IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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何やら、パチスロISが猛威を奮っているみたいですね。

作者はパチスロしないのでわからないですが、何やらメダルを吸い込むとか……だから言ったじゃないか、クラリッサをもっと出せと(言ってない


216話

 

束さんについていき、地下施設まで行くとそこにはクロエさん、スコールさん、オータムさん、マドカがいた。会議室にマドカがいないとは思ってたけど、ここにいたのか。

 

 

「将冴様、よくご無事で」

 

「クロエさん。ありがとうございます」

 

「いえ、お礼なら3人に」

 

 

そうだ、スコールさんたちも僕を助けるために来てくれたと織斑先生が言っていた。

 

目が覚めてから一度も会っていないから、もちろんお礼を言えていない。

 

 

「スコールさん、オータムさん、マドカ。ありがとうございます。そしてごめんなさい。迷惑をかけて……」

 

「気にしないで。そもそも、私とオータムがダイモンの罠にまんまとはまったせいでもあるんだから。ね、オータム?」

 

「私に降るんじゃねぇよ!……まぁ、なんだ……」

 

 

オータムさんは僕に近寄ると、ポンと僕の頭に手を置いた。

 

 

「その言葉はあいつに……クラリッサに言ってやれよ。あいつがいなかったら、お前はここにいねぇんだからさ」

 

「……はい。わかっています」

 

「ならよし、だ。私はもうラボに戻るぜ。ここにいてもできることねぇからな」

 

「あら、将冴君の目がさめるまでは、テコでも帰ろうとしなかったのに」

 

「だぁ!そういうことをここで言うんじゃねぇ!将冴、忘れろ!いいな!?」

 

「ふふ……。はい、わかりました。忘れます」

 

 

まぁ、バッチリ覚えているんだけどね。

オータムさんもそれがわかっているのか、顔を真っ赤にして、僕と束さんが入ってきた扉から出て行った。

 

 

「あら、からかい過ぎたかしら。それじゃ、私もラボに戻るわ。何かあれば連絡ちょうだいね、篠ノ之博士」

 

「はいはーい。お疲れ様、すーちゃん、おーちゃん」

 

 

スコールさんもオータムさんに続いて地下施設を出て行った。

 

束さんがオータムさんのことをおーちゃんって言ってるのに違和感を感じたが……。

 

 

「慌ただしいねぇ。まぁ、みんな嬉しいんだよ。しょーくんが無事なのがね。あ、ちょっと待っててね。準備してくるから。くーちゃん、手伝って」

 

「わかりました」

 

 

束さんとクロエさんが隣の部屋へ入っていき、ここには僕とマドカだけになった。

 

マドカは、今日一言も喋ってないけど、こっちをじっと見つめている。

 

 

「えっと……マドカ。改めて、ありがとう。助けてくれて」

 

「……私は、何もしていない。将冴を助けたのはクラリッサだ」

 

「でも、クラリッサが僕と会えるように戦ってくれたんでしょ?だったら、マドカも僕を助けてくれた恩人だよ」

 

「……そうか」

 

 

なんだろう、いつもより雰囲気が……。

 

 

「……」

 

 

マドカの視線、僕の顔じゃなくて少し下の方に……ああ……。

 

 

「マドカ」

 

「……?」

 

「触る?」

 

「……」

 

 

マドカは小さく頷くと、パタパタと駆け寄り僕のお腹にペチっと手を当てた。

 

 

「……」

 

 

表情は変わってないのに、嬉しそうな雰囲気が伝わってくる。そんなに嬉しかったのか、僕のお腹。

 

 

「……満足した?」

 

「……」

 

「まだなのね……」

 

 

と、その時。隣の部屋に行っていた束さんとクロエさんさんが戻ってくる。僕のお腹をペチペチしているマドカのことは何度も見ているので、2人とも別段驚いている様子はない。

 

 

「しょーくん、準備できたから隣の部屋に来てくれるかな」

 

「はい、わかりました。マドカ、もういいかな」

 

「……ああ」

 

 

ああ、表情変わってないのに落ち込んでいるのがわかる。そんなに好きなのか、僕のお腹。

 

 

「私は部屋に戻る。将冴、言わなくてもわかる思うが……」

 

「うん。わかってる。今回のことでよくわかったさ」

 

「……ならいい」

 

 

マドカはそれだけ言うと、地下施設を後にした。

一夏たちに比べて、マドカとの交流は少ないけど、お互いに分かり合えている気がする。

 

まぁ、未だになんでお腹を触るのかはわからないけど。

 

 

「しょーくん、隣の部屋にテムジンがあるから起動してみて。起動するだけでいいから」

 

「?はい……」

 

 

起動だけ……?

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

隣の部屋にあった白いテムジンに乗り込む。

なんだか、ずいぶん久しぶりな気がする。

 

 

「しょーくん、いつでもいいから起動してみてね」

 

「はい、わかりました」

 

 

束さんがなんで起動だけでいいなんて言ったかわからないけど……やってみればわかるか。

 

 

「……テムジン」

 

 

小さく呟くと同時に、網膜に直接投影されて機体のデータが映る。システムオールグリーン……出力も……なにこれ、すごい数値。本当にすごい機体なんだな。

 

それに……なんだろう、この暖かい感じ。今まで感じたことないな……。

 

 

「うん。問題ないみたいだね。しょーくん、待機状態にしてみて」

 

「あ、はい!」

 

 

待機状態に戻すと同時に、車椅子を出してそこに落ちるように腰掛けた。腰痛ぁ……。

 

 

「あ、義足は拡張領域に入ってるからね」

 

「いうのが遅いですよ、束さん……」

 

 

時すでに遅しだ。

ま、今に始まった事ではないけど。

 

耳に待機状態のピアスが付いている。やっぱり、なんか暖かいような……。

 

 

「それで、束さん。これは……」

 

「ちょっとした実験、かな。さっきの部屋に戻って説明するよ」

 

 

実験……。

 

また部屋を移動すると、束さんはモニターに白いテムジンのスペックデータと、スペシネフのスペックデータを映した。

 

 

「それじゃ、説明するね。まず、しょーくんが気になってると思う、テムジンタイプa8の高スペックの理由からね」

 

 

それはとても気になっていた。今まで使っていたテムジンと比べるべくもないそのスペックは、明らかにおかしい。いくら束さんとはいえ、あんなのを作るなんて不可能だと思ったんだ。

 

 

「結論から言っちゃうとね。このテムジンタイプa8にはスペシネフのEVLバインダーの技術を使っているんだよ」

 

「え、それって……」

 

「そう、感情値による機体性能の上昇。テムジンの高スペックはそれが理由だね」

 

「でも、あれは負の感情を増幅して、それをエネルギーとして利用するものですよね?僕は今、負の感情にとらわれていないのに起動できましたし、システムも正常に……」

 

「うん。だって、そのテムジンに積んでるのは負の感情ではない感情をエネルギーに変換してるからね」

 

「え?」

 

 

ダメだ、さっぱりわからない。

スペシネフの技術を使っているのに、負の感情に取り込まれない?

 

 

『束博士、その辺は私が説明しよう』

 

 

突然聞こえてきた声は、スピーカーから流れてきた。

この声は……。

 

 

『やぁ、将冴君。大変だったようだね』

 

「ヒカルノさん?なんで……」

 

 

モニターには篝火ヒカルノさんの姿が映し出される。

どうして……

 

 

「ひっちゃん、これを説明するのは束さんの……」

 

『束博士が説明したら、自分が犯した失敗を黙ってそうだからね。その辺も含めて、私がじっくり説明してあげるよ』

 

「ぐぬぬぬ……」

 

 

この2人の間でなにがあったかわからないけど……束さんのコミュ症が改善に向かっているようで何よりです。

 

 

『さて、将冴君。まずは束博士が犯したとてつもない失敗を教えてあげよう。そう……この失敗がなければ、少年がスペシネフという馬鹿げた機体に取り込まれることはなかったんだからね』

 

「それは……」

 

「っ……」

 

 

束さんが顔を伏せる。本当に束さんの見たことない姿をよくみるな……。

 

 

『ま、仕方ない部分もあるんだけどね。まず、君の両親がバーチャロンのデータを持っていたのは知ってるよね?』

 

「はい。そのデータを束さんに渡して、バーチャロンを作ってもらったんです」

 

『君の両親はね、奪われることを考えて設計図に色々とブラフを仕組んでいたんだよ』

 

「ブラフ?」

 

「それは束さんも気づいていたんだよ……しょーくんの両親がそういうのを仕込むのは知っていたし……」

 

『でも、束博士は重要なところのブラフにまんまと引っかかった。それはEVLバインダーの部分だね。束博士はそれが設計ミスとは気づかず、スペシネフは将冴君の両親がもともと設計した通りには作られなかったわけだ』

 

「……それで、あのスペシネフが……」

 

「ごめんね、しょーくん。何もかも私のせいだよ。しょーくんがダイモンに……」

 

「束さん、謝らないでください。僕は、束さんのおかげで、戦う力を手に入れられたんですから」

 

 

お父さんとお母さんがブラフを仕組んだせいでもあるし、束さんは今まで何度も助けてくれた。僕は束さんを責めることはできない。

 

 

『ふっふ、将冴君は人ができてるね。よかったね束博士、許してもらえて』

 

「うるさいなぁ、ひっちゃん!」

 

『ま、そういうわけで、それに気づいた私は束博士にちょいとアドバイスをしてあげたのさ』

 

「それでできたのが……」

 

『察しが良くて助かるねぇ。そうだよ。そのテムジンは私と束博士の合作と言っても過言ではないね』

 

 

ヒカルノさんがどれだけの技術を持っているのかは知らないけど、倉持技研にいる人だ。かなりの技術力を持っていてもおかしくない。お父さんとお母さんの同僚でもあるし。

 

 

『さて、それじゃあ、そのテムジンがどうなったか説明してあげよう。今まで話したように、その機体に乗せたユニットは負の感情ではなく、君の正の感情……そうだね、今の君の中で一番大きそうなのは愛情、とかかな?』

 

「なんか頭悪そうな会話だね」

 

『他に説明のしようがないだろう?』

 

「……それじゃあ、このテムジンを起動した時の暖かい感じは……」

 

「正常にユニットが作動している証拠だね」

 

 

そうなんだ……なんだか、今まで僕を苦しめていたものが、逆に助けになるなんて……思っても見なかったかな。

 

 

「起動さえしてしまえば、あとはテムジンとほとんど同じだよ。新しい兵装もつけたけど、システムアシストに使い方を入れておいたから」

 

「わかりました」

 

「説明は以上かな。明日は、宇宙に出る準備が出来次第、しょーくんには宇宙に上がってもらうから、そのつもりでね。今日はゆっくり、くらちゃんと過ごしてね」

 

「……はい」

 

 

いよいよ、か……。




準備回は今回で終わる予定だったのですが……予想以上に長引きました。申し訳ありません。

次で準備回終わらせます。
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