IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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ライブに行って筋肉痛になりました。
右腕が……右腕がぁー!


181話

 

ジェニーとステフはたっぷり30分ほど居座った。そんなにいても何もないのに……。帰り際、僕は2人を見送るために廊下に出た。

 

 

「この後、2人はどうするの?」

 

「ゆっくり見て回るつもり。いろいろ設備も見たいしね」

 

「そっか。僕は色々忙しいから、一緒に回れないかもしれないけど……」

 

「心配しないでよ、ショウ。ジェニーのお守りは私に任せて!」

 

「ジェニー、ステフをお願いね」

 

「わかってるわよ」

 

「2人とも酷い!?」

 

 

ふふ、ステフは弄りがいがあるね。あまり弄りすぎてもかわいそうだから、これ以上はしないけど。

 

っと、そうだ。

 

 

「この後会えるかわからないから、今のうちに渡しておくよ」

 

 

僕はポケットから小さな箱を取り出し、ジェニーに渡した。

 

 

「それ、帰ったらナターシャさんに渡してくれる?」

 

「何これ?まるで指輪を入れるための箱みたいな……」

 

 

ジェニーが箱を開けると、中には綺麗に輝くシルバーの指輪。束さんが直してくれた銀の福音だ。

 

しかし、僕はわかってるから何の疑いもなく渡したけど、ジェニーとステフはそうはいかないようだった。

 

 

「ちょ、ちょっと!あんたクラリッサさんという人がいながら!」

 

「修羅場!?日本で有名なヒルドラ展開!?」

 

「あはは……何も言わなかったらそりゃ勘違いするか……」

 

 

僕は少し頭を抱え、改めて説明をする。

 

 

「それ、ナターシャさんが乗っていた銀の福音だよ。僕の所属してる企業が海から引き上げて、直してくれたんだよ」

 

 

束さんは何も言ってなかったけど、おそらく色々と手が加えられてるだろうなぁ……福音の原型とどめてないかも……。

 

 

「あんたの企業ってなんなのよ……」

 

「バーチャロン開発したり、デュノア社を買収したりする程度の企業だよ」

 

「ショウ、そうでもない風に言ってるけど、それすごいことだからね?」

 

 

うん、知ってる。あの人が関わってるんだから……。今日も学園に来てるんだろうし……。

 

 

「いえいえ、そんな大層なことはしていません」

 

 

唐突に聞こえてきた声に僕たちは振り返った。

そこには黒い髪を三つ編みにして一つにまとめ、ビン底グルグルメガネをかけた女性が……って、これ変装したクロエさんだ!

 

クロエさんの横にはまるで貼り付けたような笑顔を浮かべるオータムさんも……2人ともこんなところで何してるの!?

 

 

「こんにちは、将冴様」

 

「ど、どうしてここにいるんですか!クロ……リリン社長!」

 

 

クロエさんと呼ぼうとしたらオータムさんからキッと睨まれたので急ぎ言い直す。そうだった、この姿の時はリリン社長と呼ばなければ。

 

 

「「社長!?」」

 

 

2人の反応は最もだ。正直、この冴えない雰囲気の人が社長なんて思わないだろう。

 

 

「えっと、一応紹介するね。こちらが……」

 

「MARZ社長のリリン・プラジナーです。彼女は、私の秘書の巻紙礼子さんです」

 

「初めまして。うちの将冴がお世話になっております」

 

 

オータムさんが、2人に名刺を渡してる。わざわざ作ったのかな……ていうか、巻紙礼子の時のオータムさんはやっぱり慣れない……。

 

 

「ど、どうも……」

 

「ありがとうございます……」

 

 

2人が戸惑いながら名刺を受け取る。

オータムさんはやはり貼り付けたような笑顔を浮かべたままだ……。本性を知ったら2人はどう思うだろうか……。

 

 

「将冴、何か失礼なことを考えましたか?」

 

「い、いえ……そんなことは……」

 

 

今日のオータムさんはものすごく怖いんですが……。と、とりあえず……

 

 

「リリン社長、礼子さん。よければうちの店に……」

 

「お言葉に甘えさせていただきます」

 

「将冴、後で話があるから必ず来てくださいね」

 

「は、はい……」

 

 

はは……僕の心が持ちそうにない……。

 

 

「ショウ、大丈夫?なんか顔色悪いけど……」

 

「少し休んだほうがいいんじゃないの?」

 

「大丈夫……うん、大丈夫。それじゃ、お店戻らなきゃいけないからこれで。楽しんでいってね。あと、福音のことよろしく」

 

 

早く行かなければ、オータムさんに何かされそうだ……。

なんであんなに不機嫌なんだろう……。




将冴の胃壁がどんどん削られていく。

しかし学園祭は始まったばかり。
頑張れ、将冴
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