クリスマス番外編とか書こうと思ったら予想外に書く時間なくて大爆死。
後日談更新も滞ってしまい申し訳有りません。
年末年始は忙しいですよね……ね?
楯無さんが言った婚約のことを言及する間もなく、僕はクラスメイトのみんなに囲まれて「おかえり」だの「宇宙はどうだった」だの「結婚式はいつ」だの質問攻めにあってしまった。楯無さんが人ごみの奥でしてやったり顔してる……やっぱり遊んでたな……!
「婚約……?いいのか、していいのか?いや、しかし、今の私は実習生とはいえ教師で……」
クラリッサは楯無さんの言葉を間に受けて真剣に悩んでいるし……。まぁ、そのうち考えなきゃとは思っているけど……。
でも、その前に……
「そんなにいっぺんにも話されても答えられないから……」
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休む暇なくされる質問に、答えられる範囲で答える。話せない機密とかもあるからその辺ははぐらかしつつだけど。ダイモンのことは、千冬さんから軽く説明があったみたいで知っているようだったけど。
一通り話したところで、クラスメイト達の第一声はというと……
「1年1組の弟を拘束するなんてIS委員会許すまじ」
……という何とも間の抜けた答えだった。
その弟ってやつ久しぶりに聞いたよ。
そのあとは、食堂の職員の人が作ったオードブルなんかを食べながら、この1週間何があったかを一夏達に聞いた。機密扱いのこととかも聞かなきゃいけないからね。
「この1週間は、そうだな……ダイモンの要塞の残骸が海に大量に沈んだのと、束さんが校舎を直していったことくらいか?」
やっぱり、残骸落ちてたんだ。まぁ、海に沈んだなら大丈夫だろう。あれだけ大きな爆発だったから復元も難しいだろうし、これ以上ダイモンの兵器が使われることはないだろう。
「そうだね。……あとは、マドカのことかな」
「マドカがどうかしたの?……そういえば姿が見えないけど……」
1組のみんなが揃っているのに、マドカだけがこの場にいなかった。束さんのところにいるのかな?それとも、もう僕の警護が必要なくなったから学園を……
「将冴がIS学園に連れていかれてから、姿が見えないのよね。あのスコールとオータムっていう人達も」
「姉さんに連絡して、行方を聞こうと思ったんだが……今忙しいらしくてな。話せていないんだ」
束さんが箒をそっちのけで何かやっている?とても考えにくいけど、それだけの事が……?
話を聞かなきゃいけないな。多分、ダイモンに関わることだ。
「他は特に目立ったことはなかったぞ、兄さん」
「そっか……ありがとうみんな。聞きたいことはだいたい聞けたよ。やっぱり、1週間も外界から遮断されると、それだけで置いてかれた気がして……」
ダイモンのこともそうだけど、各国の政府が動きを見せてないようならようやくゆっくり過ごせそうだ。
IS委員会から戻ってすぐに政府から出頭命令なんてきたら、流石に僕も頭が痛くなるよ……。
「あ、そうだ。みんなに頼みがあるんだけど……」
「何だ?」
「何でも言ってくれ、兄さん!」
「えっと……1週間分の授業ノート見せてくれる?」
1週間置いてかれてしまっては、進級が危うい……ただでさえ怪我やらであまり出席できていないのだから……。
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「楯無……」
「く、クラリッサ先生、顔が怖いですよぉー?」
「あまり適当なことを吹聴していると、さすがの私も怒るぞ」
「もう怒っているんですが……」
「返事は?」
「は、はい……」
全く……これでまた他の先生方にいじられてしまう。
しかし、将冴と……。
「楯無の言葉を間に受けているのか?」
「織斑先生……」
まだ勤務中だというのに、その手には泡だつ黄金色の飲み物が……
「飲んでいるのですか?」
「気にするな。それで、将冴とのことを考えていたのだろう?」
「……ええ」
一夏達と談笑している将冴眺めながら、私は今後のことを考えた。
ダイモンとの因縁がようやく断ち切られ、将冴を縛るものはなくなった。だからこれから将冴は自由に過ごすことができる。ISに乗れるということからは逃れられないが、この学園を卒業すれば束さんのところや各国の国家代表になることだって難しくないだろう。
……私のような、ドイツの軍人1人がどうこうしていいものではない。そのようなことを考えていた。
「……余計なことは考えるな。お前のやりたいようにやればいい」
「しかし……」
「その程度の覚悟で、将冴との恋人になったのか?」
「……」
「お前が将冴から離れたら、おそらく引く手数多だろうな。ナターシャ・ファイルスに束、山田もそうだな。あとは束のところにオータムという奴も……」
「それはっ……!」
「嫌だろう?だから、余計なことは考えずに将冴のそばにいてやれ。将冴も、それを望んでいる」
将冴も……望んでいる……。
「今日は一緒にいてやれ。明日も学校は休みだから、ゆっくりすることだ」
織斑先生はそれだけいうと、食堂をあとにした。
そうだな……今日は、将冴と……。
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パーティは昼休み終了のチャイムとともに終わりを告げ、片付けが始まった。僕はというと、主賓が手伝う必要はないとみんなに言われ、クラリッサと部屋に戻ることとなった。
1週間ぶりに戻った僕とクラリッサの部屋に、何だか懐かしさを覚えた。
クラリッサは僕をベッドに腰掛けさせてくれたあと、コーヒーを淹れていた。
「ようやく柔らかいベッドで寝れるなぁ。IS委員会のベッドは硬くて寝た気がしなかったんだ。それに、1人で寝るのは何だか寂しくて。クラリッサと一緒に寝れないのが、こんなに心細いとは思わなかったよ」
「私も、1人でこの部屋で過ごすのは寂しかった。ふふ、おかしいな。将冴が留学に行った時は2週間も会えなかったのに、あの時より寂しかった。ほら、コーヒーだ」
「ありがとう」
クラリッサは僕の隣に腰掛けながらコーヒーを渡してくれる。このコーヒーも久しぶりだ。
僕はコーヒーを一口すすり、ホッと一息つくと、クラリッサにそっと体を寄せた。
「将冴?」
「会えなかった分の補給」
「……じゃあ、私もだ」
クラリッサは僕の頭を撫で始める。クラリッサがこういうことをしてくるのは珍しいけど……うん、心地いいからいいや。
「やっと、だな」
「うん。父さんと母さんに、報告に行かなきゃね」
「そうだな。ダイモンは……いや、何も聞かないでおこう」
「……ありがとう。あまり、話したくないことだったから……」
両親の仇、世界の敵とはいえ、僕がダイモンを殺したことに変わりはない。
明確な殺意を持って……。
「……話さなくてもいい。私がそばにいる」
「うん……」
自然と、クラリッサと顔を向かい合わせ、ゆっくりと唇を重ねた。
「……コーヒーの味」
「ふふ、久しぶりのキスは苦かったか」
「本当だね」
次回から、平穏な日常がつづきます。多分。