書けないときは本当に書けないですねぇ……
生徒会室に行くと、そこに楯無さんの姿はなく虚さんが一人黙々と書類を片付けていた。
「こんにちわ、虚さん」
「失礼するぞ」
「こんにちは、将冴さん、ハルフォーフ先生。早速来てくださったのですね」
「はい。学園祭とか始まりますし、微力ながらお手伝いできないかと。楯無さんは?」
「会長は……おそらくサボりでしょう。隙があるとすぐに仕事を溜めますから」
はは、なんか納得してしまうなぁ……。
初めて会ったときも、簪さんと一緒にISの組み立て手伝ってたし。そのときは、虚さんが連行していってたな……。
「将冴さんが真面目に来てくれているというのに、先輩がこうでは面目立ちませんね。少し探してきます、将冴さんは少しお待ちください」
「布仏、私が探してこよう。お前は将冴に仕事を教えてやってくれ」
「しかし、先生の手を煩わせるわけには……」
「気にするな。楯無がいなければ終わらない仕事もあるだろう」
クラリッサはそう言うと虚さんの返事を聞く前に生徒会室を出て行く。出る間際に僕に手を振っていたので、僕も振り返した。
「すみません。ハルフォーフ先生に面倒ごとを押し付けてしまい……」
「クラリッサがやると行ったことですから、虚さんが気にすることじゃありませんよ。それより、何をすればいいか教えてもらえますか?」
「はい。それではこちらの書類を……」
ドンッと鈍い音を立てて机の上に紙の束が置かれた。
これはすごい……。
「全て申請書の類です。目を通して、不備がなければそこの各印を押してください。わからないことがあれば、遠慮せず聞いてください」
「わかりました」
これは早速取り掛からないと終わらなそうだ……。
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僕が書類に手をつけ始めて1時間。
虚さんに教えてもらいながら書類を片付けていって、ようやく半分以上が終わった。毎日こんな量をやってるんだなぁ……生徒会の人たちは大変だ。
「将冴さん、少し休憩にしましょう」
虚さんがそう言いながら僕に淹れたての紅茶をくれる。
昨日も思ったけど、いつ淹れたんだろう……。
「ありがとうございます」
紅茶を受け取り、一口啜る。はぁ、落ち着くなぁ。今度紅茶も淹れてみようかな。
……っと、そういえば。
「クラリッサと楯無さん、遅いですね」
「そうですね。会長を捕まえるのはなかなかに骨が折れますから……」
虚さんが心配そうな顔をする。
多分、これはクラリッサに向けてだろう。
「まぁ、クラリッサはドイツ軍にいましたし、そのうち戻ってきますよ」
確か階級は大尉……だったかな。ルカさんから聞いた話だけど、クラリッサは本当に優秀だというから、大丈夫だろう。
「……ハルフォーフ先生のこと、信頼しているんですね」
「もちろん。僕の恋人ですから」
「ふふ、そうですか。羨ましい限りです。でも、公の場ではあまりいちゃついてはいけませんよ?」
「織斑先生と山田先生にも釘を刺されました。僕もクラリッサも、その辺はわきまえてるつもりです」
でも、一夏たちが言うには、すでに付き合ってるものと思ってたとか言ってたしなぁ……。あまりわきまえられていなかったかも。
と、ここで話題が尽きてしまった。
特に居心地が悪いわけではないけど……何か聞いておかなきゃいけない気もする。生徒会のこととか。あ、そういえば。
「僕の生徒会での役職はどうなるんでしょう?昨日聞いてなかったなと思って」
「そういえばそうでしたね。将冴さんは副会長ということになります。まだ正式に発表していないですし、今は仮役員ということになっていますが、学園祭が終わったら正式に生徒会に所属ということになります」
まだ正式に入っていたわけではないのか……まぁ、全生徒からはんたいされないわけでもないから、当然といえば当然か……。
「副会長か……なんだか、大層な役職についてしまいますね」
「空きがそこくらいしかないんです。書記も私の妹の本音が入っています」
「布仏さんも?……って、虚さんも布仏でしたね。本音さんもですか、生徒会に所属していたんですか?」
「ええ。でも、仕事をさせても仕事を増やすだけなので、あまり顔を出しません」
「そ、そうなんですか……はは」
本音さんも、やればできる人だと思うんだけどなぁ……。
と、そのとき。生徒会室の扉が少し乱暴に開かれた。
「すまない、時間がかかった」
「や、やっほー……虚ちゃん、将冴くん」
クラリッサが楯無さんの襟首を持ち、楯無さんはまるで連れてこられた猫のように体を縮こませていた。
「おかえり、クラリッサ。楯無さん、こんにちは」
「ハルフォーフ先生、お手数かけて申し訳ありませんでした」
「いや、こっちこそ捕まえるのに時間がかかってすまない。なかなか見つけられなくてな」
「まさかこの私が取り押さえられるとは……ドイツ軍侮りがたしね……」
楯無さんが悔しそうにつぶやくと、クラリッサは楯無さんを掴んでいた手を離した。
そのまま落下した楯無さんは「きゃん」という小さな悲鳴をあげて尻餅をつき、痛そうにぶつけた部分をさすっていた。
「痛た……ハルフォーフ先生、もう少し優しく下ろしてください」
「自業自得だ。会長がそんなでどうする」
「織斑先生みたいなことを……」
楯無さんは不機嫌そうに頬を膨らませ、自分の椅子に座った。
「虚ちゃん。お茶が欲しいなぁ〜」
「この書類を片付けてからです」
ズドン、と楯無さんの机に僕の倍以上の書類が積まれた。
楯無さんが目に見えて青ざめている。
「う、虚ちゃ〜ん?これはさすがに……」
「なにか?」
「なんでもないで〜す……」
楯無さんは涙目になりながら書類を手に取り始めた。
……僕はああならないようにしよう。そう決意し、残りの書類に手を伸ばした。
「将冴、私も手伝おう」
「生徒会の仕事だから、先生がやっちゃダメだと思うよ?」
書けないので差し障りない話を書く……逃げですね。申し訳ない。
リクエストに関しては、時間が取れ次第書いていきます。もう少しお待ちくださいませ。