将冴の運命やいかに。
「うおぉぉぉ!!」
ジグラットの攻撃を掻い潜り、スライプナーで切り掛かった。しかし、重機動要塞を名乗るだけあってかその装甲はとても厚い。
力を込めて切り掛かっても、表面に傷が出来るだけか……。
『どうした?生半可な攻撃はしないのではなかったのか?』
いちいちうるさいな……。でもダイモンの言う通りか。
フォームチェンジがないから、ライデンのバイナリー・ロータスに頼るわけにもいかない。機体性能は今までのテムジンと比べ物にならないくらい強いのに、いざという時の一撃がない……!
『腑抜けたな。やはり貴様は闇を抱えていた方が強かった』
「……あいにく、そんなものは今後一切抱えるつもりはないよ。いや、お前を倒して完全に決別させてもらう」
『口だけは一丁前になったようだが、行動には反映されていないぞ。そら、もう一度全砲門から攻撃だ』
ジグラットの体のいたるところから放たれるレーザーや機雷が僕めがけて飛んでくる。
宇宙空間の戦闘にはもう慣れたが、上下という概念がないからまだ覚束ないか……。幸いにも攻撃は単調だから、避けるのはそう苦労はしない。問題はどうやってジグラットの装甲を貫くかだ。
『そらそら、逃げてばかりでは勝負にならないぞ!』
そんなことは自分でもわかっている。
……思い出せ。バージョンアップしたテムジンについて、束さんが何と言っていたか……。
《ライデン並みの射撃能力と……》
……そうだ。確かにそう言っていた。新兵器もあると言っていたはずだ。
確認を怠るなんて……ちょっと冷静さを欠いていたかな。
「システムアシスト、兵装一覧を表示」
このテムジンが扱うことのできる武器が網膜投影ですべて表示される。
ボムに、エネルギー弾、エネルギーセイバー、ブルースライダー……あった。ふふ、束さんこんなもの作っちゃったらライデンの立つ瀬がないな。
『……笑っているのか?この状況で』
「不愉快だったかな?」
『そうだな……実に不愉快だ。貴様のISがフルスキン型で心底良かったと思ったぞ。笑ってる顔など虫唾が走る』
「そうか……なら、今からこの笑ってる顔を見せに行くよ」
さぁ、その分厚い装甲を撃ち抜いてやる。
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その頃、地上では一夏たち一年専用機持ち8人がISを展開してグラウンドに集合していた。どこかに行くつもりのようだったが、そこに千冬、真耶、スコール、オータムが駆け寄ってきた。
「お前たち、何をしている!」
「千冬姉、俺たちやっぱり黙って見ているなんてできねぇよ!」
「今から宇宙に上がるとでもいうのか?そんなことできるわけがないだろう!」
「それはわかっていますわ。私達は、予備です」
セシリアの予備という言葉で千冬は悟る。宇宙に上がれないの言葉は彼らも承知の事実だ。だから、彼らはもし将冴がダイモンを止めることができなかった時の最後の防波堤になろうというのだろう。
「ま、本気になった将冴なら心配ないだろうけどね。でも無茶するのは目に見えてるから、宇宙から帰ってきたら動けないってこともあるかもしれないし」
「将冴の無茶は今に始まった事ではないからな。クラス対抗戦の時も、タッグトーナメントの時も、福音の時も……それらを見てきたから、後詰めくらいはしてやりたい」
「織斑先生、お願いします。僕たちに行かせてください」
「宇宙でなくとも、兄さんと一緒に戦いたいのです……お願いいたします」
「……」
千冬は黙り込み、考えるような素振りを見せる。
今後のことのことなどを考えて、行かせていいものかどうか。
「織斑先生……ここはみなさんに任せてみても……」
「そうよ、ブリュンヒルデさん。彼らだって、それなりに成長しているわ」
「何なら私が付いて行ってやってもいいんだぜ?」
「……そうだな。わかった、各員敵要塞落下予測地点に迎え。ただし身の危険を感じたらすぐに撤退しろ、いいな!」
『了解!』
マドカ以外が返事をする中、そこに近づいてくる人物が1人いた。
「織斑先生」
「クラリッサか……お前はどうする」
「お許しがいただけるのであれば」
「ここで行かせなくても、勝手に行くだろうな……行ってこい。事後処理は任せろ」
「はい!」
終わりが近い……終わるのか……終わっちゃうのか……←