IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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将冴奪還作戦開始。

着々と終わりに近づいてきました。
ラストは考えていますが……いろいろ無理やりになっちゃうかなぁと懸念しております。

まぁ、書いてみてですね。


204話

 

翌朝。

 

作戦に参加する者たちは、全員校庭に集まっていた。

今回、将冴の元へと向かうのは私と一夏、箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、マドカの8人だ。他に2人、束さんの仲間も加えると言っていたが、まだ姿を見せていない。

 

更識姉妹や他の代表校補正などは、学園に残りもしものときに備える形となっている。

 

 

「さて、みんな集まったね?」

 

 

全員が集まったところで、束さんがコホンと咳払いをし、話を始めた。

 

 

「しょーくんは以前と変わらず、太平洋上にいる。詳しいポイントはみんなに送っておいたから確認しておいてね。で、その周辺に複数の熱源反応がある。おそらくダイモンの悪趣味なあの球体たちだね。接敵したら、事前に伝えたように行動するように」

 

 

束さんが一つ一つ丁寧に確認していく。いつもの飄々とした態度は微塵も感じられない。いつでもこうならいいのだが……。

 

 

「……それと、ちょっと悪い知らせがあるよ」

 

「悪い知らせ?」

 

 

オウム返しのように尋ね返すと、束さんはゆっくり頷いた。

 

……まさか……。

 

 

「10個のISコアが乗っ取られた。そのうち3個は、まだ機体に組み込まれる前のコアだけの状態だったから問題はないけど、他の7体はひとしきり暴れた後に逃走。しょーくんのもとに集まっている」

 

 

すでに乗っ取られて……ということは、それらも障害となるわけか。戦況は、こっちの方が不利ということか。

 

 

「幸いにも、乗っ取られたのは訓練機だけみたい。でも、シャドウ化……福音のときのようにかなり攻撃的になっているはず」

 

「福音ほどではないけど、それなりの脅威ではあるわけだな……」

 

「大丈夫だよ、いっくん。福音を倒した君達なら」

 

 

あれ以降も、一夏達は研鑽を積んできている。技術はかなり向上しているはずだ。苦戦はすれど負けはしないと私は思っている。

 

 

「そろそろかな……」

 

 

束さんが小さく呟くと同時に、こちらに向かって2機の戦闘機のようなものがこちらに近づいてくる。

 

いや、あれはマドカと同じISか?

 

その2つのISは、私達の上空で静止すると、人型に変形しゆっくりと校庭に降り立った。

 

 

「きたね、すーちゃん、おーちゃん」

 

「遅くなってごめんなさい。ちょっと準備に手間取って」

 

 

2人がISを解除すると、ブロンドで泣きぼくろが特徴的な女性と、茶髪でつり目の女性が現れた。

 

 

「みんな、この2人が束さんの協力者だよ。今回、みんなと一緒にダイモンの軍勢の足止めをしてもらう」

 

「スコールよ。うちのマドカがお世話になってるわね」

 

「オータムだ」

 

 

オータム……確か、夏休み中に電話で話した……この女性がそうだったのか。

 

 

「作戦ポイントまでは、このすーちゃんとまーちゃんに先導してもらうことになるから。おーちゃんは、くらちゃんをしょーくんの元まで」

 

「了解よ」

 

「了解だ。よろしく頼むぜ、クラリッサさんよ」

 

「ああ、こっちこそよろしく頼む」

 

 

どちらからともなく握手をすると、オータムは私の目をジッと見てきた。見定めている、そんな感じがした。

 

 

「……大丈夫そうだな」

 

「……」

 

「お前にかかってる。しっかりやれよ」

 

「無論だ」

 

 

握手を解き、お互いに一歩下がる。それを見てか、束さんが話を続けた。

 

 

「戦ってる間も、侵食は進んでる。また新たにISの増援がするかもしれないから、注意してね。……もう話すことはないかな。各自準備、しょーくんを取り返すよ!」

 

『了解!』

 

 

必ず、この手で取り戻す。

待っていてくれ、将冴。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

……どれくらい経っただろう。

 

自分がこの状態になってどれだけ経ったのかもうわからない。

 

相変わらず、何かを忘れている。

 

何を?

 

思い出せない。

 

……また、眠くなってきた。

 

何だろう、寝ちゃいけない気がする。

 

起きなきゃ。

 

起きて……起きて何をすればいい?

 

わからない。

 

……抗えない。

 

心地よすぎて、この眠気からは……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「来い、シュバルツェア・ツヴァイク!」

 

 

私の体を黒い装甲が覆う。

昨日、束さんが直々に調整をしてくれたから、各種機能は問題なく動いている。

 

……昨日の調整の際に、束さんが気になることを言っていたな。

 

 

『おろ?登録情報が、くらちゃんとほとんど一致してる?』

 

 

おそらく、ルカのやつ。一度もシュバルツェア・ツヴァイクを使わなかったな。調整もいじらず、いつでも私に返せるように。

 

全く、本当に……私はいい友を持ったものだな。

 

 

「クラリッサ」

 

 

シュバルツェア・ツヴァイクの起動確認をしていると、IS……確か、マイザーΔだったか。それを纏ったオータムが話しかけてくる。フルスキンタイプだが、今は頭部装甲は外しているようだ。

 

 

「オータム。どうかしたか?」

 

「いや……この間の電話の礼をしようと思ってな。おかげで色々と吹っ切れた」

 

「それなら良かったが……」

 

「安心しろって、お前から将冴をとるような真似はしねぇよ」

 

「なっ!?」

 

「お?煽り耐性は低そうだな。こりゃいい発見したな」

 

 

ケタケタと笑うオータム。くっ、電話越しではわからなかったが、私はこいつが苦手かもしれない……。

 

 

「ま、今日の作戦はすべてお前にかかってる。失敗すれば、将冴もISも全部奪われる。わかってるよな?」

 

「ああ。もちろんだ」

 

 

私にのしかかる重責。

 

だが……この程度、将冴が親と手足を失った時に比べれば何ともない。

 

 

「返事はいいな。危なくなったらいつでも言ってくれ。お前の代わりに、将冴を助けてやるからよ」

 

「悪いが、そんなことにはならない」

 

「ハッ、上等じゃねぇか。しっかりやれよ。……っと、そろそろ出発か。移動の時は私に捕まれ。できるだけエネルギー消費抑えるためにな」

 

「ああ、わかった」

 

 

全員の準備が整い、全員が出発する体制に入る。

 

その時、通信が全員に入った。相手は……束さんと織斑先生。

 

 

『みんな、しょーくんのこと頼んだよ』

 

『私たちはここで見ることしかできない。だが、お前たちなら何も問題はないと信じている。行ってこい、将冴を取り戻しに!』

 

 

了解です。必ず、連れて帰ります。

 

 

「クラリッサ・ハルフォーフ、シュバルツェア・ツヴァイクで出る!」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

将冴を取り戻しに飛び出した10人を見送った千冬と束は、踵を返し、校舎に足を向けた。

 

 

「行ったね」

 

「ああ。あとはあいつら次第だ」

 

「私はモニタリングがあるけどね。ちーちゃんは、このあとは何か……」

 

「国際IS委員会への言い訳をな。何かとうるさいんだ。将冴のことも掴んでいるようでな、帰ってきた時のために黙らせてくる」

 

「さっすが、ブリュンヒルデの言うことは違うね。よし、束さんもがんばるぞぉー!」

 

 

束が両手を上に上げて伸びをしていると、2人に近づく人物が1つ。

 

その人物は、2人を見つけると小さく声をかけた。

 

 

「ちょっとお二人さん、少しいいかい?」

 

「ん?」

 

「あなたは……篝火ヒカルノさん」

 

「篝火……ああ、バーチャロンにアレを仕込んだ……」

 

「どうしてあなたがここに?」

 

 

千冬が疑問をぶつけると、篝火ヒカルノは特に大きな反応をせず、淡々と答えた。

 

 

「いやね、シュミレーターの整備に来たんだよ。それに、将冴君からあのシステムの感想も聞きたかったから。でも……それどころじゃないようだね。さっきも、IS纏った子達が何人も飛んで行ってたしね……。何があったの?」

 

 

崩れている校舎を見たヒカルノは、ある程度察したのか質問を飛ばした。

 

千冬はあまりベラベラと話すものでもないから断ろうとするが、それよりも先に束が口を開いた。

 

 

「面倒なテロリストに襲撃されて、しょーくんは敵に操られてるんだよ。だから、今は一般市民を相手している暇は……」

 

「操られて……もしかしてスペシネフが暴走してる?」

 

「……知ってたんだ」

 

「ああ。だが、スペシネフを暴走させたということは……なるほどなるほど」

 

 

ヒカルノが1人納得したように何度も頷いた。

千冬からすれば何を考えていたのかわからなかったが、束は多少なりとも興味を持ったようだった。

 

 

「何、何を考えているの?」

 

「いやね、篠ノ之束博士。貴方は、重大な設計ミスをしているよ」

 

「……なに?」

 

「ここで話してもいいけど、立ち話もあれじゃないか?」

 

「……ちーちゃん」

 

「ああ、許可する。ヒカルノさん、どうぞ中へ」




物語は確実に動いている。

彼女たちが掴むのは一体……
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