IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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だんだん寒くなってきましたね。皆さん元気にお過ごしでしょうか。

私の住む北海道には、大型台風が接近しており、とても恐ろしい限りです。

気圧が変わると、頭痛するのでその辺も憂鬱です。


197話

 

私が将冴の事を話すと、クラリッサはそのまま地面にへたり込んだ。無理もない。私だって、こんな事信じたくはない。どれだけ自分が飛び出そうと思ったか……。

 

 

「千冬姉!すぐに俺たちに将冴の捜索を!」

 

「そうです!将冴はスペシネフを発動していて危険な状態なのでしょう?ならば、早々に見つけて……」

 

「見つけてどうする。お前たちに、アレが止められるのか?」

 

 

スペシネフの戦闘を見たことがある者たちは、一様に顔を伏せた。アメリカ代表候補生の2人は見たことがないため、ピンときていないが。

 

アレは異質だ。性能はもちろんのこと、エネルギーが枯渇しているはずなのに延々と動き続ける。束の奴、なんてものを……。

 

 

「ではどうするのですか!?このままじゃ、将冴さんは……」

 

「お願い、千冬さん!将冴の捜索を!」

 

 

何度言ってもわからない小娘どもが……わかるまで何度も釘を刺さなければ気が済まないのか!?

 

私が声を上げようとした時、バンッという音とともに会議室の扉が乱暴に開け放たれた。

 

そこにいたのは、いつものうさ耳とエプロンドレスではなく、黒いスーツに白衣といういでたちの束だった。

 

 

「束……その格好は」

 

「ちーちゃん……それと、ここにいるみんなに話がある」

 

 

いつになく真剣で、幼馴染みの私でも見たことのないその様子が、事態の深刻さを物語っていた。

 

束は未だに地面にへたり込んでいるクラリッサの前に立つと、胸ぐらを掴み持ち上げた。

 

 

「くらちゃん、いつまでそうしているつもり?」

 

「篠ノ之……博士……」

 

「しょーくんの彼女でしょ?現実逃避してる場合じゃないんだよ。いの一番に動かなきゃいけないのはくらちゃんでしょ!」

 

 

束はクラリッサを会議室の外まで連れてくと、クラリッサを廊下に投げ捨てた。

 

 

「ぐっ!?」

 

「そんな腑抜けた人がいても、何もできない。しょーくんは救えないよ、クラリッサ・ハルフォーフ」

 

 

そう冷徹に言い放った束は会議室の扉を閉め、こちらに向かった。

 

 

「ちょっと脇道に逸れたね。それじゃ、今起こってることについて話すよ」

 

 

束の変化と、淡々と話し始める姿に、誰もクラリッサのことを問い詰めることはできなかった。アメリカ代表候補生の2人も、ISの開発者である束を前にして固まっていた。

 

束は、いつの間に仕込んだのか、会議室のプロジェクターを起動させて映像を映し出した。

 

その映像は、スペシネフの機体データのようだった。

 

 

「しょーくんがスペシネフで暴走状態なのは、みんなもわかってるよね。言うまでもなく、この状態にしたのはダイモン。今、しょーくんは太平洋上で静止している」

 

 

映像のデータは現在のスペシネフの状態のようだ。各性能が普通のISのデータを大きく上回っている。だが、その中で一つだけ、見たことのないデータがあった。そのデータだけが、数値が増えたり減ったりと変化が激しい。

 

 

「あ、あの……質問いいですか……?」

 

 

更識簪が控えめに手を挙げると、束は無言で指差した。おそらく話せという意味だろう。簪は困惑したようにこちらに視線を向けたので、頷いて喋るように促した。

 

 

「その、一つだけ数値が不安定なデータは何ですか?」

 

「これはしょーくんの感情値……つまり、スペシネフの動力源とでも言えばいいかな。これが0になればスペシネフは停止する」

 

「じゃあ、どうにかしてそれを0にすれば、将冴を!」

 

「ううん、残念ながらそれはないよ、いっくん」

 

 

束のその言葉に、ここにいるもの全員が表情をこわばらせた。

 

しかし、束はそのまま言葉を続けた。

 

 

「それを説明する前に、ダイモンが今何をしようとしてるか説明するよ」

 

 

プロジェクターの映像が変わり、今度は001から467までの数字と、それぞれにパーセンテージが振られている。

 

467これはまるで……。

 

 

「これは全世界にあるISコアの侵食率を表している」

 

「侵食率?」

 

「これが100%になった時……そのISは、ダイモンの支配下に落ちる」

 

「なっ!?」

 

 

思わず声を出してしまったが……そんなことが起これば、世界は……。

 

 

「姉さん、それは何かの冗談では……」

 

「箒ちゃん、今回ばかりは、私も冗談は言わないよ」

 

「っ……」

 

 

今の束は、何もふざけてはいない。過去に例を見ないほどに、本気なのだ……。

 

 

「篠ノ之束博士……その、何故ISが侵食を受けているのですか?」

 

「君は……ラウラ・ボーデヴィッヒだっけ?それは、この状況で話したことを考えたら、すぐに答えが出るよね」

 

 

この状況……将冴がスペシネフで暴走状態で……まさか……

 

 

「ダイモンは……しょーくんとスペシネフを使って、コアネットワークを通して全ISコアを侵食している」




ついに明かされるダイモンの目的。
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