IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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更新スピードを以前のように戻そうと奮闘中の作者です。

毎日とは言わずとも週5くらいでは更新していきたいですね。

後日談でやりたいことがいっぱいあるんだ......。


下準備

 

束さんからマドカのことを任されて数日がたった。イベントが開催されるクリスマスイブまで、あと数日というところまで迫っており準備で色々と立て込んではいるものの、授業中に考え事をすることはなくなった。

イベント用のプレゼントとクラリッサに個人的にあげるプレゼントも用意したし、あとはイベントで使う備品類の調達でようやく一段落だ。

 

......マドカの件に関してはまだなにもしていない。今日明日中には、話すつもりでいる。どんな返答が返ってくるかはわからないけど、そこはマドカを信じるしかない。

 

あと、話を通しておかなきゃいけない人が二人。こっちは大丈夫だろう。

 

丁度今は昼休み。あの二人なら一緒に食堂にいるはずだ。

 

 

「将冴、昼は隊長達と食べるのか?」

 

 

クラリッサが僕の車椅子を押す準備をしながら聞いてくる。こうしていると、クラリッサに負担をかけているようで申し訳なくなるな......。

 

 

「今日はちょっと用事があるから、そっちにいくよ。クラリッサには申し訳ないんだけど、先にラウラ達と食べててくれないかな?用事が終わったら、すぐに行くから」

 

「わかった。昼食はこっちで用意しておこう。リクエストは?」

 

「クラリッサと同じもので」

 

 

そういうと、クラリッサは少しだけ顔を赤くして頷いた。ちょっとしたことでも顔を赤くするんだから......クラリッサは可愛い。

 

クラリッサはすぐにラウラとシャルのもとに向かい、事情を話して食堂へ向かった。さて、僕も行くか。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

食堂に行くと、目的の二人はすぐに見つかった。いつも一緒にいるから見つけやすい。

 

 

「簪さん、本音さん」

 

 

僕は二人に近づき声をかけた。

食事をする手を止めて、二人がこっちを向く。

 

 

「あ、将冴君」

 

「やなしーやっほー」

 

「食事中にごめんね。二人に少し頼みたいことがあるんだ」

 

「私たちに?」

 

「うん、実はね......」

 

 

僕は前から考えていたことを、二人に伝える。今回のイベントのサプライズとして用意していることなので、あまり周りには知られたくないんだ。

 

 

「......ということなんだけど、お願いできないかな?」

 

「私はいいよー。かんちゃんは?」

 

「うん、断る理由がないもん。それに、そういうことなら私がやらなくちゃ」

 

「ありがとう。じゃあ、準備はこっちでしておくから、後で詳細送るね。食事の邪魔してごめんね」

 

 

僕はそれだけ伝えると、クラリッサ達のもとへ向かった。

これで大体の用事はすんだかな。今日の放課後の準備で、とりあえずの準備は完了だ。

 

クラリッサのところに着くと、ラウラとシャルはいたが一夏達はいなかった。今日は別々に食べているのかな。

 

 

「三人ともお待たせ」

 

「用事は済んだか?」

 

「うん。食事用意してもらっちゃってごめんね」

 

 

席に着くと、三人はすでに半分ほど食べているところだった。僕のところには手付かずの洋定食があった。クラリッサも同じものを食べているから、本当に同じものにしてくれたんだ。

 

 

「生徒会の用事?」

 

 

シャルがパスタに手をつけながら聞いてくる」

 

 

「うん。これで大まかな準備は終わったよ。あとはイベントをうまく回すだけだね」

 

「ケーキパーティか。クラリッサ、ハーゼでもこういった催しをした方がいいだろうか?」

 

「そうですね。今年はルカが何やら企てているようです」

 

「そうか。なら問題はないな。来年は私も顔を出せるようにしよう」

 

 

隊長さんは色々と考えなきゃいけないようで大変そうだ。これで普段は僕の膝によく座ってくるなんてハーゼの人が知ったらどう思うんだろう。

 

 

「そうだ、将冴。クリスマスってどうする予定なのかな?」

 

「クリスマス?今のところなにも予定はたててないけど......」

 

 

その言葉に、クラリッサが少し反応していた。

それを見逃さなかったシャルは、いつもの黒い顔をして僕弄りの体勢に入った。

 

 

「そっかぁ、お兄ちゃん恋人いるのに予定ないんだぁ」

 

「シャルの黒モードは、本当に突然スイッチ入るよね......」

 

「なんのことかな?」

 

「あ、はい。なんでもありません」

 

 

なにか言ってボロを出してもシャルの思う壺だ。

 

 

「なにも予定ないなら、僕とラウラと一緒に過ごす?」

 

 

その言葉に、またクラリッサが反応していた。はぁ、シャルはわかっててこういうことをするんだから......。

わかってるさ、僕だって。

 

 

「......シャルには申し訳ないけど、これから予定を入れるつもりなんだ。だから、今回は遠慮する。二人で楽しんできて。埋め合わせは今度するから」

 

「OK、それなら仕方ないね。ラウラ、クリスマスはレゾナンスで服とか見ようか」

 

「シャル、また私を着せ替え人形にするつもりか......」

 

「フフフ、どうだろうね?」

 

 

とりあえず、ラウラには強く生きろとだけ言っておこう。

 

クラリッサが少し安心したような顔をしている。......これ以上待たせるのもかわいそうだよね。

 

 

「クラリッサ、クリスマスの予定は?」

 

「わ、私か!?今のところなにもないが......」

 

 

期待するような目でこちらを見てくる。ふふ、僕だってちょっと期待してるんだから。

 

 

「じゃあ、その日は僕と過ごしてくれる?」

 

「も、もちろん!」

 

 

ああ、僕の彼女は世界一可愛いと思います。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

放課後。

生徒会で最後の準備を済ませた僕は、小さく息を吐き、パソコンを閉じた。

 

あとは当日を待つのみか。少し緊張するな。

 

 

「将冴君、お疲れさま。その様子だと、大体終わったのかしら?」

 

「はい。あとは当日ですね」

 

「今まで生徒会を手伝っていただいたとはいえ、ここまでそつなくこなせるなら、私と会長がいなくなっても大丈夫そうですね」

 

「そんなことありませんよ。今回もいっぱいフォローしてもらいましたし」

 

 

楯無さんと虚さんがいなかったら、ここまでスムーズに事が運ばなかっただろう。二人がいなくなった穴を、うまく埋めれるか不安だ。

 

 

「ともあれ、これでイベントの準備は終わったわけだし、当日まではゆっくり体を休めてちょうだい。私たちはこれで終わりだけど、将冴君はこれからがあるんだからね」

 

「はい。ちょっと早いですが、今までありがとうございました」

 

「どういたしまして」

 

 

年が明けたら、ここには僕一人......二人が築き上げてきたものを崩さないためにも頑張らないと。

 

 

「ところで、新しい役員の方はどう?目星くらいはつけたのかしら?」

 

「ええ。これから勧誘しにいこうかと思っています」

 

「そう。将冴君が連れてくる人なら問題ないわね。今度紹介してね」

 

「わかりました。では、僕はそろそろ失礼しますね」

 

 

目星をつけた人......彼女なら、安心して役員を任せられる。

断られたら......そのとき考えよう。

 

 

 

 

 

生徒会室を後にし部屋へ戻った僕は、彼女......マドカをメールで自室に呼び出した。

返信はなく、数分と経たずに、扉をノックする音が聞こえた。

 

 

「どうぞ」

 

 

扉が開き、いつもの無表情のマドカが入ってきた。

 

 

「なにか用か?」

 

「立ったままもなんだし、そこの椅子に座って。今コーヒー淹れるから」

 

 

手早くコーヒーを淹れて、マドカに渡すと、一口飲んでまた僕の方を向いた。

 

 

「将冴、用件は?」

 

 

やけに事を急いてくるな。まぁ、心当たりがあるんだろうけど。

 

 

「......マドカ。この学園に残るつもりはないのかな?」

 

「前にも言った。私はここにいていい存在じゃない。年が開けたら出ていこうと思っている」

 

「そっか......その後はどうするの?」

 

「考えていない。束のもとで過ごすか、そのままいなくなるかもしれない」

 

 

出生が特殊とはいえ、マドカは達観しすぎている。

束さんとも約束したし、こんなことを聞いては放っておけるわけがない。

 

 

「僕としては、マドカには学園に残って欲しい。ダイモンとか関係なく、マドカがいてくれた方が、僕は嬉しい」

 

「......私がいなくなったところで、特になにか変わるわけでもないだろう」

 

「ううん、変わるよ。少なくとも、僕は」

 

「......」

 

 

マドカは押し黙ってしまう。

迷っている、のかな?

 

 

「クラリッサや一夏達だって、僕と同じ気持ちだと思うよ?それでも、マドカはここにいちゃいけない存在なのかな?」

 

「私は......」

 

 

マドカの困惑している顔、初めて見たな。でも、それだけマドカの中で思うところがあるんだ。

 

 

「もし、マドカがここに残るのなら、僕はマドカに生徒会に所属して欲しいって思っている。だから、決心がついたら僕に教えて。例え残らないって選択しても、僕はもう止めないから」

 

「......」

 

「急に呼び出してごめんね。僕は夕食を食べに行くよ。部屋の鍵とカップはそのままでいいから」

 

 

今は、一人で考えた方がいい。

これ以上、僕から言えることはないから。

 




相変わらずのノープロット執筆。

だってプロット書いたってその通りいかないし......←

あと二話くらいかなと思います。書きたいこといっぱいあるから早く進めたいっ!
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