IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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コラボ折り返しといったところです。

狼牙のことがわかるように書いてるつもりですが、やっぱり本家を読んだ方が楽しめると思います。是非、コラボ先の方も読んでいただきたいです。本編完結済みなので、この機会に是非、是非。


コラボ第12話

「ほら、将冴。あーん」

 

「クラリッサ……別に腕が使えないわけじゃないから、1人で食べれるのに……」

 

「駄目だ!将冴に無理はさせられない!」

 

「無理って……食べるだけなのに」

 

 

食堂の一角で将冴、クラリッサ、狼牙が食事を取っていた。将冴と狼牙はお粥。クラリッサは手軽に食べれるサンドイッチだ。

 

そして、狼牙がいる前でクラリッサが将冴にお粥を食べさせ始めたのだ。別に2人のことをどうこう言うわけではないが、狼牙としても目の前でいちゃつかれると目のやり場に困るのだ。

 

いくら言っても引かないクラリッサに、将冴は根負けし口を開き、クラリッサがゆっくりとお粥を食べさせた。

 

 

「あむ……」

 

「どうだ?」

 

「お粥の味が血の鉄臭さに負けてる……」

 

 

まだ血の味が残っていたようで、将冴の表情が沈む。

 

 

「将冴、無理して食べなくてもいいんだぞ?内臓を傷つけたんだ、詰め込んでも悪化する」

 

「うん……そうするよ、狼牙」

 

「わかったような言い方だな、狼牙」

 

「体を痛めつけることに関しては、日常茶飯事だったのでな……」

 

 

どこか空を見上げながら、狼牙は呟いた。

 

元の世界で何があったかはわからないが、とりあえず同情する将冴とクラリッサだった。

 

 

「……そういえば、織斑先生に呼び止められていたよね?なんの話だったの?」

 

「あ、ああ……」

 

 

狼牙は生返事をしながら、アリーナで千冬に呼び止められた時のことを思い出した。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「お前は人間か?」

 

 

その言葉に、狼牙は激しく動揺した。

 

狼牙は生体同期型ISという、人でありながらISである変わった存在である。

 

 

「……見ての通り、人間だが?」

 

「先程の戦闘。将冴の攻撃を躱し、一瞬で反撃に転じたな。まぁ、それはISのスペックによってはどうとでもなる。だが、あれだけの高速戦闘をしておきながら、何故立っていられる」

 

 

IS学園で、それなりの強さを誇る将冴でさえも、フェイ・イェンの高速使用で吐血した。

 

狼牙はそんな素振りも見せず、将冴を抱え医務室に連れて行こうとするだけの余裕があったのだ。千冬が怪しむのも無理はない。

 

 

「将冴はあの体ではあるが、そこらへんの男よりも頑丈だ。私でも、あれだけの戦闘を行えば、多少の影響が出る」

 

「……」

 

「もう一度聞く。お前は人間か?」

 

「俺は……人間だ。そうありたいと思っている」

 

 

狼牙の答えに、千冬は小さく笑った。

 

 

「ふっ、わかった。話は以上だ。将冴の元へ行ってやれ」

 

「……失礼する」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「……」

 

「狼牙?どうしたの?」

 

「あ、ああ。すまない。織斑先生と、何を話したかだったな。なんでもない、模擬戦はどうだったかというのを聞かれただけだ」

 

「そうだったんだ。狼牙強かったしね、織斑先生も気になったのかな」

 

「そういうお前も、なかなかの手練れではないか。何度も背後を取られるとは思わなかったぞ」

 

「あれは無我夢中で……狼牙こそ、まさか止めのあの攻撃を躱すなんて……どんな反応速度してるの?」

 

「がむしゃらに動いただけだ」

 

 

謎の謙遜合戦が始まり、将冴と狼牙の食事の手が止まる。

 

クラリッサはその様子を見ながら不機嫌そうにサンドイッチを口に運ぶ。

 

その様子を見た狼牙は、すっと立ち上がった。

 

 

「狼牙、どうしたの?」

 

「いや、少々疲れてな。そろそろ休ませてもらう」

 

「いきなりここに飛ばされて、さっきの模擬戦だったからな。疲れがたまっても仕方がないだろう」

 

 

少し嬉しそうにクラリッサが話した。

 

 

「ああ。それに、2人の邪魔をするのも悪いからな。人の恋路を邪魔する奴は、何とやらだ」

 

「別に気にしなくてもいいのに」

 

「そうもいかんだろう。では、失礼する」

 

 

と、狼牙は食堂を出る瞬間に、あることに気づいた。

 

 

(俺の部屋はどこだ……)

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「結局こうなるのか……」

 

「はは……」

 

「むぅ……」

 

 

将冴とクラリッサの部屋に、狼牙は肩身狭そうに体育座りしていた。ベッドに腰掛けている将冴は苦笑いを浮かべ、将冴の隣に座っているクラリッサは不機嫌そうな顔を浮かべていた。

 

千冬に急ぎ部屋の確認をすると……

 

 

『部屋の空きがない。誰かと相部屋になるが、女子と一緒にするわけにはいかない。一夏の部屋は女生徒の乱入が多いので、将冴の部屋に行け。大丈夫だ、ベッドは一つ余ってるだろう。あの2人は同じベッドで寝ているからな』

 

 

というありがたいお言葉をいただき、織斑先生に反論は無意味ということを知っていた狼牙は、黙って頷くしかなかった。

 

 

「まぁ、この世界にいる間だけだから、クラリッサもそんな顔をしないで」

 

「将冴がそういうなら……」

 

「狼牙も、そんなところで体育座りしてないで、そっちのベッドを使いなよ。先週、ベッドが新調されてから使ってないから遠慮しないで」

 

「……言葉に甘えよう」

 

 

狼牙は体育座りをやめて、ベッドに腰掛けた。

 

 

「……2人は、いつも同じベッドで?」

 

 

話題に困った狼牙が、2人に質問する。

 

 

「うん。付き合うことになってから、ずっと一緒のベッドだよ」

 

「そうか……まぁ、1人だけなら寝苦しさは感じないか」

 

「1人?」

 

「いや、こっちの話だ。……白、いつまでも笑うな」

 

 

狼牙は時々独り言を喋る。

将冴とクラリッサはそのことが少し心配になっているが、突っ込むのが恐ろしく、触れないようにしていた。

 

 

「っと、そういえば、この世界の束さんはどこにいるんだ?」

 

「束さん?多分、日本のどこかにはいると思うけど……」

 

「そうか……俺が元の世界に戻るには、あの人の手を借りねばならないと思うから、会わなければと思ってな……本音をいえば会いたくはないがな」

 

「狼牙のこと見たら、絶対に騒がしくなるよね」

 

「それは言えてるな……」

 

 

今日何度目かわからない、将冴と狼牙のどこか遠くを見る目。

 

そんな中、クラリッサは狼牙の方に目を向けていた。いや、正確には狼牙の後ろだ。

 

 

「狼牙……」

 

「ん?なんだ?」

 

「後ろ……」

 

「後ろ?」

 

 

狼牙が恐る恐る振り向くと……

 

 

「呼ばれて飛び出て束さぁーん!」

 

「なんだ、束さんか……」

 

「こんばんは、束さん」

 

「あれ!?そんな反応なの!?」




ラグ0109様の作品はこちら

http://novel.syosetu.org/41194/
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