IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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終わりが近づいてくると、終わらせたくないという気持ちが前に出ますね。それだけ思い深いですし、頑張って書いてきたんですよね……。

まぁ、何が言いたいかというと……

……昨日、一昨日と休んでしまってごめんなさい


202話

 

織斑先生に連いていくと、そこは寮長室……つまり織斑先生の部屋だった。将冴のことで話があるということだろうが……二人で話さなきゃいけないことなのか?

 

部屋に入ると、織斑先生はスーツの上着をハンガーにかけてから冷蔵庫を開けた。

 

 

「適当に座ってくれ。飲み物は……缶ビールでいいか?」

 

「は、はい」

 

 

空いている椅子に座ると、織斑先生が缶ビールを2つ持ってくると、それをテーブルの上に置き椅子に腰かけた。

 

そして無言で缶ビールを開けると、ぐいっと一口あおった。

 

 

「んく、っはぁ……。どうした、飲まないのか?」

 

「あ、いただきます」

 

 

私も缶ビールを開けて、一口飲む。

酒を飲んだのは久しぶりな気がする……。

 

織斑先生は、また缶ビールに口をつけ、ぐいっと飲み干し、空の缶をテーブルに置いた。

 

 

「……クラリッサ、昨日は大丈夫だったか?」

 

 

昨日……今思い出すと、本当に不甲斐ない姿を晒した。

私のせいで、将冴が暴走してしまったこと……それが何よりも辛かった。

 

でも……

 

 

「はい。でも、1人ではどうにもならなかったと思います。ルカがいてくれたから、今日束さんと話すことができたんです」

 

「そうか……正直、あのまま潰れてもおかしくないと思っていた。お前は将冴の身に何かあると、動けなくなるようだったからな。福音のときも、お前は将冴が怪我をしてるのを見て固まっていたな」

 

「そういえば……そうでしたね」

 

 

将冴のために動かなければと思うほど、咄嗟に動けなくなる……。本当に、私はどうしようもない。一緒にいない方がいいのではないかと思うほどだ。

 

でも、私はそうありたくない。だから、絶対に……。

 

 

「……どうやら、私が心配する必要はなさそうだな」

 

 

そう言うと、織斑先生は冷蔵庫からもう1本ビールを取り出した。まだ飲むつもりなのか?

 

 

「織斑先生……あまり飲みすぎないように……」

 

「わかっている。だが、今日は少しだけ酔いたい気分なんだ」

 

 

……織斑先生がこんなことを言うなんて、珍しいというか、初めて見たかもしれない。

 

やはり、将冴のことが心配なのだろうか。

 

 

「クラリッサ……私はな、将冴が好きだ」

 

「っ!?ゲホッゲホッ!」

 

 

突然のカミングアウトに驚いてビール吹いてしまった。この人はいきなり何を言いだして!

 

 

「そんなに驚くことか?とうの昔にバレていると思っていたが」

 

「いや、まぁ……それはわかっていましたが……」

 

 

明らかに織斑先生は将冴に甘い。それに、将冴のことだけ授業中だろうと名前呼びだ。

 

極め付けは一緒に大浴場に行ったことだろうか……。

 

 

「お前と将冴が付き合うと聞かされたときは、身を割く思いをした。ま、そうなるように手助けしたのは私だが……」

 

「あの……なぜ今そんなことを……」

 

「なに、ちょっとした愚痴だ。少し付き合え」

 

 

織斑先生が愚痴を言うのにも驚いたが、その内容もどうなんだ……。

 

 

「将冴とドイツで暮らすまでは、一夏と同じ弟のようにしか思っていなかった。だが、一緒に過ごして、将冴の強さに惹かれていったのだろうな。日本に戻ったら、無理やりにでも一緒にいてやろうと思った。まぁ、私に迷惑をかけたくないという将冴の思いを優先したが……」

 

「そ、そんなことを考えていたんですね……」

 

「ああ。だが……将冴の心は、もうお前に向いていた。やりたくはなかったが、お前と連絡が取れるように手助けをしたのは、かなり辛かった」

 

 

なんなんだろう。織斑先生は私を責めているのか?

だとしたら、なんだかタチが悪いぞ。もう酔っているんじゃないのか?

 

 

「お前がこっちに来るとなったときもそうだ。目の前でイチャイチャと……私に見せつけているのか」

 

「す、すいません……」

 

「山田先生も、将冴に好意を寄せているんだぞ?全く、本当にどうしようもないやつだ……」

 

 

不味い、これは面倒な絡み酒だ。

 

 

「お、織斑先生、それくらいで……」

 

「なんだ、まだ私は話し足りない。そうだ、山田先生も呼ぶぞ。ついでに束もだ」

 

 

疲れがたまっていたのか、すぐに酔ってしまった織斑先生に召集され、山田先生と束さんがこの部屋に集まり、終始将冴の話で夜中まで盛り上がっていた。




「私ら、いつまでラボで待機してりゃいいんだよ……」

「篠ノ之博士から連絡きたでしょ?明後日の朝までよ」

「今すぐにでも、あいつを元に戻してやりてぇのに……」

「あらどうやって戻すの?」

「そりゃ……その……キス、とか……?」

「音声いただきましたぁ〜」

「おま、そのレコーダー渡しやがれ!」
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