IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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今回から本編に戻ります。

アンケートの結果を活動報告の方で発表しています。
ぜひご覧ください。


28話

 

「ふぅ……」

 

 

バーチャロンを纏ったまま、僕は息を吐いた。

 

前方にはISを展開したラウラがいた。

 

 

『準備はいいか?将冴』

 

「うん、いつでも」

 

 

千冬さんからの通信に答え、テムジンのロングセイバーを構える。

 

 

『では、試合開始!』

 

 

僕とラウラが同時に飛び出す。

 

なぜ僕とラウラが、試合をするのか。それは二時間前に遡る。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「僕から詳しく話を聞きたい?ラウラさんが?」

 

 

ショッピングセンターのテロ事件から一週間がたった日。リョーボさんに勉強を教えてもらっているところに、電話が鳴った。電話をしてきたのはクラリッサさん。

 

なんでも、ラウラさんがあのテロ事件で気になることがあるから僕と話がしたいということ。寮で話せばいいのに……それとも寮で話せない話なのかな?

 

あ、因みに勉強っていうのは、日本の中学とかでやるような科目の勉強。千冬さんと一緒にいる一年間は日本に戻れないからと、勉強を教わっている。びっくりなのが、リョーボさんが日本の教員免許を持っていたこと。日本語が上手なのは、そのおかげらしい。……なんでわざわざ日本で?と聞いたけど、はぐらかされてしまった。

 

っと、話が逸れた。とにかく、クラリッサさんに呼ばれて、僕は軍の施設に来た。車椅子で。

 

そこには、クラリッサさんが待っていてくれた。

 

 

「将冴、すまないな。わざわざ」

 

 

自然に僕の車椅子を押してくれる。

僕も慣れてしまっていた。いけないな、慣れちゃ……。

 

 

「いえ、構いませんよ。でも、ラウラさんが聞きたいことってなんでしょう?」

 

「ああ……多分、『アレ』のせいだ」

 

「『アレ』って……もしかして、僕のISのことですか?」

 

 

テロ事件で、僕のISは公衆の面前でお披露目する羽目になった。壁を突き破りどこかへ飛んでくISと、僕が助けた人達の証言から、今ドイツで話題になっている。いや、おそらくもうドイツだけじゃないだろうな……。

 

 

「やれ白騎士の再来やら、謎の正義のヒーローやら、騒がれすぎだ。今では新しいアメコミヒーローとも言われてるんだぞ?」

 

「はは……知ってます……」

 

 

バーチャロンがフルスキンタイプのISでよかったと、つくづく思う。

 

 

「変声機を使っていたから性別がわからなかったのが救いだな。男だとバレたらもっと騒がれている」

 

「そこに関しては、束さんに感謝ですね」

 

 

つけてくれててよかったよ……本当。

 

 

「それで、僕のバーチャロンがどうして?」

 

「ああ、それはラウラ隊長から直接聞いた方がいいだろう。ほら着いたぞ」

 

 

厳重そうな自動扉の前で、車椅子を止めてくれる。

僕とクラリッサさんを認識したからなのか、扉が開く。

 

中はデスクと、大きなモニタがあり、秘密基地のような感覚をうけた。

いや、これは本当の基地だった。

 

デスクの一番奥に、見覚えのある銀髪が。ラウラさんだ。僕たちに気付いたのか、こっちに顔を向ける。

 

 

「おお、来てくれたか」

 

 

僕たちが近づく前に、ラウラさんの方から来てくれる。

 

 

「わざわざ来てもらってすまないな」

 

「これくらいならお安い御用だよ。ラウラさん」

 

「ふむ……」

 

 

ラウラさんが突然何かを考え始める。

僕とクラリッサさんは顔を見合わせ、頭の上にハテナを浮かべる。

 

 

「将冴、いつまでさん付けするつもりだ?」

 

「え?」

 

「私とお前は同い年だ。かしこまる必要もないだろう」

 

「いや、そうだけど……」

 

「ほら、呼び捨てにして呼んでみろ」

 

 

これは、言わなきゃダメなのかな……ダメだよね。

 

 

「えっと……ラウラ?」

 

「うむ、それでいい」

 

 

こういうのは改めて言うと恥ずかしいものだ……。

 

 

「……私も呼び捨てで……」

 

 

ボソッとクラリッサさんが何かを呟いた。

 

 

「クラリッサさん?何か言いました?」

 

「うらやましぃ……へ!?い、いやなんでもない!」

 

「……?そうですか」

 

 

っと、こんな話をしに来たんじゃない。

ラウラから、本題を聞かないと。

 

 

「それで、僕に聞きたいことって何?」

 

「ああ、そうだったな。単刀直入に聞こう」

 

 

ラウラが端末を操作してモニタに何かを写す。何かっていうか、あれテムジンだ。

 

 

「これ、お前だろう」

 

「「……ええっ!?」」

 

 

僕とクラリッサさんの声が重なった。

このISが僕だってことは、開発者の束さんとクロエさん、あとは千冬さんとクラリッサさんしか知らない。

 

ラウラは何故……?

 

 

「その反応。やはりクラリッサも知っていたのだな」

 

「え、あ、いや、その……」

 

「ラウラは、どうしてそれが僕だと?」

 

 

フルスキンで顔はわからない。変声機を使っていたから、声も変わっている。僕だとわかる要素は一つも……

 

 

「あのな、わからない方がおかしいだろ。車椅子だけ現場に置きっ放し。その持ち主はクラリッサが連れてくる。おまけにクラリッサはあのISが将冴の居場所を教えてくれたとバレバレな嘘までついて」

 

 

ラウラに言われたことを冷静に聞いていたが、聞いていた自分が恥ずかしくなった。よくそれでバレないと思ったな、一週間前の僕。

 

クラリッサさんも目が泳いで冷や汗を流している。

 

 

「私に感謝しろ。車椅子をこっそり回収して、上層部には正体不明とだけ伝えておいたんだからな」

 

「お手数かけてすいません」

 

「申し訳ありません、隊長……」

 

「まぁ、世間にはバレていないからな。それに関しては問題ないだろう」

 

 

ラウラは他の人にバラすよう人じゃないのは知ってる。とりあえずは安心か……。

 

 

「しかし、うっかり私が話してしまうかもしれないな」

 

「え、ラウラ!?それはやめて!男の僕が動かせるなんて世間に知れたら……」

 

「知れたら、大変だろうな」

 

「わかってるなら……」

 

「黙ってて欲しいなら、条件がある」

 

 

ニヤリと不敵な笑みを浮かべるラウラ。

嫌な予感が……

 

 

「私と勝負しろ」




長くなりそうだったのでここで切ります。


あぁ、タートルネック来たクラリッサに甘えたいんじゃあ〜。
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