IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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最近、調子が悪く……しばらく不定期になります。

本当に申し訳ないです……。


190話

 

ヒカルノさんがバーチャロンに仕込んでくれたデータ。今日まで何度も練習してきた。

 

システムを起動させると、僕の周りにバーコードのような光のリングが現れた。

 

 

「まだ楽しませてくれるか。いいぞ、お前の全てを見せてみろ」

 

「行くぞ。マルチバーチャルシステム起動。『アファームド』『フェイ・イェン』」

 

 

音声認識とともに、僕の両隣に同じリングが現れると、その中にアファームドとフェイ・イェンが展開される。

 

これが、『マルチバーチャルシステム』。どういう意図でこの名前をつけたかわからないが、システムの内容は見ての通り、フォームの同時展開。各フォームの視界はリンクしており、僕は今自分の見ている視界とアファームド、フェイ・イェンの視界が同時に映っている。今は慣れたが、前は酔って酷いことになった。

 

 

「なるほど。なるほどな……同時展開とは、さながら人型のBT兵器といったところか」

 

「行くぞ、ダイモン。本気で!」

 

 

僕とアファームド、フェイ・イェンは同時に飛び出した。一番速度が速いフェイ・イェンに瞬時加速でダイモンの背後を取らせる。

 

 

「ほう、データと実部ではこうも違うか」

 

 

フェイ・イェンがレイピアをダイモンに向けて突き立てるが、ダイモンは的確に攻撃を避けてる。裏社会を牛耳っているだけはあるということか。

 

 

「アファームド!」

 

 

僕はスライプナーで、アファームドはビームトンファーで同時にダイモンに斬りかかる。

 

 

「おっと、それは危ないな」

 

 

完全に不意をついたと思った。だが、ダイモンは宙返りするように体回し、僕とアファームドの肩を掴んだ。

 

 

「なっ……」

 

「今のはヒヤヒヤした。だが、少し攻撃が単調ではないか」

 

「このっ!」

 

 

僕の肩を掴んでいる手を捕まえようとするが、そこにダイモンの手はなく、代わりに僕とアファームドの顔面にダイモンの蹴りが放たれた。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

まだ……ダイモンを捉えきれないのか!

 

 

「ふむ……相手の人数が増えるだけで、これほど危うくなるとはな」

 

「まだ……余裕があるように見えるぞ」

 

「余裕なんて最初からない。こっちはISなんてモノは持っていない。絶対防御無しで、まともに攻撃を食らえばひとたまりもない」

 

「僕の攻撃を素手で受け止めておきながらか?」

 

「貴様が直線的な攻撃をしたからな。タイミングさえ合えば抑えることくらいはできる」

 

 

今までの戦闘でわかったのは、ダイモンの体が生身ではないこと……本当に手足を切断するくらいのことは問題なさそうだ。

 

なら、何の躊躇もしない。僕と同じようにしてやる。

 

 

「顔つきが変わったな。だが、まだ殺気はこもっていない。それでは、私は倒せないぞ」

 

「うるさい、僕はもう感情に流されたりしない。お前に怒りや憎しみがあるけど、それを殺意には変えない」

 

「つまらん答えだ」

 

 

ダイモンはそう言うと何もないところに視線を向けた。何を見ている?

 

 

「ふふ、そうか。状況は私の方に転がっているようだな」

 

「何を言って……」

 

「これを見たまえ」

 

 

バーチャロンに二つの映像が送られてくる。これは……ラウラとマドカが大きなISと戦っている?もう一つには、シャルと簪さんが……

 

 

「どちらも苦戦しているようだ。どうだ、私が作った『ヤガランデ』は。貴様の機体データを掻き集めて作り上げたんだ。ISコアはないが、特別なV.ドライブを積んでいる。小娘どもの生半可な技術で倒すのは難しいだろう」

 

「……」

 

「早く援護に行った方がいいんじゃないのか?私を倒して」

 

「……こと……」

 

「殺意を持て、負の感情を高めろ。私に見せるのだ!」

 

「そんなことは、絶対にしない。僕は彼女たちを信じている!」

 

 

すぐにみんなに通信をつなげる。今見せられた映像、そしてダイモンの発言で、このヤガランデの弱点はわかった。

 

 

「敵の背中、ディスクの部分を狙ってください!そこを潰せば、敵は動かなくなります」

 

『将冴?よくわからないけど、了解!』

 

『りょ、了解、です!』

 

『兄さん、そっちは大丈夫……』

 

『ボーデヴィッヒ、よそ見するな』

 

『な、マドカ!いきなり押すな!』

 

 

みんなはまだ大丈夫そうだ。……うん、僕も落ち着いている。

 

司令塔としては落第点だけど……。

 

 

「やはりつまらん。興が削がれるな」

 

「だったら大人しくするんだ。すぐに全て終わらせてやる」

 

「それはもっとつまらん。どれ、もう一つ新しい手駒を見せてやろう」

 

 

ダイモンは、そう言うとスッと手を挙げた。その瞬間、ダイモンの両脇に箱のようなものに4本足をつけ、武装を取り受けた何かが二体現れる。まだ戦力を……。

 

 

「これはミルトンと言ってな、まぁ小型の無人ISとでも思いたまえ」

 

「そんなものが新しい戦力なのか?」

 

「見た目で判断するのは早計というものだ。まぁ、口で言ってもわからんだろう。試してみたまえ」

 

「言われなくても。アファームド、フェイ・イェン!」

 

 

僕の合図に、アファームドとフェイ・イェンがミルトンに斬りかかる。しかし、アファームドのトンファーと、フェイ・イェンのレイピアはミルトンに通らず、微動だにしなかった。

 

 

「こいつ……」

 

「そんなチンケな攻撃、通りはせんよ。さぁ、再びやりあおうか」




ミルトン、ヤガランデ……出したかったんだ……
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