IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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お盆休み、いかがお過ごしでしょうか。
作者はなんだか色々振り回され、ようやっと落ち着きました。

今日から本格的に更新を再開していこうと思っています。


166話

 

拙い……非常に拙い……。

まさか楯無さんが気配もなく僕たちの会話を聞いて、尚且つ録音までしていくなんて……。

 

しかも相手は生徒会長。このことが学内にバラされでもしたら……考えるのも恐ろしい。欲望に忠実なIS学園生徒だ、どうなるかわからない。ついでに日本政府からも何を言われるか……絶対に変なこじつけされて、ドイツがハニートラップを仕掛けただの言ってくるに決まってる。男性IS操縦者は恋愛も自由にできないのか……。

 

とまぁ、頭の中は大パニックに陥っており、昼食を食べ終えた僕は、生徒会室前にいた。

 

とりあえず、周りにバラされる前にどうにかしなければ……。

 

コンコンと生徒会室の扉をノックすると、一言どうぞと返ってきた。

 

 

「失礼します」

 

 

扉を開け、中に入るとそこには楯無さんと……確か3年の虚さんだったかな?その2人がいた。

 

 

「あら、将冴君。お久しぶりね。夏休みは留学に行っていたようだけど、楽しく過ごせたかしら?」

 

 

楯無さんが扇子を開くと「満喫」という文字が描かれていた。あの扇子どうなってるんだ……。

 

 

「ええ、まぁそれなりに」

 

「煮え切らない返事ね。まぁ、いいわ。それで、どんなご用件かしら?」

 

「とぼけないでください。さっき、食堂で僕達の話を録音していたんですよね?」

 

「マドカちゃんに聞いた?だって面白そうだったから」

 

「それをどうするつもりですか?」

 

「そんな怖い顔しないでよ。悪いようにはしないわ。それより、お茶でも飲まない?虚」

 

「はい、どうぞ。将冴さん」

 

 

いつの間にか、虚さんが紅茶を淹れてくれていたようだ。

 

 

「ありがとうございます。虚さん」

 

「いえ、お構いなく」

 

 

そのまま飲まないのも失礼なので、とりあえず一口いただく。あまり紅茶は飲まないけど、これはこれでいいものだ。

 

 

「それで、さっき録音したこれをどうするかって話よね?」

 

「ええ。できれば、そのまま削除していただきたいのですが……」

 

「嫌よ。こんな面白そうなもの」

 

「ですよね……」

 

 

さて、どうしたものか……悪いようにはしないと言っていたけど、どこまで信用したものか……。

 

 

「将冴君は、このことが公になって欲しくないのよね?」

 

「はい。僕だけでなく、クラリッサにも迷惑をかけてしまいますので」

 

「ふふ、それはそれで面白そうだけど。安心して、公にしたりしないわ。ただし……」

 

「ただで、というわけではないということですね?」

 

「話が早くて助かるわ」

 

 

楯無さんは椅子から立ち上がると、何やら一枚の紙を取り出し僕に突きつけた。

 

その紙には、大きく生徒会所属願と書かれておりその下には細々と注意書きがなされている。

 

 

「……僕に生徒会に入れと?」

 

「ええ。IS学園は必ず部活動に所属していなければならないのは知っているわよね?」

 

 

そういえば、そんなことが校則に書いてあったような……すっかり忘れていたよ。周りから何も言われなかったし。

 

 

「君と、あと織斑一夏君ね。2人ともどの部にも所属していない。生徒会としても、そのまま見過ごすわけにはいかないのよ。実際、いろんな部からクレームが来てるからね」

 

 

どの部も、そんなに男が欲しいというのか……。

 

 

「どうかしら?君のその体じゃ、どの部活でも不便だろうし、生徒会ならそれなりの待遇を……」

 

「いいですよ」

 

「……え?」

 

「将冴さん、よく考えて決めた方が……楯無会長に関わっても、ロクなことがありませんよ?」

 

「虚ちゃん、それどういう意味!?」

 

 

今まで殆どしゃべらなかった虚さんが、慌てたように声を上げた。いやまぁ、本当ならクラリッサとか織斑先生に相談した方がいいんだろうけど。

 

 

「今のところ、僕に対するデメリットはありません。録音データが広まらないならそれでいいですし、元はと言えば僕がどこの部活にも所属していたせいですし」

 

 

僕の言葉に、楯無さんと虚さんは顔を見合わせる。

 

 

「それに、どうせ断っても何かしらの理由をつけられて生徒会に入れられるんだと思いました。楯無さん、そういうところ頑固そうですし」

 

「ちょっ!?」

 

「ぷっ、ふふ……」

 

 

予想外の答えが返ってきたからか、楯無さんは焦ったような表情を浮かべ、虚さんはたまらず吹き出した。

 

 

「ちょっと虚ちゃん!笑わないでよ!」

 

「申し訳ありません……でも、その通りだと思って……ふふ」

 

 

などと2人がじゃれあっている間に、僕は所属願に名前を記入した。

 

 

「書きました」

 

「はい、確かに受け取りました。これからよろしくお願いします、将冴さん」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

「将冴君、これからお姉さんがビシビシと……」

 

 

その時、楯無さんの言葉を遮るように午後の始業のチャイムがなった。

 

 

「あ、授業始まりますね。それでは僕は失礼します」

 

 

僕はそそくさと生徒会室をあとにし、1組の教室へ急いだ。

 

 

「……」

 

「生徒会長?」

 

「な、なんてやりずらい子なのかしら……」

 




前々から、将冴は生徒会に入れようと思っていました。

……楯無を攻略するためじゃないですよ?(震声
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