と、言いつつ今回は準備回という感じになるかな。新作の方はまだ時間かかります。
なのでクラリッサ書きます←
訪れた平穏
ダイモンとの決戦から一週間が経った。
僕は、随分と設備の整った個室ーーという名の独房ーーのベッドの上で寝っ転がって……いや、寝たきりになっていた。
「はぁ……拘束は甘んじて受けるとは言ったけど、なにもないところにずっとこもりっきりっていうのも堪えるな……」
そう、ここはIS委員会の日本支部だ。スペシネフによる全ISの侵食を、委員会が知らないわけがなく、僕は重要参考人として委員会に拘束されている。
……それにしたって、ダイモンとの決着をつけて学園に戻ってすぐに拘束されるのもどうかと思うよ……。
クラリッサや千冬さん、一夏達が抵抗してくれたみたいだけど、結局連れてこられてしまった。束さんやオータムさんとかが暴れそうな感じはしたけど……以外にもその辺の人たちは介入してこなかったらしい。
束のことだから、何か考えがあるんだろうけど……。
ここに来てから、IS侵食やダイモンのことを根掘り葉掘り聞かれた。もう終わったことだし、変に言い淀むのもかえって不信感をつのらせるだけだから。
当然のことながら、束さんとの関係も話した。必然的にMARZが束さんが作った会社であることがバレてしまったけど……その辺は束さんに任せるとしよう。ここにいてはなにもできないし。
あとは……そうそう、テムジンだ。あれはいつの間にか無くなっていた。待機状態であるピアスがここに来たときには無くなっていたんだ。おそらく、束さんがどさくさに紛れて持って行ったんだろう。
ピアスを取られたならわかるだろう、と思ったんだけど、僕は地球に帰ってきてからすぐに意識を失ってしまったから、詳しくなにがあったかは知らない。ここで起こる問題は、僕の義手義足がテムジンの拡張領域にしまってあることだ。
おかげで動けないのなんのって……。
この部屋は監視されているから、トイレとかの時は要求すれば連れて行ってくれる。でも、話し相手がいないと暇すぎて死にそうだ。
「……クラリッサ、心配してるよね……」
どれだけ僕とクラリッサを離れ離れにすれば気がすむんだ。恋人と一緒にいちゃいけないのか僕は。
……なんだか考えたらイライラしてきた。IS委員会に対して抗議しようか。……やっても意味ないか。
とにかく、閉じ込められてることと動けないことが相まって非常に精神的によろしくない。ダイモンを倒したから、ようやく平穏な日常を過ごせると思ったのに……。
その時、個室の扉が開き、IS委員会の女性職員が入ってきた。また事情聴取かな?それとも検査?それはそれでいいけど、一回外の空気を吸わせてもらえないだろうか。
「柳川将冴、あなたの拘束を解きます」
「……随分と唐突ですね」
「そうせざるを得ない事情ができたのです。あなたは黙って従ってくれればいい」
「体動かせないから、従うもなにもないんだけど」
職員の人がなにやら合図をすると、男の職員さんが車椅子を押して部屋に入ってきて、僕を抱き上げてその車椅子に乗せた。
やはり、IS委員会内でも男の立場は低いらしい。こんなことさせられて大変そうだ。
「では、ついてきなさい」
だから、僕は今何もできないと……
「はぁ……」
「すまないな、こんな世の中だから」
ため息をつくと、車椅子を押してくれている男性職員の人が申し訳なさそうに謝罪をしてくれた。この人、いい人だ。
「いえ、気にしていません」
僕以外の人が気にしそうだけど……クラリッサとか千冬さんとか、束さんとか……。
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IS委員会の日本支部を出ると、支部の前には一台の車が止まっていた。
「あの車は……」
「迎えです。IS学園からの」
男性職員がそう教えてくれると、車の運転席と助手席の扉が開いた。そこから出てきたのは、背筋が寒くなるほどのオーラを纏った千冬さんと……
「クラリッサ……!」
「将冴!」
クラリッサが僕に駆け寄り、そのまま僕に抱きついてきた。ああ、抱き返してあげたいけど義手がないから……。
「大丈夫か?何かひどいことをされたりしなかったか?変なものを食べたりとか……」
「大丈夫だよクラリッサ。この通り、元気だから」
精神的にはかなり荒みそうになっていたけど、クラリッサの顔を見たらそんなことはどうでもよくなった。
と、先ほどからすごいオーラを放っている千冬さんがコツコツと背筋が寒くなるような音を響かせながら、女性職員に近づいていってる。
「うちの生徒が世話になったな」
めっちゃ怒ってる。こんな怒りモードの千冬さんを見るのは初めてだ……。
「それで、一週間将冴のことを調べて、何かわかったのか?」
「い、いえ……それは……」
「ふん、だから言っただろう。私が言ったこと以上のことはわからないとな。失礼する。行くぞ、クラリッサ、将冴」
「はい、織斑先生」
職員さんが、ガクガクと膝を震わせているのを、僕は見逃さなかった。
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後部座席に、クラリッサとともに乗り込むと、運転席に座った千冬さんが車を発進させた。
IS委員会から少し離れたところで、クラリッサが僕にまた抱きついてくる。
「将冴……ああ、よかった……」
「クラリッサ、心配かけたね。ごめん」
「いいんだ……仕方のないことだったからな」
「千冬さ……織斑先生にも、迷惑をかけてしまって……」
「将冴が気にすることではない。悪いのは委員会の方だ。私が散々将冴のことを説明しても聞く耳もたなかったからな」
「それであんな……」
まぁ……手が出なかっただけありがたいと思っておこう。
「クラリッサ、あれを渡してやれ」
「はい。将冴、少しジッとしていてくれ」
「え、うん……」
言われた通りジッとしていると、クラリッサが僕の耳に何かをつけてくれる。これは……
「テムジンだ。束さんが、将冴に渡してくれと」
「……そっか」
拡張領域の中を確認すると、僕の義肢と車椅子が入っていた。これで、何もかも世話してもらうことはなくなったかな。
義手を展開して、ピアスを少し触っていると、クラリッサが僕の手を握ってくる。
「クラリッサ?」
「将冴、あの時も言ったが、もう一回言わせてくれ。……おかえり」
「おかえり、将冴」
「……うん、ただいま!」
後日談は不定期に更新していきます。
週に一回くらいのペースで書けたらなぁと思っていますが、書けない時もあると思うので、ご了承いただければと思います。