さっさと書き上げるゾォ。
将冴はリラックスするかのように軽く肩を回すと、ビームトンファーを起動させた。
「少し、早くなるよ」
ドンッ!という音ともに、将冴は瞬時加速で飛び出した。
「瞬時加速か」
ハイパーセンサーにより、将冴の姿を辞任している狼牙は、ブレードトンファーを構えた。
「いくら早くても、真っ直ぐすぎるぞ!」
将冴がブレードトンファーの間合いに入ったと同時に、狼牙はトンファーを振り下ろす。
しかし、当たった感触は無くそこにいたはずの将冴は消えていた。
「なっ……」
「まだ真っ直ぐだった?」
狼牙の背後から声がすると同時に、側頭部に衝撃。
将冴が狼牙の頭部めがけてビームトンファーを振るったのだ。
「ぐぅ!?」
予想外の攻撃に反応できなかった狼牙は、吹き飛ばされながらも体勢を立て直し将冴に向き直る。
「さっきの仕返し、だよ」
「ふふ、やるものだな。まさか瞬時加速を曲げるとは……」
「バーティカルターン。トンデモな能力だよね」
「それをやすやすと使っている者が何を言っている。……どれ、次は俺の番だ」
狼牙は再び群狼を射出すると、群狼は将冴の周りを牽制するようにグルグルと回り始めた。
「移動を制限したって感じかな?」
「それだけでは芸がないだろう。そら、惚けている場合ではないぞ」
狼牙の言葉と同時に、群狼の速度がぐんっと上がる。
一瞬のうちに爆発的な加速……それは紛れも無く瞬時加速だった。
「は、早い!?」
「後ろにご用心だ」
その瞬間、将冴の背中に群狼が噛み付く。
将冴は小さく声をあげながらも振りほどき、トンファーを構えた。続いてもう一機の群狼が高速で将冴に牙を剥いた。
「このっ!」
向かってきた群狼に向けてビームトンファーを振るうが、高速移動する群狼に当てるのはかなり難しい。トンファーは空を切り、アファームドの腕を引き裂いていった。
「くっ……」
「瞬時加速で動き回る2機の小さな的を狙うのは難しかろう。このままではやられてしまうぞ」
将冴は返事を返さず、向かってくる群狼の動きに神経を研ぎ澄ましていた。
「確かに……目で追うのも難しい。でも、僕だって負けたくないから、ね!」
将冴が左のビームトンファーを振るうと、トンファーに群狼が噛みついた。
「当てた!?」
「もういっちょ!」
右のトンファーを振り向きざまに振るうと、左と同じようにトンファーに群狼が噛み付く。
「これで厄介なBT兵器は無力化した、行くよ!」
群狼をトンファーにつけたまま瞬時加速で狼牙に急接近した。
そして狼牙の目の前で、急な方向転換を行う。
「それは先ほど見たぞ!」
後ろを振り返る狼牙。しかし、そこには将冴の姿はない。
確かに将冴がバーティカルターンを行使したのは見たはず。
「狼牙相手に同じ手は使わないよ」
背後からの声。
バーティカルターンで自分の後ろに回ったと思っていた。しかし、将冴は先ほどこちらに向かってきた方向にいる。
理由は簡単だ。瞬時加速キャンセル。
学年別タッグトーナメントの決勝でラウラに使った加速の完全停止を行ったのだ。
将冴は腰だめに拳を構えていた。
「バァニングゥ……」
「くっ!?」
「ジャスティィィィィス!」
イッシー・ハッター直伝の拳が、狼牙目掛けて放たれた。