IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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将冴奪還作戦最後。

果たしてクラリッサは何をするつもりなのか。


212話

 

「将冴……」

 

 

私は腕を広げて、ゆっくりと将冴に近づく。近づきながら、機体の状況を確認すると、AICが使えなくなっているようだ。レールカノンも……出力が落ちてきている。侵食の状況が進んできた証拠だ。

スライプナーも、先ほど飛ばしてしまったから手元にない。

 

今攻撃されれば、ほとんど無防備な状態だ。

 

 

「ウゥ……クル……ナ……」

 

「意識が戻りかけているんだろう?私がわかるか?」

 

 

まだ顔を手で隠している。だけどこちらを見る為に、右目だけが見える。ここからでもわかるくらいに、目が赤くなっている。血走ったような……今にも血が流れ出そうな……。

 

 

「私がわかるんだろう。だから顔を隠すんだろう。大丈夫だ、私は将冴を拒絶しない」

 

「ミルナ……クル、ナ……」

 

『くらちゃん、しょーくんの感情値がまた下がったよ。でもまだ……』

 

 

言葉だけではダメだ……将冴を取り戻すには、言葉だけでは……。

 

将冴のビームサイズが届く距離まで近づくと、将冴はビームサイズを私に向けた。ロングランチャーも一体となっているため、私に銃口が向いている。

 

この至近距離で撃たれれば、すぐにエネルギーが尽きるな……だが

 

 

「撃ちたければ撃てばいい……だが、将冴は撃てない。今までも撃っていない。私が……クラリッサだとわかるから撃たなかったんじゃないのか?」

 

「う……う……」

 

「……」

 

 

銃口を向けられているのを気にせず、さらに将冴に近づく。将冴は、それに反応し、ビームサイズを振り上げた。

 

 

「グッ、アアアア!」

 

「ぐうっ!?」

 

 

容赦なく振り下ろされたビームサイズが私を容赦なく切り裂いた。ISの絶対防御はまだ作動しているが……エネルギーがほとんど残っていない……。

 

 

「大丈夫……大丈夫だ……これくらい、どうってことない……」

 

「ア……ウ……」

 

「将冴、お前が抱いた感情に比べれば、なんともない」

 

 

将冴の左手を掴み、グイッと引っ張る。

ようやく見せてくれた顔は……泣いていた。スペシネフの影響か、真っ赤になった目から涙を流していた。

 

 

「ミルナ……」

 

「だめだ。もう1人で泣くんじゃない。もっと私の前で泣いてくれ。将冴が抱えるものを、全部教えてくれ。これからは、私も背負うから」

 

「く、ら……」

 

「将冴が抱えるものが、どんなに黒い感情でも構わない。私にも背負わせてくれ。私は、絶対に将冴のことを嫌ったりしないから」

 

 

私はそのまま、将冴と口付けをした。

 

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

……また……光?

 

でも、さっきとは比べ物にならないくらいの、強い光……。

 

この光は……。

 

 

《闇を晒してもいいのか?》

 

 

闇……そうだ、僕は今……。

 

でも……この光なら……。

 

僕を……包んでくれる。

 

 

《また、闇を生み出すだけだぞ》

 

 

……そうかもしれない。

 

でも、溜め込む必要はない。

 

だって、聞こえたんだ。

 

一緒に背負うって。

 

嫌ったりしないって。

 

僕の……僕の大好きな人が、そう言ってくれたんだ。

 

だから、僕は行くんだ。

 

声の元へ……クラリッサの元に

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「束様、将冴様の感情値が!」

 

「わかってるよ、くーちゃん!スペシネフのシステムに侵入!対シャドウワクチンのデータを書き込むよ!」

 

「データ解凍終了しています。いつでも!」

 

「データ書き込み開始!同時にスペシネフのエネルギー回路をV.コンバータ以外遮断。データ書き込みが終了し、ワクチンがコアネットワークに流れたら強制待機状態に」

 

「すでに取り掛かっています。あと10秒ください」

 

「データ書き込み、12秒で終わるよ」

 

「はいっ……終わりました!」

 

「よし。さぁ、束さんの本気を味わえ、ダイモン!」

 

「……ワクチン、コアネットワーク全体に行き渡っています。侵食、止まりました!」

 

「やった……やったよ!くらちゃん!……くらちゃん?」

 

「束様、シュバルツェア・ツヴァイクがエネルギー切れで待機状態に……スペシネフも待機状態になっています!」

 

「ってことは?」

 

「2人とも、海に……」

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