カケルカナァ……
学園内は少々慌ただしくなっていた。
「これから、アリーナでイベントを行います。お客様、生徒全員参加ですので、出店している生徒一旦店をたたみ、アリーナへ向かってください」
表向きは企画参加の案内だが、本当は避難誘導だ。
学園が襲撃されているため、生徒や一般人をアリーナに避難させなければならない。だが、パニックを起こさないために、襲撃があることは伝えていない。このことを知っているのは教師と生徒会、専用機持ちだけだ。
私……クラリッサをはじめ、楯無や一夏も誘導を行っている。学内に残っている専用機持ちは、このあとアリーナで行われるイベントで、外の状況を知らせないようにする。
これに関しては楯無に任せるしかない。私は私の仕事をするだけだ。将冴のことが心配だが……大丈夫、隊長も一緒なんだ。
「先生、全員アリーナに入りました」
誘導を終えた一夏、箒、セシリア、鈴が私の元に集まってくる。おそらく、すぐにでも将冴たちの所に行きたいのだろう。だが、この4人にはまだやることがある。
「わかった。観客のことは私に任せろ。お前たちは楯無のところに行くんだ」
「将冴たちは大丈夫なんですか?」
「ここにいるより、私たちも出た方が……」
「お前達に心配されるほど、将冴は弱くない。今は、観客達をたのしませることだけを考えろ」
「わかり……ましたわ」
「行くわよ、観客を待たせたら不審がられるから」
4人は楯無の元へ走っていく。
さて、私はアリーナから出てきた客の対応だな。襲撃のことを知られてはいけない。今パニックが起これば、ダイモンに付け入る隙を与えてしまう。それだけは避けなければ……。
「あの、すみません」
私に話しかけてきた女性は、少し焦っている様子だった。
「何かありましたか?」
「実は子供とはぐれてしまって……もしかしたら、校舎の方にいるかもしれないので、探しに行ってもいいでしょうか?」
校舎……まだ校舎の方なら大丈夫だとは思うが、念には念を入れて。
「校舎の方は私が探しましょう。あなたはアリーナをお願いします。他の職員にも伝えておきますので」
「わ、わかりました。ありがとうございます」
女性をアリーナへ戻し、私はすぐに織斑先生に電話をかけた。
『どうした』
「子供とはぐれてしまったという連絡を受けたので、校舎の方に向かいます。申し訳ありませんが、アリーナ内での捜索をお願いできますか?」
『わかった。見つけ次第連絡しろ。まだ学園から離れた場所で交戦しているようだが、油断はするな』
「はい、わかりました」
早く行かなければ……。
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兄さんに支持された場所に着くと、兄さんの言う通り巨大なISがそこにいた。赤紫の、このIS……兄さんのバーチャロンに似ている?
「あ、君たち確か一年の」
すでに敵ISと交戦していた上級生の……確かフォルテ・サファイアと言ったか。
「援軍だ。状況はどうなっている?」
「それが……さっきまで学園に向かっていたんスけど、将冴君から連絡が来たらあそこで止まって……」
「止まった?」
一緒にここに来ていたマドカが怪訝そうな顔で呟くと、すぐに来た道を戻ろうとし始めた。
「待て!どこへ行くんだ!」
「将冴が危ない」
「それはどういう……」
「二人とも、危ないッス!」
フォルテ・サファイアの声に、反射的に私とマドカは回避行動をとる。その瞬間、私たちがいたところに大出力のビームが横切った。
「これは……」
「チッ、そういうことか」
ビームが放たれた方を見れば、そこにはこちらに太い腕を向けている巨大ISが。
「なんで突然動き出したッスか!?」
「足止めだ」
「足止め?」
「やはり、将冴一人にするべきじゃなかった。さっさとあいつを倒すぞ」
「おい、マドカ!どういうことか説明しろ!」
「将冴は今ダイモンといる」
「な、それは本当か!?」
「喋ってる暇はない、さっさとあいつを倒す」
「お、おい!待て!」
1人で突っ込んで……先に兄さんに連絡だろう!
戦闘が苦手とはいえ、少し先延ばしし過ぎですね……。
ええ、本当に申し訳なく……