IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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今日は連続投稿したいと思います。つまるところ、今日で完結させます。日付またぐかもしれませんが……そこはご愛嬌ということで。


221話

 

『随分と、私をイラつかせるのが上手くなったようだな。貴様がスペシネフから解放されたことでも、なかなかにイラついたが』

 

「お前が僕にやってきたことのお返しさ。そして、今までお前が傷つけてきた人たちのお返しも、これからしてあげるよ」

 

『減らず口を!』

 

 

再度、ジグラットが弾幕を張り始める。その大きな体躯の至る所に取り付けられた砲塔から放たれる攻撃はどれも強力だ。

 

今までは何とか避けて隙を伺っていたが、そんなことをする必要はもうない。

 

 

「エネルギーをスライプナーに充填……フルチャージまで40秒」

 

 

僕は回避行動をとらず、スライプナーにエネルギーを回した。スラスターに使うエネルギーも全てだ。

 

 

『どうした?大口叩いておいて、敵わないと悟ったか?』

 

「もしそう見えるなら眼科にでも行くことをお勧めするよ。ま、お前の体に異常があったところで僕は一向に構わないのだけれど」

 

 

ジグラッドから放たれるレーザーが何度も僕の体を掠めていく。でも、まだだ……後20秒。

 

 

『たとえライデンを使ったところで、1発ではこのジグラッドの装甲は抜けないぞ。お前の戦闘データを参考に作ったのだからな!』

 

 

……残り10秒。

 

 

「……ダイモン、お前はやっぱり眼科に行ったほうがいいよ。この機体が、前と同じだと思っているならね」

 

 

その瞬間、スライプナーの刀身部分が大きく2つに分かれ、持ち手の部分が両肩にジョイントされるような形になる。

 

 

『何をするつもりだ』

 

「言ったでしょ。お前を倒して、完全に決別するって」

 

 

エネルギー充填完了。

 

 

「ライデンのバイナリーロータスで破壊できないなら、それ以上の火力で破壊する。これが、お前との決別の第一撃だ……《ラジカルザッパー》、行けぇぇ!!」

 

 

2つに割れた刀身の間から、今までスライプナーで放っていたエネルギー弾よりも……ライデンのバイナリーロータスよりも強大なエネルギーが放射された。

 

《ラジカルザッパー》。束さんがこのテムジンに積み込んだ、おそらく最終兵器とでも呼べるものだろうか。ライデンのチャージより早く、バイナリーロータスよりも強力なビーム兵器を、束さんは作り上げて積み込んだんだ。

 

本当に、自分で作ったものを超えるものを作るんだから……さすが大天災、というやつだろうか。

 

放たれたラジカルザッパーは、ジグラットの装甲に命中すると、盛大に爆発した。

 

 

『この、よくもっ!』

 

「装甲に穴を開けただけか……完全に破壊できると思っていたけれど、さすがにサイズが大きすぎたかな。だけど、装甲に穴が空いたね」

 

『っ!?まさか』

 

「これもさっき言ったよね。僕の笑っている顔を見せに行くって」

 

 

スライプナーをまた変形させて、ブルースライダーを起動しそれに乗ると、僕はラジカルザッパーで穴を開けた部分に向けてブルースライダーを滑らした。

 

よほど僕をジグラットの中へ入れたくなかったのか、ジグラットの攻撃が激しくなったけど、避ける分には特に問題はない。

 

ジグラッドの内部に侵入すると、すぐに隔壁が下り始める。面倒な……いちいち破壊するのも手間だし……。

 

 

「さっさと抜けさせてもらうよ」

 

 

ブルースライダーに乗ったまま、隔壁の隙間を掻い潜るように通り抜けていく。

 

しばらく進むと、広い空間に出た。そこには、ダイモンが僕の前に現れる時の姿と同じものが何体も現れた。アンドロイドのようなものか。それに、学園祭の時に僕を拘束し校舎を破壊したミルトンも数体ほどいる。

 

 

『まさか、ここまで来るとは思っていなかったぞ』

 

「よほど切羽詰まっているようだね。声に余裕がないよ」

 

『ふん……やれ』

 

 

アンドロイドとミルトンが一斉に襲いかかってくる。こんなに数がいたら狙いやすいったらないね。

 

 

「僕の武器がスライプナーだけじゃないこと、忘れてないよね」

 

 

襲いかかってくるアンドロイドたちに向けて、ボムを何個も投げつけ起爆させる。

 

アンドロイドはそこまでの耐久力はないようで、ほとんどが破壊できたけど、ミルトンは一体も倒せなかったか。

 

 

「確か、AICを使えるやつがいたっけ。でも、いるとわかっていれば!」

 

 

ミルトンに近づかないように、且つ後ろを取るように瞬時加速からのバーティカルターンでミルトンを翻弄する。

 

そして、一体ずつ確実にスライプナーで切り裂いていく。まるでルーチンワークのように。

 

 

「ISを使いたての一夏のほうがまだいい動きをしていたよ、ダイモン。そろそろ姿を現したほうがいいんじゃないか?」

 

『……』

 

 

ダイモンが突然黙ったと思うと、広い空間の中央の床から、何かがせり出してくる。あれは……筒?……いや……何かを培養するような容器だ。

 

中には……

 

 

「脳……?」

 

『貴様に、私の本体を見せることになるとはな』

 

「体を捨てたのか……」

 

『体などに未練はない。むしろ、世界を混乱に陥れるという私の野望の前では、体など邪魔だ』

 

「そうまでして……」

 

 

狂っている。()()は自分の野望に狂わされている。

 

 

『つまらんのだよ……偽りの平和を享受する今の世界は。人間の本質は奪い合い、殺し合うことにあるのだよ。貴様が私を殺したいと思ったようにな』

 

「……お前がそう思うのなら、お前の中ではそうなんだろう。だけど、僕は否定する。殺意を持ったからこそ、僕は否定する」

 

『いつまでも平行線か……何が貴様をそこまで動かす』

 

「お前にはわからないよ。話したところでお前がどうなるというわけではない」

 

 

僕はスライプナーをダイモンに突きつけた。

 

 

「終わりだよ。お前はここで僕が……殺す」

 

『最後に殺意を抱くか……だが、その殺意は不純だ。そんな殺意を抱いても、苦しむのはきさ』

 

 

ダイモンの言葉を全て聞く前に、僕は引き金を引いた。エネルギー弾が培養器を破壊し、ダイモンは……死んだ。

 

 

「殺意を抱くのはこれで最後だよ、ダイモン……。さっきの質問、答えてあげるよ。大切な人がいるから、僕はここに来た。ただそれだけだ」

 

《マスターの反応消失。ジグラット、爆破シーケンスに入ります》

 

「最後の最後まで、お前は僕を苦しめたいみたいだね……」

 

 

帰らなきゃ。約束したから。

 

 

《爆破まで30秒。29、28……》

 

 

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