IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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あと7〜8話くらいですかね。
早く本編も進めないと……本当に本編楽しみしてくださっている方には申し訳ありません。


コラボ第13話

突然現れた大天災、篠ノ之束に対し、将冴と狼牙の反応は実に淡白だった。

 

 

「うぅー、せっかくしょーくんを驚かせようと思ったのに!くらちゃん、見て見ぬフリしてよ!」

 

「す、すいません……」

 

 

なぜか束に怒られるクラリッサ。思わず誤ってしまうが、今のは自分が悪かったのか、甚だ疑問である。

 

 

「すごいな……こちらの世界の束さんは、クラリッサを認知しているのか……」

 

「僕達が付き合い始めてからだけどね」

 

 

滅多なことがない限り、他人に興味を示さない束がクラリッサのことを「くらちゃん」と呼んでいることに驚きを隠せない狼牙。

 

と、束が狼牙の目の前に立ち、あと数センチでキスできるくらいまで顔を近づけた。

 

 

「むぅー……」

 

「な、なんだ?」

 

「君が、平行世界から来たっていう不審者かい?」

 

「不審者と呼ばれるのはいい気はしないが、確かに俺が平行世界から人間だ」

 

「ふぅん……」

 

 

束は狼牙の体を調べるようにペタペタ触り始める。

 

こうなったら逆らわないのが身のためだと思い、狼牙はジッと耐える。

 

 

「なるほど……何か歪なものを感じるけど、それ以外は普通の人間と変わりなさそうだね」

 

 

束の中で何かの結論がついたようで、狼牙から離れる。何されるかとヒヤヒヤしていたが、触る以上のことをされなかったため、安堵の息を漏らす。

 

生体同期型ISということを少し感づかれはしたものの、束に隠す方が難しいと思っていたため、明確にばれたわけでもないという結果は僥倖といえよう。

 

 

「束さん、ここに来たってことは……」

 

「彼のことを見に来たんだよ。今朝、束さんが開発中の時空間転送装置が謎のエラーを出してね。もしかしたらと思ったら、案の定だったわけだよー」

 

「時空間転送装置って……」

 

「篠ノ之博士……なんてものを作っているんですか」

 

「はぁ……やはり束さんの仕業か……」

 

「ちょっとちょっと!なんで引かれてるの!?これは世紀の大発明だよ!」

 

「その結果、狼牙がこの世界に飛んできたんですよね?」

 

「違うよぉ!束さんの装置はまだ完成してないんだから!」

 

「完成、してない?」

 

 

予想外の答えに、3人は頭を傾げた。

 

 

「そうだよ?時空間転送装置はまだ転送機能を備えていないもん。私以外の誰かがこの世界に彼を飛ばしたんだよ」

 

「でも……束さん以外にそんなことできるのって……」

 

「……そうか。いるぞ、そんなことができる者が」

 

「心当たりあるの?」

 

「束さんも、ぜひ知りたいね」

 

「それは誰だ?」

 

 

狼牙は少し言いずらそうに口をつぐむが、意を決してその人物の名前をつぶやいた。

 

 

「篠ノ之束……こちらの世界の束さんだ」

 

『……あぁー……』

 

 

狼牙以外の3人が合点がいったように声を揃えた。

 

この世界の束が完成させていないというなら、狼牙の世界の束が時空間転送装置を完成させていたというのは、確かに説得力ある説だ。

 

 

「なんというか……申し訳ないな。うちの束さんが、余計なことを……」

 

「いや、狼牙が謝ることじゃないよ。それに、そっちの束さんがやってなくても、こっちの束さんが同じことしていただろうし」

 

「しょーくん、私の扱い酷くないかな!?」

 

「どの世界でも、篠ノ之博士は変わらないということだな」

 

「くらちゃんまで!?」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「へっ……くしゅ!」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「それで、束さん。その、時空間転送装置が完成すれば、狼牙を元の世界に戻せるの?」

 

「難しくないと思うよ。放っておいても、向こうの私が戻すと思うけどねぇ」

 

「できるだけ早く帰りたくてな……。待たせている者たちがいるのだ」

 

「ふぅん。ま、被験者が現れたのは束さんとしても願ったり叶ったりだからいいんだけどねぇ」

 

 

被験者という言葉が引っかかる狼牙。しかし、背に腹は変えられず、聞き流すしかなかった。願わくば、何も起こらないようにと祈りながら。

 

 

「束さん、お手数かけますけど、お願いします」

 

「私からもお願いします、篠ノ之博士」

 

「むふふー、しょーくんとくらちゃんに頼まれちゃったら断れないじゃないかぁー。スペースシャトルに乗ったつもりで任せなさーい!」

 

 

言葉は頼もしいのだが、言ってる人物が人物なだけに、少し不安が残った。

 

 

「それじゃ、早速ラボに戻って完成を急ごうかな」

 

「あ、束さん。もう一ついいですか?」

 

「ん?なにかなかな?」

 

「義肢に関してなんですけど……あれ?」

 

 

朝に動作確認をした際に、指がピクピクと動く現象が、今はなんともなかった。

 

 

「義肢がどうかしたの?」

 

「はい、今朝動作確認をしたら、少し調子が悪かったみたいで……今はなんともないんですけど……」

 

「多分、時空転移の影響じゃないかな?昨日、電話も調子が悪かったし、うちのラボの機械も、何個か調子が悪かったし」

 

「そうなんですか?」

 

「うん、だからあまり気にしなくても大丈夫だよー。しょーくんが望むなら、義肢のメンテするけど」

 

「いえ、これ以上束さんのお手を煩わせるわけにはいきませんから」

 

「そう?何か異常があったらすぐに連絡してねぇ」

 

 

束はそう言うと、部屋の窓枠に飛び乗った。

 

 

「多分、明後日あたりに完成するから、それまで待っててね。えっと……君の名前は?」

 

「狼牙だ。銀狼牙」

 

「じゃあ、ろーくんだね。ろーくんはなかなか興味深いから、是非とも解剖してみたいけど、しょーくんが怒るからやめておくね」

 

 

そう言い、束は窓から外に出て行った。

 

 

「……やはりどこに行っても束さんは束さんだな」

 

「全時空共通?」

 

「ありえそうで困るな……」




ラグ0109様の作品はこちら

http://novel.syosetu.org/41194/
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