IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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とうとう2月ですね。

将冴君に春はいつ来るのでしょうか。
そう遠くないかもしれませんね。


38話

 

ジリリリリリ……

 

 

あ……目覚まし鳴ってる。起きなきゃ……

 

 

むにゅっ

「あぅ……」

 

 

……むにゅ?……あぅ?

ちょっと待って、なんかおかしい。今もまだ鳴っている目覚まし時計を止めようとした手は目覚まし時計ではない何かを掴んでるし、聞こえてはいけない声が……。それになんか……

 

 

「むぐぅ!?」

 

 

なんか頭に手をまわされて抱き寄せられた!?顔に柔らかいものが……ていうか、苦し……

 

 

「むふふ、ダメですよ……私は先生なんですから……」

 

「むぅー!むぐぐ!?」

 

「むにゃ……ほえ?目覚まし鳴ってる……あれ、私のベッドじゃな……」

 

 

そこで僕の頭にまわされていた手が離れた。

 

 

「ぷはっ!……お、おはようございます。山田先生」

 

「え、え?柳川君が何でここに……」

 

「それは僕の台詞だったり……」

 

 

改めて周りを見るけど、やっぱりこのベッドは僕のベッドだ。足に義肢をつけてないし、僕が山田先生のベッドに寝ぼけて行ったわけではないはずだ。

 

 

「こ、ここ柳川君のベッドですか!?す、すすすすいません!?」

 

 

山田先生が飛び上がるように僕のベッドから降りた。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

昨日の夕食の時と同じように、お互いに恥ずかしくて終始無言のまま食堂に向かった。

 

既に食堂には結構な生徒がいた。まぁ、僕は車椅子用の場所があるから大丈夫なんだけど……。

 

僕と山田先生はそれぞれ朝食を受け取り、車椅子用にとってある席へと向かう。僕はハンバーグ定食。山田先生は和食だ。

 

 

「その、朝は本当にすいません」

 

 

席につき、山田先生は朝食に手をつける前に謝罪してきた。

いや……僕も触ってしまったし……。

 

 

「謝らないでください。僕は別に……」

 

「いえ!これから共同生活する上に、教師と生徒という立場なんです!そこはしっかりしないと……」

 

「まだ始まったばかりですし、これからですよ。それより早くご飯を食べてしまいましょう。山田先生も職員会議とかあって忙しいと思いますし」

 

「そうですね。では、いただきます」

 

「いただきます」

 

 

食事に手をつける。

 

うん、昨日の食事は恥ずかしさであまり覚えていないけど、改めて味わうと美味しい。

 

 

「もし、相席よろしいかしら?」

 

 

静かに食事をしていると、お盆を持ったセシリアさんが横に立っていた。元々四人席だったようなので、席は2つ空いてる。

 

 

「どうぞ、セシリアさん。あ、いいですよね?山田先生」

 

「はい、構いませんよ」

 

「失礼します」

 

 

隣座ったセシリアさん。食事は洋食のようだ。

今更だけど、ここの食事は少し量が少ないと感じる。女性ばかりだからそうなんだろう。

 

 

「昨日、織斑先生から聞きましたわ。来週の試合、あなたも出るそうですね」

 

「あ、もう聞いたんだ。半ば強制的にね」

 

「なんでも専用機をお持ちだとか?」

 

 

うっ……しまった。正直に束さんからもらったと言うわけにはいかない。何か言い訳を……。

 

 

「そうですよ。柳川君は企業所属となっています」

 

「企業所属……一体どこですの?」

 

「すいません、それについては話せないんです」

 

 

えぇっと……僕、完全に置いてけぼりなんだけど……。

 

 

「……そうですの。では、何も聞きませんわ」

 

 

それで納得しちゃうの……?

いや、まず僕に状況説明を……

 

山田先生に説明を求めるアイコンタクトをすると、ニコッと笑みが帰ってきた。いや、そうではなく……。

 

しょうがない。早めにご飯を食べ終わって、山田先生か織斑先生に聞こう。

 

 

「あら、柳川さん。ソースがついていますわよ?」

 

「え、本当ですか?」

 

 

とっさに拭こうとする。しかし、その手はセシリアさんに止められてしまう。

 

 

「手袋が汚れてしまいますわ。今ハンカチを……」

 

「柳川君、こっち向いてください」

 

「へ、むぐ?」

 

 

山田先生がハンカチで僕の口を拭った。め、目の前に今朝触ってしまった胸が……。自然と顔が熱くなる。

 

 

「はい、綺麗になりましたよ」

 

「あ、ありがとうございます。山田先生」

 

「いえ、どういたしまして」

 

 

すっと、セシリアさんが僕の手を離して、また食事を続けた。

 

 

「セシリアさんも、教えてくれてありがとう」

 

「貴族として当然のことをしたまでですわ」

 

 

はは、セシリアさんは相変わらずだなぁ。

 

とりあえず、早めにご飯を食べなきゃ。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「さて、山田先生。説明をお願いします」

 

 

セシリアさんよりも先に食事を終えた僕と山田先生。

一旦部屋に戻ったところで、山田先生に尋ねる。

 

 

「企業所属ってどういうことですか?」

 

「織斑先生から聞いていませんか?」

 

「聞いてません。全く、さっぱり」

 

「そうだったんですか。ではお話しますね」

 

 

山田先生が話したことを纏めると……

 

 

先日見つかったばかり(ということになっている)の男性操縦者が既に専用機を持っている。

世間的に問題ない言い訳を考えよう。

織斑先生が大天災(知り合い)に連絡して、架空の企業を作る。

そこを僕の所属企業にしよう。大天災(知り合い)なら問題ない。

 

これは酷い……。

 

 

「私も、織斑先生の知り合いについては詳しく聞いてないのですが……」

 

「そうですか……」

 

 

こんなことをやってのけるのは束さんしかいないよ!!もう色々規格外なんだから……。

 

とりあえず、これで今後は口裏合わせができるわけか。

そういえば……。

 

 

「企業名とかって聞いてます?」

 

「はい。確か……『MARZ(マーズ)』と聞いています。でも、できるだけ名前はださないようにしてくださいね。その場しのぎと言ってはあれですが、すぐにどこにも所属していないことがバレてしまいます」

 

「わかりました。そうさせていただきます」

 

 

山田先生は不思議だな……僕が専用機を持っていることを疑問に思わないんだから……。

 

まぁ、そんなこんなで、架空の企業の所属となりました。

 

……あとで織斑先生と束さんに色々聞かなきゃ。




マーズを出したかった。ただそれだけ。
ほんの出来心なんだ!ゆるしてくれぇぇぇ!!?


ちなみに、そのうち出しますが、架空企業MARZの社長の名前はリリン・プラジナー(中の人クロエ)です。
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