まぁ、何が言いたいかというと……
……昨日、一昨日と休んでしまってごめんなさい
織斑先生に連いていくと、そこは寮長室……つまり織斑先生の部屋だった。将冴のことで話があるということだろうが……二人で話さなきゃいけないことなのか?
部屋に入ると、織斑先生はスーツの上着をハンガーにかけてから冷蔵庫を開けた。
「適当に座ってくれ。飲み物は……缶ビールでいいか?」
「は、はい」
空いている椅子に座ると、織斑先生が缶ビールを2つ持ってくると、それをテーブルの上に置き椅子に腰かけた。
そして無言で缶ビールを開けると、ぐいっと一口あおった。
「んく、っはぁ……。どうした、飲まないのか?」
「あ、いただきます」
私も缶ビールを開けて、一口飲む。
酒を飲んだのは久しぶりな気がする……。
織斑先生は、また缶ビールに口をつけ、ぐいっと飲み干し、空の缶をテーブルに置いた。
「……クラリッサ、昨日は大丈夫だったか?」
昨日……今思い出すと、本当に不甲斐ない姿を晒した。
私のせいで、将冴が暴走してしまったこと……それが何よりも辛かった。
でも……
「はい。でも、1人ではどうにもならなかったと思います。ルカがいてくれたから、今日束さんと話すことができたんです」
「そうか……正直、あのまま潰れてもおかしくないと思っていた。お前は将冴の身に何かあると、動けなくなるようだったからな。福音のときも、お前は将冴が怪我をしてるのを見て固まっていたな」
「そういえば……そうでしたね」
将冴のために動かなければと思うほど、咄嗟に動けなくなる……。本当に、私はどうしようもない。一緒にいない方がいいのではないかと思うほどだ。
でも、私はそうありたくない。だから、絶対に……。
「……どうやら、私が心配する必要はなさそうだな」
そう言うと、織斑先生は冷蔵庫からもう1本ビールを取り出した。まだ飲むつもりなのか?
「織斑先生……あまり飲みすぎないように……」
「わかっている。だが、今日は少しだけ酔いたい気分なんだ」
……織斑先生がこんなことを言うなんて、珍しいというか、初めて見たかもしれない。
やはり、将冴のことが心配なのだろうか。
「クラリッサ……私はな、将冴が好きだ」
「っ!?ゲホッゲホッ!」
突然のカミングアウトに驚いてビール吹いてしまった。この人はいきなり何を言いだして!
「そんなに驚くことか?とうの昔にバレていると思っていたが」
「いや、まぁ……それはわかっていましたが……」
明らかに織斑先生は将冴に甘い。それに、将冴のことだけ授業中だろうと名前呼びだ。
極め付けは一緒に大浴場に行ったことだろうか……。
「お前と将冴が付き合うと聞かされたときは、身を割く思いをした。ま、そうなるように手助けしたのは私だが……」
「あの……なぜ今そんなことを……」
「なに、ちょっとした愚痴だ。少し付き合え」
織斑先生が愚痴を言うのにも驚いたが、その内容もどうなんだ……。
「将冴とドイツで暮らすまでは、一夏と同じ弟のようにしか思っていなかった。だが、一緒に過ごして、将冴の強さに惹かれていったのだろうな。日本に戻ったら、無理やりにでも一緒にいてやろうと思った。まぁ、私に迷惑をかけたくないという将冴の思いを優先したが……」
「そ、そんなことを考えていたんですね……」
「ああ。だが……将冴の心は、もうお前に向いていた。やりたくはなかったが、お前と連絡が取れるように手助けをしたのは、かなり辛かった」
なんなんだろう。織斑先生は私を責めているのか?
だとしたら、なんだかタチが悪いぞ。もう酔っているんじゃないのか?
「お前がこっちに来るとなったときもそうだ。目の前でイチャイチャと……私に見せつけているのか」
「す、すいません……」
「山田先生も、将冴に好意を寄せているんだぞ?全く、本当にどうしようもないやつだ……」
不味い、これは面倒な絡み酒だ。
「お、織斑先生、それくらいで……」
「なんだ、まだ私は話し足りない。そうだ、山田先生も呼ぶぞ。ついでに束もだ」
疲れがたまっていたのか、すぐに酔ってしまった織斑先生に召集され、山田先生と束さんがこの部屋に集まり、終始将冴の話で夜中まで盛り上がっていた。
「私ら、いつまでラボで待機してりゃいいんだよ……」
「篠ノ之博士から連絡きたでしょ?明後日の朝までよ」
「今すぐにでも、あいつを元に戻してやりてぇのに……」
「あらどうやって戻すの?」
「そりゃ……その……キス、とか……?」
「音声いただきましたぁ〜」
「おま、そのレコーダー渡しやがれ!」