そういえば、入学編ってどこまで入学編なんでしょう?
セッシーと戦うところまで?
ならまだ続きます。
入学早々に授業がある学校も珍しいけど、このIS学園という学校なら頷ける話だと思う。
というわけで、絶賛授業中です。黒板の前には山田先生が立っていて、教鞭をとっている。因みに、教室の後ろには織斑先生が立っている。
一通り説明し終えたところで、山田先生が教室を見渡す。
「ここまでで何かわからないところはありますか?遠慮なく手をあげてくださいね」
朝に会った時と違い、おどおどした感じもなくちゃんと先生をやれている。さすがというべきか。
と、その言葉に甘えたのか一夏が手をあげた。
「織斑君、どこがわからないですか?」
「えっと、全部です」
教室の空気が凍りついた。
全部って……。
「織斑、入学前に渡された参考書は読んだのか?」
「古い電話帳と間違って捨てました」
スパァン!
織斑先生の鋭い一撃。
そりゃ叩かれるよ……。
「お前は入学前にどうやって勉強したんだ」
「何もやってないけど……」
スパァンっ!!
あ、さっきよりも力篭ってる。
「馬鹿者が。後で再発行してやる。一週間で覚えろ」
「あれを一週間でって、そんな無茶な……」
「やれ」
「はい……」
はは、一夏は相変わらずだなぁ。
織斑先生が立っていた場所まで戻ってくる。実は僕の真後ろなんだよね。僕の席、一番後ろだから。車椅子で過ごしやすいようにという配慮だと思うけど。
「将冴はわからない場所はあるか?」
「大丈夫です。予習はしていたので」
「そうか。山田先生、続けてくれ」
「は、はい!」
また授業が再開される。
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ーー
授業が終わり一夏がまっすぐ僕のところまでやってくる。
「将冴、お前は授業ついていけるのか?」
「ちゃんと参考書読んでたから。ていうか、それくらいしかすることなかったから」
「優等生かよ……」
「男だからっていう理由で入学したけど、やることはちゃんとやらないとね。織斑先生や山田先生の負担になっちゃうし」
「将冴のお小言が俺の心をえぐってくる……」
自業自得。精進するべし。
そんな感じで僕と一夏は始業ベルが鳴るまで喋っていた。
授業前よりは視線の数は減ったけど、まだ僕達を見てるな。あと、何人か僕に奇異の視線を向けてる。
まぁ、両手足無ければそうなるのも当然か。慣れるしかない。
ガラッと教室の扉が開き、視線が無くなった。黒板の前に織斑先生が立った。
「授業を始める前に、ホームルームで決められなかったクラス代表を決める」
「クラス代表ですか?」
生徒の一人がそう呟く。
「ああ、言うなれば学級委員のようなものだ。クラスの雑務を行ってもらうことになる。あと、一ヶ月後に予定されている、『クラス対抗戦』に出てもらう。その名の通り各クラス同士で試合をするものだ。各クラスのISの技術を測るものだ」
なるほどね。本当にクラスの代表ということか。それに、対抗戦で戦うということはISに乗れる機会が増えるということ。早くISの技能を高めたい人は率先してやるべきかもしれない。
「自薦他薦問わない。意見があるものは手を挙げろ」
少し静寂。そして、生徒の一人が手を挙げる。
「はい!織斑君がいいと思います」
「私もそう思います」
「異議なーし」
1人がいえば、同調するものが出てくるか。その後も、一夏を推薦する人が出てくる。
「候補者は織斑か。他に意見はあるか?」
「ちょっ、ちょっと待てよ!俺はクラス代表なんて……」
一夏が立ち上がって抗議する。
「推薦されたものに拒否権はない」
「そ、それなら俺は……」
と、一瞬僕の方を見る一夏。しかし、すぐに視線逸らし自分の席に座った。
「……なんでもありません」
僕を推薦しようとしたんだろう。でもやめた。僕の体に障害があるからだろう。他の生徒が男の僕を推薦しないのも同じ理由かな。
このまま一夏が一方的に決められるのも可哀想だな。
僕は右手を挙げた。
「ん、将冴。なんだ?」
「はい。僕はセシリア・オルコットさんを推薦したいです」
周りの人がヒソヒソと話し始める。この推薦は予想外だったのかな?
「あら、柳川さんはわかっていらっしゃるようですわね!やはり、代表という大役を務めるべきは私のような貴族であると」
「セシリアさんはイギリスの代表候補生ですし、実力は十分だと思います」
「そうか。他に意見は?」
誰も手を挙げない。意見はないんだろう。
「候補者は2人か。ならば、IS学園らしくISで代表を決めよう」
「ISで?」
「ああ。一週間後にISでの試合を行ってもらう。勝った方がクラス代表だ。異論は無いな」
一夏とセシリアさんは頷く。
「では授業を始める。テキストを開け」
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ーー
「将冴ー、ISで試合なんて無理だ……」
「まあまあ、なっちゃったものはしょうがないよ。棄権するのは、織斑先生が許さないだろうしね」
授業がすべて終わり、僕は教室で一夏とおしゃべり。
この後、特にすることもないからぐうたらしてるだけなんだけど。
「あら、お二人まだ居たんですの」
セシリアさんが僕達に近づいてくる。
「織斑さん、降参するなら今のうちですのよ?なんなら、私から織斑先生に進言しておきますわ」
「むっ……」
あ、一夏がむっとした。意地っ張りだからなぁ。
「降参なんてしない。戦うって決まったんなら、全力で戦う」
「あら、厚意は受け取っておくものですわよ?ま、私のようなエリートに、あなたみたいな男だからと持て囃されてるような人に負けるわけがありませんが」
「代表候補生がどんだけ偉いか知らないけど、男として逃げるわけにはいかないな」
「せいぜい一週間頑張ってくださいな。ま、無駄だとは思いますけど」
全力で宣戦布告して去っていったセシリアさん。
でも、これで一夏に火がついたんじゃないかな?
「あんなに言われたら、本気で行くしかないな」
「頑張ってね。応援してるよ」
「お前はセシリアを応援するんじゃないのか?」
「一夏が一人推薦されてて可哀想だったから、セシリアさんを推薦しただけだよ。それに……あのままだとセシリアさんがヒス起こしそうだったから……」
女尊男卑思考の人が、男をを持て囃されてるのを黙っているはずないからね。
「まぁ、頑張ってよ。少し体鍛えなおしておいたら?」
「ああ、そうするよ」
と、ダラダラと話していると教室の扉が開いた。
「あ、良かった。まだ居たんですね」
山田先生が息を切らして教室に入ってきた。
「山田先生、どうしたんですか?」
「はい、織斑君に寮の鍵を渡しに」
「え、俺一週間は自宅から通学するって……」
「そうなんですが、織斑君の安全も考えて、今日から寮に入ってもらうことになったんです」
「はぁ……そうですか。でも、荷物とかは……」
「心配ない」
もう1人、教室に入ってくる。なにやら荷物を持った織斑先生だ。
「お前の荷物は私が持ってきた。とりあえず、着替えと携帯の充電器があれば大丈夫だろう」
「あ、ありがとう……」
はは、トントン拍子で話が進んで一夏の思考が追いついてないや。
「それと、将冴」
「はい?」
「一週間後の試合、お前も出ろ」
「……え?」
いや……え?
「専用機は持っているんだ、問題あるまい」
「将冴、専用機持ってたのか!?」
「えっと、まぁね……それより、僕が出る必要は……」
「しばらく動かしていないんだろう?いい機会だ、リハビリだと思え」
リハビリって……。
「それと、一夏。お前にも専用機が与えられることになった。試合までには届くとは思うが、そのつもりでな」
「え、俺にも……」
「じゃあ、伝えたぞ。私はまだ仕事があるから失礼する」
言うだけ言って、織斑先生は去っていった。僕も思考が追いつかないよ……。
「まぁ、二人とも頑張ってくださいね」
山田先生が応援してくれる。
一夏は呆然としている。
「そうだ、柳川君。これお部屋の鍵です。まだ合鍵を作ってないので、渡しておきますね。お部屋は自由に使ってください。あ、タンスの中とかは見ないでくださいね!?」
「わ、わかりました。気をつけます」
「それでは、私も仕事に戻りますね。寄り道せずに寮に行ってください」
パタパタと山田先生も去っていく。
初日で詰め込みすぎだよ……先生方。
「はっ!俺と将冴は同じ部屋じゃないのか!?」
「ああ……そこも説明しなきゃいけない?」
原作と展開違うけど……まぁいいよね。
山田先生可愛い。
でもクラリッサはもっと可愛い