久々にあの人が……
学生寮と教員寮の建物が分かれており、僕と一夏は学園を出てすぐに分かれた。
「えっと、この建物かな?」
最新鋭の学校ということで、寮も綺麗だ。
中へ入ると、整備が行き届いているのがよくわかる。
山田先生の部屋は……
「105号室……あった」
一階でよかった。エレベーターとか、乗るの結構大変だからね。
山田先生から預かった鍵を使い、中に入る。
部屋はそこそこ広く、キッチンやシャワールームなんかも完備されている。ベッドと机が二つずつあり、奥のベッドと机には色々置いてあるため、そこが山田先生のスペースだろう。手前のベッドには僕の荷物も置いてある。山田先生が置いておいてくれたのかな?
あと、それぞれの机の横にタンスがある。多分奥の方を山田先生が使っているんだろうけど、怖いから帰ってきてから確認しよう。
「夕食まで時間あるし……何しようかな」
ふと、ポケットに手を入れると、カサリと音がする。
「これは……」
朝、織斑先生が渡してくれた電話番号が書かれた紙だ。
「電話してみろと言ってたけど……どこに繋がってるんだろう」
僕は携帯電話を取り出して番号にかけてみる。
1コール、2コール、3コール目で電話が繋がった。
『もしもし?』
帰ってきた言葉ドイツ語……それにこの声は……もしかして……
「クラリッサ……?」
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「はぁ……」
私、クラリッサはデスクで書類に必要事項を明記しながらため息をついた。今この場にいるのは、ラウラ隊長と私だけだ。
「クラリッサ、最近ため息が多いぞ。こっちまで気が滅入る」
「隊長……申し訳ありません」
「まぁ、分からなくもないがな。将冴のこと、心配なのであろう」
「はい……将冴がISを動かせるということが世界に知れ渡ってしまったんですから」
織斑教官の弟、織斑一夏がISを動かした。それにより、世界中で男性がISを動かせるかという検査が行われた。将冴は、これで動かせることがバレてしまったのだろう。
「ドイツにいた頃は、頑なに隠していたからな。男が動かしたら混乱を招くと言って」
「バレた発端は将冴ではないですが……」
おそらく、将冴は最後まで隠すつもりだったんだと思う。しかし、もう一人の男性IS操縦者の発見によって……。
「誰が悪いというわけではない。織斑教官の弟……一夏と言ったか。彼も被害者だ」
「それは心得ています」
別に彼を責めるつもりなど毛頭ない。
「将冴と連絡を取ったのか?」
「いえ……彼は日本で重要人として保護されています。それがISを動かしたとなったら、外部との連絡は全て断たれてしまいます。将冴が日本に帰ったあとも、連絡を取れなかったのですから」
かれこれ一年も彼の声を聞いてない。
将冴……君の声が聞きたい……肌に触れたい……またあの腹筋を……
「しかし、これで何個かの組織に狙われることになるだろう、将冴は」
「女性権利団体、テロ組織……」
世界的にも名前が知れ渡ってしまった。本当なら今すぐ日本に飛んで彼をそばで守ってやりたい。
私も隊長も押し黙る。
その時、私の携帯電話が鳴る。
相手の番号は……知らない番号?
すぐに通話ボタンを押す。
「もしもし?」
『クラリッサ……?』
トクンと胸が高鳴った。聞きたかった声が、受話器越しに私の耳に届いた。
「将冴……将冴なのか?」
『うん……僕だよ。久しぶり、クラリッサ』
目頭が熱い。涙が止まらない。久しぶりのその声に、感情が抑えられない。
ラウラ隊長は驚いた顔をしている。
「久しぶり……本当に……」
『クラリッサ、泣いてるの?』
「ああ……もう抑えられなくて……突然電話してくるからだぞ」
『ごめん。織斑先生……今は別にいいか。千冬さんが番号を教えてくれたんだ。入学祝いって』
「そうか。織斑教官が……」
教官に感謝しなきゃいけない。
とりあえず、泣き止まなければ。
「将冴、話せなかった一年間の話を聞かせてくれないか?」
『うん、どこから話せばいいかな……』
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クラリッサに一年間のことを話せるだけ話した。
気づけば2時間も経っていた。
「あ……もうこんな時間なんだ……」
『長々と話してしまったな……そろそろ仕事をしなければ、ラウラ隊長の厚意に甘えてしまったが、さすがにな……』
「仕事中だったの?ゴメン、そんな時に電話して……」
『構わない。これからはいつでも話せる』
「うん。それじゃあ、もう切るね。仕事、頑張ってね」
『うん……またね』
「またね」
名残惜しいけど、通話を切る。そしてそのままベッドに倒れこんだ。
「……クラリッサ」
声を聞いたら、会いたくなった。
夏休み、ドイツに行こうかな……。
その時、部屋の扉が開いた。山田先生かな?
「山田先生、お疲れ様でした」
「あ、柳川君。ただいまです」
ニコッと笑いかけてくれる山田先生。
「自分の荷物、わかりましたか?」
「はい。奥の方は先生が使っているようだったので、すぐにわかりました」
「それはよかったです。将冴君は、お夕飯は食べましたか?」
山田先生にそう聞かれ、ふと時計を見ると時刻は午後6時半。もういい時間だ。
「いえまだです」
「そうでしたか。では一緒に学食に行きましょう。今日は色々大変でしたから、お腹すいていますよね?」
「はい。びっくりするくらい」
「ふふ、では決まりですね。少し待っていてくださいね」
山田先生はそう言うと、徐に上着の裾に手をかけた。
「あ、山田先せ……」
僕が止めるのも間に合わず、山田先生はガバッと上着を脱ぎ始める。大きな双丘がぶるんと揺れたのを、スローモーションで見た気がした。
僕はすぐに顔を逸らした。
「うわっ……山田先生!?」
「え……あ、きゃ!?」
山田先生はすぐにうずくまったようだ。なんとなくそんな音が聞こえた。
「す、すいません。つい癖で……」
「それはいいので……早く服を……」
「あ、そうですね!すいません!」
すぐに着替える音が聞こえた。
「柳川君、もう大丈夫です……」
山田先生はさっきまで来ていた服よりもラフな格好をしていた。
「そ、それじゃあ行きましょう。車椅子押しますね」
「は、はい……よろしくお願いします……」
そのあと、2人で食事をしていたが、お互いに恥ずかしすぎて終始無言だった。
食事を終え部屋に戻ったところで、一緒に生活することに関して決めることになった。
「とりあえず、問題はシャワーとかですよね」
「そうですね……」
山田先生の顔はまだ赤い。いい加減普通に接してください……。
「では、シャワーを浴びてる時のために、扉き貼り付けておける看板みたいなのを作りましょう。そうすれば、お互いシャワーから出てきたところに鉢合わせることはないと思います」
「いい案ですね。でも……」
山田先生は何か懸念があるようだ。
「柳川君はお風呂の介助は必要ないのですが?」
「義肢は防水になっているので問題ありません」
「そうですか。わかりました。でも、今後介助が必要な時はいつでも言ってくださいね!」
「先生ですから」と胸を張る先生。それ、胸が揺れるのでやめてもらいたい……。
「はい……その時はよろしくお願いします」
「はい、任せてください!」
その後は少し雑談をして、消灯時刻になったので、そのまま眠った。
この時、僕は知らなかった。
これからここに住んでいる限り、朝にモンモンとすることを……。
ちょっと話を纏めてきれなかった感。
駄文すいません。お目汚しでした……。
山田先生可愛いわぁ……