IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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寒い日が続きますね。

このISの小説、GOD EATERのUAを抜いたことにびっくりしてます。これがネームバリューの違いか…。


今回はどうしても視点変更したかったので、途中でクラリッサ視点に変わります。読みづらいかもしれません。
申し訳ありません。


21話

「95……96……」

 

 

額から汗が垂れる。

今、僕は腕をつけてないから拭えないから気にしないように、上体を起こした。

 

 

「97……」

 

「将冴様、もう少しです」

 

 

クロエさんが僕の足(義足)抑えて声をかける。

それに応えるように、また上体を起こす。

 

 

「98……99……100!」

 

 

やりきった達成感と疲労感でそのままマットに体を預けた。

あぁ〜、疲れた。

 

 

「腹筋100回3セット目、お疲れ様です。スポーツドリンクをどうぞ」

 

「ありがとうクロエさん」

 

 

ペットボトルにストローを差し、僕の口元まで持ってきてくれた。少しずつ、スポーツドリンクを吸い出す。

 

ここに来て2ヶ月がたった。

義肢を貰ったことで、活動の範囲が広がった。トイレに自分で行けるし、食事も一人で取れる。当たり前のようだけど、もう介助をしてもらう必要がない。それだけでも、僕は嬉しかった。

 

それに、このようにトレーニングに打ち込むことができる。短時間なら剣道もできる。これは嬉しかった。

 

あと、バーチャロンに乗ってわかったんだけど、予想以上に体力が落ちていた。本当の手足があった頃に比べて筋肉が落ちたのはわかっていたけど、バーチャロンに30分乗っただけで息は絶え絶えで、呼吸を元に戻すのに数分かかった。

 

ISに乗るために、全盛期まで体力を戻したかった。

 

 

「ふぅ……」

 

「前よりも息が整うのが早くなりましたね。かなり体力が戻ったのではないですか?」

 

「はい。クロエさんがトレーニングに付き合ってくれたおかげです」

 

「いえ、将冴様の努力の賜物です。この調子なら、明日千冬様のところに戻っても問題なさそうですね」

 

 

そう、僕は明日寮に戻ることになった。

理由を聞かれると、まぁ義肢を問題なく使えるし、ISも束さんとクロエさんが特訓してくれたおかげでかなり扱えるようになったから、というところ。

 

バーチャロンの機能を100%とはいかないものの、使用するのになんら問題ない程度まで腕を上げることができた。

 

まぁ、このラボを出たら、使うことはほとんどなくなるだろうと思っている。

 

ISコアは未登録のものだし、男の僕が動かせると知られたら大パニックだ。

 

千冬さんには伝えるつもりだけど。

 

 

「戻る準備はできていますか?」

 

「ええ、もう荷物はまとめてありますし、あとは戻るだけです。ちょっと早いけど、二ヶ月の間ありがとうございました」

 

「いえ、こちらこそ、楽しい時間を過ごさせていただきました」

 

 

お互いに頭を下げたまま、同時に吹き出した。

 

「ふっ、ははは」

 

「ふふ」

 

「ちょっとちょっと!二人で何楽しそうにしてるのぉ?」

 

 

どこからともなく束さんが現れた。一部始終を見ていたのだろうか。

 

 

「いえ、なんでもないですよ」

 

「はい、なんでもありません」

 

「むぅ、束さんだけのけものなんて酷いよ!」

 

 

プンプンといいながらそっぽを向いてしまう束さん。まぁ、気にしなくても大丈夫だろう。

 

 

「それにしても、明日でしょーくんはいなくなっちゃうのかぁ。束さんさみしいよ、およよ〜」

 

「また会えますよ」

 

 

僕はそう言いながら、ISの拡張領域から量子変換しておいた車椅子を取り出す。それに座り、義足をそのまま拡張領域にしまい、新たに義手を取り出す。拡張領域に義肢と車椅子を入れておけば、車椅子は座れる位置に、義肢は取り付けられた状態で出てくるように、束さんが改造してくれた。

 

バーチャロンを待機状態にした時、僕の体を支えてくれるものがないから危なかったが、これで安心してバーチャロンに乗ることができる。

 

義肢の取り付けも楽になったし。

 

 

「くーちゃん!今日はお別れ会だよ!ご馳走作ってね!」

 

「はい、束様」

 

「僕も手伝います」

 

 

明日、みんなに会える……。

 

 

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

トントントントン……

 

 

「クラリッサ……」

 

 

トントントントン……

 

 

「おい、クラリッサ」

 

 

トントントントン……

 

 

「クラリッサ大尉!」

 

「はっ!?なんでしょう、ラウラ隊長!」

 

 

ぼーっとしていて気づかなかった。向かいのデスクに座っていたラウラ隊長が不機嫌そうな顔を向けている。

 

 

「さっきからトントンうるさいぞ!なんだってそんなペンでデスクを叩いているんだ」

 

「いえ。そのぉ……落ち着かなくて……」

 

「落ち着かない?まぁ、この部屋はできたばっかりだしな。この『シュバルツェ・ハーゼ隊』ができたのも、昨日だったし……」

 

 

『シュバルツェ・ハーゼ隊』。織斑教官が申請し設立された、IS特殊部隊だ。隊長はラウラ・ボーデヴィッヒ。今は少佐になっている。異例の出世だ。

 

 

「いえ、そういうわけでは……」

 

 

このできたばかりの部屋と部隊に落ち着かないわけではないのだ……。

 

 

「ん?違うのか?」

 

「その……今日は」

 

 

なんとも言いづらい……。これではルカから前が言っていたように……お、乙女のようではないか……。

 

 

「……ああ、そうか。あいつが帰ってくるのか」

 

「……はい」

 

 

そう、彼……将冴が帰ってくるのだ。2ヶ月前、体を戻すために織斑教官の知り合いの元へ行った将冴が……。

 

 

「それで落ち着きがなかったのか……ルカから聞いたとおりだな」

 

「今何か言いました?」

 

「いや、なんでもない」

 

 

何を言ったのか知らないが……。

 

将冴は無事に体を取り戻せたのだろうか……。ああ、早く時間にならないだろうか……。もう帰ってきたのだろうか……。

 

 

「クラリッサ……今日はもう帰っていいぞ」

 

「え?いや、しかし……」

 

「今日は訓練もないし、もう書かなければならない書類もない。時間ではないが、もういいぞ」

 

「隊長……」

 

「集中できない奴はら、帰って休んでろ」

 

「……ありがとうございます。お言葉に甘え、先に失礼します」

 

 

デスクの上を片付ける。

早く……早く……。

 

 

「クラリッサ……少し雑だぞ……」




クラリッサを久しぶりに書いた気分だ……束さんのインパクトが強すぎるんだ……。

クラリッサの絵をpixivで探したりしてるけど……なかなかビビッとくるものがありませんね。
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