IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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不定期が続いて申し訳ないです。

今回から、将冴とクラリッサの一騎打ち。

果たして、クラリッサは将冴を取り戻すことができるのか。


207話

 

スペシネフを纏った将冴を目視で確認した。

 

将冴はピクリとも動かず、ダランと腕を下ろし俯いている。意識があるのかないのか……いや、意識がないのならスペシネフを展開しているはずがないか。

 

 

「ここで降ろすぞ。私はスコールたちの援護に行く。任せるぞ」

 

「ああ。ここまで運んでくれて助かった」

 

「私は運び屋じゃねぇんだがな。しっかりやれ」

 

 

スコールは私を将冴から少し離れたところで降ろし、オーブの大群を引きつけていったラウラ隊長たちの元へ向かっていった。

 

さて……ここからが、私のすべきことだ。

 

 

「将冴、聞こえるか。私だ。クラリッサだ」

 

「……」

 

「私は無事だ。怪我もない。だから、もうこんなことをする必要はない。帰ろう、みんなも心配している」

 

「……くら……りっさ……」

 

 

私の名前を……しっかり意識はあるのか!?

 

 

「そうだ、私だ!」

 

「くら……ぐっ……うぅっ、がぁっ!?」

 

「将冴!?」

 

 

将冴が突然、苦しそうに頭を抑え始める。

くっ、正気に戻ったわけではないのか……!

 

 

「ぐうぅ!……ガァァァァ!」

 

「っ!?」

 

 

将冴はビームサイズを展開し、瞬時加速で接近してきた。

私は右手を将冴に向けて、AICを発動した。

 

咄嗟に発動したため、範囲がデタラメになってしまいビームサイズだけを止めてしまう。

 

 

「ゔぅ!」

 

「やめてくれ、将冴!私たちが戦う必要はない!怒りを鎮めてくれ、スペシネフを解除するんだ!」

 

 

ダメだ、力が強くなってきている……AICも咄嗟に発動したから範囲を絞れていない。すぐに破られてしまう。

 

……戦いたくなかったが、やるしかないか。

 

 

「すまない、将冴……っ!」

 

 

両肩のレールカノンを将冴に向け、同時に放つ。

 

ビームサイズをAICで固定しているため、将冴は動けずレールカノンをまともに受ける。

 

 

「がぁぁ!?」

 

 

AICを解き、一旦将冴から離れる。レールカノンの出力は下げたが……おそらく、スペシネフは健在だろう。

 

 

「グルゥ……」

 

「将冴……」

 

 

荒れ狂う獣のような声……おおよそ人の声ではない。スペシネフに支配されたせいだというのか。

 

だが、絶対に将冴を助けなければならない。

……束さんに調整してもらったこの機体で。

 

 

「行くぞ、将冴!」

 

 

ワイヤーブレードを将冴に向けて4本射出し、身動きを封じる!

 

 

「ぐぅっ!」

 

 

将冴はビームサイズでワイヤーブレードを弾きかえす。やはり、戦闘技術の高さはそのままか……。真っ向から勝負しても勝てない。

 

……昨日、束さんに言われた通りに……。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ーー昨日。

 

シュバルツェア・ツヴァイクの調整を行っていた束さんが、私に将冴と戦う際の話をしてくれた。

 

 

「いい?何度も言ってるけど、スペシネフは今世界にあるISの中でもトップクラスの性能を誇ってる。私が手を加えたとはいえ、この機体じゃ真正面から戦っても勝てないよ。くらちゃんの技術がしょーくんより高いなら話は別だけど……」

 

「……いえ、私は将冴よりも技術は劣っています。ラウラ隊長よりも、私は弱いですから……」

 

「そっか。じゃあ、できるだけ戦わないしょーくんを助ける方法を教えるね」

 

「あるんですか?そんな方法が」

 

「もちろん。……とは言っても、確実に助けられる保証はないけどね」

 

 

束さんが、不確定要素を含んだことを言うのは珍しいと箒は言っていた。その方法に頼らざるをえないほど、切迫しているということだ。

 

 

「それでも構いません、その方法は?」

 

「まぁ、簡単だよ。スペシネフが感情値で動いてるのは何度も言ってるよね。感情値を下げればスペシネフが動かなくなるっていうのも」

 

「ええ。ですが、それは危険なのでは……」

 

「うん。今の状態で無理矢理感情値を下げると、スペシネフがしょーくんの身体機能に異常きたすかもしれない。詳しく解析したわけじゃないから、確定ではないんだけどダイモンのことだから、システムに侵入してそういうトラップを用意していてもおかしくない」

 

「では、その方法は……」

 

「ううん、くらちゃんがいれば大丈夫。他でもない、しょーくんの彼女のくらちゃんなら」

 

「私なら……」

 

「うん。いい、くらちゃん。しょーくんと会ったら、しょーくんの意識がスペシネフの支配から出てくるように行動して。しょーくん自身の意識があれば、そこから私がコアネットワーク越しにスペシネフに侵入できるかもしれない。そこからは、私がどうにかするよ」

 

「将冴の意識を……どうすれば……」

 

「なんでもいいよ、話しかけるなり、抱きつくなり、キスするなり、性交するなり」

 

「な、なな、何を言って!?そんなことできるわけ!?」

 

「まぁ、なんでもいいから、しょーくんが戻ってこれるようにすればいいから。頼んだよ」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

束さんがどこまで本気かは知らないが……将冴の意識を……。

 

 

「グルァ!!」

 

 

この状態では、戻すどころではないと思うが……やるしかない。やらなきゃならない。

 

 

「待ってろ……将冴!」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

……声がする。

 

聞いたことのある声、ずっと聞きたかった声……。

 

誰の声?

 

……行かなきゃ。

 

声のする方へ。

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