードを見てください。こちらは義手の概要になります。義足はほとんど同じなので、割愛させていただきます。さて、こちらの義肢なんですが、こちらは神経に直接接続するものとなります」
神経に直接って……一体どうやって
「特別な機能などはございません。物を触る感覚得るために触覚、痛覚なども再現できます。本物の体のように扱うことができます」
「束さんにかかればちょちょいのちょいだよ」
「そんなすごいものを、僕に?」
「しょーくんだからだよ。しょーくんは私の大切な人だからね」
束さん……
「それに、ちーちゃんにも頼まれたしね。大丈夫、しょーくんの体は私が戻してあげるよ」
「ありがとうございます。本当に……」
目頭が熱くなる。優しさが嬉しい。
でも、今はクロエさんの話を聞かなきゃ。
「クロエさん。続きをお願いします」
「はい。まぁ、この腕のことはこれが大体の機能です。ここからは、この義肢の問題点についてです」
ボードの画面が変わる。
写っているのは両手足に義肢をつけた人の姿。
「先ほど、義肢は神経に直接繋げると言いましたね?」
うん、確かにそう言ってた。そこのところも気になっていたんだ。
「これが問題点の一つなのですが、義肢を神経に繋げるために、将冴様自身の体に接続するための機械を取り付けなければならないのです」
「……つまり、手術を行わなきゃならないということですか?」
「……はい。術後は激痛を伴うことが予想されます」
激痛か……あの誘拐の時の怪我は、すぐに意識を失ったから痛みは感じなかった。
「それが問題点の一つ、ということはまだ問題点があるんですね?」
「その通りです。もう一つの問題点は、義肢4つを同時につけた時です」
「義肢4つを?」
「まず、この義肢は神経を無理矢理繋げて動かせるようにするものです。一つ、二つまでならそこまで障害はありません。ですが3つ以上つけた場合、神経に多大な負荷がかかります。短時間なら問題ありませんが、長時間となると頭痛を伴い、それ以上になると神経が焼き切れて使い物にならなくなる可能性があります」
なるほど、なんの代償もなく元に戻ることはないということだ。
「しょーくん、ごめんね。これ以上は、どんなに改造しても負担を和らげることができなかったんだ……」
「束さんが謝ることじゃありません。長時間でなければ、自由に体を動かせるんですよね。僕は、それだけで十分です」
腕だけでも、足だけでも動けば、千冬さんの負担が減る。ある程度のことは自分でできるようになる。
「束さん」
「なぁに?」
「手術、してください」
「今の説明を聞いていても、しょーくんは手術してもらいたい?」
束さんの目が、まっすぐ僕をみつめる。いつも細目の束さんの目が開いている。
束さんは、本当に真剣なんだ。
「はい。千冬さんと束さんが、僕のために作ってくれた機会なんです。僕は、無駄にしちゃいけないんです。だから、僕は手術を受けます」
束さんもクロエさんも、何も言わない。
なんだか、沈黙が怖いんだけど……
「よしわかった!」
束さんが叫ぶ。一瞬、心臓を掴まれたような感覚に囚われた。
「しょーくん。束さんに全部任せなさい。しょーくんの自由は、私が取り戻してあげよう!」
「束様……」
「ありがとうございます。束さん」
「じゃあ、ちょっと身体検査するね。くーちゃん、しょーくんを脱がして」
……脱がして?
「はい。お任せください、束様」
クロエさんが僕のシャツに手をかける。
「えっちょ……クロエさん?」
「おとなしくしてくださいね?」
「いや、そういうわけにも!?」
「ひんむけー!!」
「いやぁーーー!!?」
また、違う人にすべて見られました。
束さんは白い。この作品の束さんは白いゾォ。
白い束さんはかわいいね。
そして、クロエさんはこれでいいのだろうか。
まぁ大丈夫だろう←