ダイモンの要塞が降下してくるであろうポイントに着いた私たちは、揃って上空を見上げていた。
「将冴……」
将冴が宇宙へ上がって、かなり時間が経っている。
1人であんな大きなものと戦うなんて……本当は行かせたくなかった。でも、将冴の覚悟を止めることなんて、私には。だから、信じてる。将冴は戻ると約束してくれた。だから……
「まだかよ、将冴……まさか、やられたなんてこと……」
「一夏、縁起でもないことを言うな!将冴なら……」
「でも一夏さんの気持ちもわかりますわ。将冴さんは、目が覚めたばっかりでしたし……」
「将冴がそんなことで負けるなんてありえないわよ。私たちの誰より強いんだから……」
「そう、だよ……!将冴君が、テムジンが負けるなんてないよっ!」
一夏、箒、セシリア、鈴、簪たちの会話は、不安を感じないように強がっているようにも見えた。
それに反して、ラウラ隊長とシャルロット、マドカは強い眼差しで、空を見上げていた。信じている。将冴が戻るのを誰よりも。
「クラリッサ」
「オータムか。なんだ?」
「……平気そうだな」
「ここにいる誰よりも、将冴を信じているからな」
「そうか……ヤッパリ敵わねぇな……」
「なにが敵わないんだ?」
「こっちの話だ。……っと、通信か?」
オータムとの会話の途中で、ここにいる全員に通信が届いたようだ。これは、束さんか?
『みんな!今宇宙で大きな爆発を確認したよ!しょーくんがダイモンの要塞を破壊してくれたんだよ!』
「マジかよ!将冴、マジでやった!」
束さんからの報告で、一夏たちが一斉に喜びの声を上げた。
だけど……それよりも……
「束さん、将冴は……将冴はどうしたんですか!?」
『……』
私の言葉に、束さんも、他のみんなも押し黙ってしまう。
『しょーくんISから送られてきていたバイタルデータが……爆発と同時に途切れてる。爆発の影響で通信が悪くなっているだけ……だと思うけど、もしかしたらISが……』
束さんが不確定な言葉を口にするということは、本当によほどのことが起こったということだ。
将冴……っ!
《……めん……ッサ》
っ!?今の……暖かい感じは……
「…………だ」
『くらちゃん?」
「将冴は、大丈夫だ」
私はみんなに制止させる暇を与えず、上空に飛んだ。
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体が動かない……ジグラットの爆発が、あそこまで大きなものになるとは……。
テムジンは爆発に巻き込まれて、左腕と右足がなくなっている。いつものテムジンなら、もうシールドエネルギー切れで僕死んでたな……。
駆動系にもダメージがあるみたいで、ほとんどなにも動かせない。
幸いなのは、地球に向けて吹き飛ばされたことかな。感情ユニットは……辛うじて動いているみたいだ。どんどん数値が下がっていっている。
大気圏突入には耐えられるけど……下が海でも地面でも、僕は耐えられなさそうだ。
「みんなのところには……帰れないかな……」
約束、破っちゃうな……。
機体表面の温度が上昇し始めた。大気圏に突入したのかな……。
ダメだ……なんだか、意識が……。
ごめん、クラリッサ……約束破って……
「いや、ちゃんと守ってくれた」
ふわりと、地面に衝突するでもなく、僕は受け止められた。
声……僕の大切な人の……。
「……やっぱり、僕を助けてくれるのは……」
「ああ、私はどんな時でも助けてやる」
……ただいま、クラリッサ。
ああ、おかえり。将冴。
活動報告にて、あとがきのようなものを公開してます。