IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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200話記念番外編その2です。

今回は大同爽さんから頂いたリクエストを書かせていただきます。

若干プレッシャーをかけられてしまいましたが、楽しんでいただけたらと思います。


200話記念番外編②:もう少し、このまま

 

気がつくと、僕はソファーに腰掛けていた。あれ、僕の部屋にソファーなんてなかったはず……ていうか、ここは……。

 

周りを見渡すと、とても懐かしい感じがした。見覚えがある……あるに決まってる。ここは僕が両親と住んでいた……。

 

 

「将冴、どうしたの?キョロキョロして」

 

 

懐かしい声。ずっと聞いていなくて、これからも聞くことはないと思っていた声。

 

振り向くと、そこにはお母さんがいた。

 

 

「お母……さん?」

 

「どうしたの?熱でもあるのかしら?」

 

「緊張してるんだろ。なんてったって、将冴が彼女をうちに呼ぶって言うんだから」

 

 

また違う声。そこには新聞を広げるお父さんの姿が。

 

あれ、どうなって……。

 

 

「ちょっと、本当に大丈夫?」

 

「え、あ、うん……大丈夫」

 

 

何だろうこの感じ……あれ、なんでこんな悲しい気持ちになってるんだ?

 

 

「うたた寝して、怖い夢でも見たのか?」

 

「……そうかも。もう大丈夫だよ。心配かけてごめん」

 

「そう、ならいいけど」

 

 

そうだ、今日は珍しくお父さんもお母さんもお休みだから、クラリッサのことを紹介するってことになってたんだ。

 

どうも頭がはっきりしないけど、確かそうだった。

 

と、お母さんが食事の準備をしている。僕も手伝わないと。ソファーから立ち上がったとき、僕はまた違和感を感じた。

 

あれ、義肢つけたっけ……。

 

しかし、僕の足はしっかりと床を踏みしめている。

……なんで義肢なんて思い浮かんだだろう。足を少し摩るが、そこには自分の足がある。手も、普通の手だ。

 

どうやら、よほど夢の影響が強かったようだ。

 

 

「お母さん、僕も手伝うよ」

 

「あら、ありがとう。それじゃ、そこの皿を出してくれる?」

 

「うん、わかった」

 

 

お母さんの言う通りに、皿を出してテーブルに並べる。お母さんの料理、かなり気合入ってるな。どれも手の込んだものばかりだ。

 

その後も、お母さんに支持された通りにテーブルに食器やもうできている料理を並べていると、家のチャイムが鳴った。

 

 

「あら、来たんじゃない?将冴」

 

「うん。出迎えてくるね」

 

 

パタパタと玄関まで小走りで向かい、扉を開けた。そこには、白いシャツにジーンズ、そしていつもの眼帯をつけたクラリッサがいた。

 

 

「いらっしゃい、クラリッサ」

 

「あ、ああ。今日はお招きいただき……」

 

「ふふ、そんなに固くならなくていいよ。お父さんもお母さんも、そういうの気にしないから」

 

「そ、そうか……」

 

 

よほど緊張しているのか、表情が固いな……。

まぁ、2人と話せば慣れるだろう。

 

 

「ほら、早く入って」

 

「わ、わかった!」

 

 

クラリッサを家に入れて、そのままお父さんとお母さんがいるリビングまで連れて行く。

 

クラリッサの姿を見た2人は、同時に「おお」と声をあげた。

 

 

「ほら、クラリッサ。自己紹介」

 

「あ、えっと、クラリッサ・ハルフォーフです!今はIS学園で教育実習生としてきていますが、本職はドイツ軍シュバルツェ・ハーゼ所属の軍人で……」

 

「クラリッサさんね。ほらほら、そんなところに立ってないでこっちに座って」

 

「え!あの!?」

 

「将冴、外国の人なんて聞いてないぞ」

 

「あれ、言ってなかった?」

 

「ほら、そこの2人。早くこっちいらっしゃいな」

 

 

お母さんに言われるままに、僕たちはテーブルについた。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

お母さんの料理が続々とテーブルに並べられ、僕とクラリッサはお互いの話をお父さんとお母さんに話しながら食べ進めた。

 

ある程度僕達のことを話すと、今度はお母さんが僕の昔の話をし始めた。

 

 

「将冴ったらね、昔からほとんど泣かないのよ?」

 

「昔から、ですか?」

 

「ええ。5歳くらいの頃でも、外で遊んでいて思いっきりこけて腕をすりむいた時も、痛そうにしてるんだけど絶対に泣かないの。それで私のところまで来て、『こけた』って一言言うだけでね」

 

「強い子なんですね」

 

 

クラリッサが興味津々に聴いてるけど、僕はなんだか恥ずかしいよ……。僕、そんなに泣かない子だったっけ?

 

 

「でも、一回だけ思いっきり泣いたことがあったな」

 

 

お父さんが余計なことを思い出したようだ。

 

 

「あれは確か将冴が小学校に入ったばっかりの頃だったか……俺のいた研究所で事故が起きてな。それで俺が大怪我したんだ。幸いにも命に別状はなかったんだが、その時将冴が俺の姿を見て死なないでって病院で号泣して。後にも先にも、あんなに泣いてたのはその時だけだな」

 

「お父さん!あんまり恥ずかしいことクラリッサに教えないでよ!」

 

「あら、いいじゃない。クラリッサさんだって気になるわよね?」

 

「はい!もっとお話を聞かせてください!お義母様」

 

 

お父さんとお母さんの策略により、クラリッサはお義父様、お義母様と呼ぶことが義務付けられた。二人とも、気が早すぎやしませんかね。

 

 

「それならアルバム取ってこようかしら」

 

「私もお手伝いさせていただきます!」

 

「あ、ちょっと!」

 

 

お母さんとクラリッサがアルバムを取りに行ってしまった……ああ、見られるのすごい恥ずかしいんだけど……。

 

 

「いい人だな、クラリッサさんは」

 

「お父さん?」

 

「将冴のことを本気で思ってる。大切にしなさい」

 

「……うん、もちろん」

 

 

お父さんはニカっと笑みを浮かべた。

 

……何だろう、少し胸が痛むような……。

 

 

「見つけたわよ。将冴の子供の頃のアルバム」

 

「早っ!」

 

「ほら、これが生まれたばかりの頃の将冴」

 

「か、可愛い……」

 

「母さん、将冴が生まれた時大泣きしてたな」

 

「初めての子だったから嬉しくなっちゃってね」

 

 

3人がアルバムを見ているのを、僕は眺めていた。

だんだん眠くなってきた……いけない、クラリッサが来てるのに眠っちゃ……

 

 

「将冴?大丈夫か?」

 

「あら、ご飯食べ過ぎて眠くなっちゃったのかしら?」

 

「寝かせてやろう。いつも頑張ってるからな」

 

 

お父さんとお母さんが僕に笑いかけてる……。だめだ……今寝た……ら……。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ハッと目を覚ますと、クラリッサが心配そうに僕の顔を覗き込んでいた。

 

 

「将冴、大丈夫か?」

 

「クラリッサ……ここは……」

 

「ここって……寮の私たちの部屋だが」

 

 

寮の部屋……僕は自分の手を目の前に持ってくる。

機械でできた腕が、そこにあった。

 

……そうか、あれが夢だったのか。

 

 

「僕、うなされてた?」

 

「いや、うなされてはいなかったんだが……泣いてたぞ?」

 

「泣いて……」

 

 

ぐいっと目元を拭うと、確かに泣いていたようだ。

夢見て泣くなんて、今までなかったのになぁ……。

 

 

「何かあったのか?」

 

「……ううん、何もないよ。でも……」

 

 

僕はクラリッサに抱きついた。

 

 

「もう少し、このまま……」




今回頂いたリクエストは、いい話でということだったのでいい話にしようとしたんですが……んー、って感じですね。

でも、こういうのいいですよね←
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