IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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とうとう40話に突入。
話の数的には40話より少し多いですが。

これからも頑張ります。

では本編をどうぞ。


40話

うん、しばらく様子見をしていたけど、わかったことは2つ。

 

まず一つは、ビットの動き。相手の死角を狙うあまり、先読みしやすい。教本通りの攻撃、と言ったほうがいいのかな?わざと死角を作れば、そこを攻撃してくる。これならビットを捌くのは別段難しいことではなさそうだ。

 

二つ目は、セシリアさん自身。彼女はビットを動かしている間、攻撃してこない。何度か隙を作って誘ってみたけど、レーザーライフルで攻撃することはなかった。つまり、彼女はビットを動かすので精一杯だということ。

 

この二つのことがわかれば、試合は早めに終わりそうだ。ただ、セシリアさんはまだ何かを隠している。

 

……いいや。反撃しよう。

バーチャロンの速度を上げて、ビットを掻い潜る。

 

 

「まだ速度が上がりますの……でも、隙が目立ちますわよ!」

 

「行動が予測できれば、わざと隙を作ることもできるんだよ!」

 

 

背後に現れたビットの攻撃を、体を捻り躱す。

この隙はビットの動きを誘導するためにわざと作った隙。これで……

 

 

「道は開いた!」

 

 

ビットの包囲網に穴が開く。これを待っていたんだ。

 

瞬時加速。セシリアさんと距離を詰める。

 

 

「瞬時加速!?そんな技能を……でも」

 

 

セシリアさんのISの一部がこちらを向く。あれは弾道型ミサイル?

 

 

「その判断は迂闊ですわ!」

 

 

ミサイルを僕に向けて放つ。

実弾兵器は初めてだな。

 

なら……

 

 

「これでどうかな?」

 

 

瞬時加速のまま、ビームの刀身を展開。

銃剣一体のこの装備。撃てるのはエネルギー弾だけじゃない。

 

 

「いぇやぁぁ!!」

 

 

振るった斬撃がビームのカッターのようになって飛んでいく。

エネルギー弾のような点の攻撃ではなく。面による攻撃。

 

カッターはミサイルを切り裂き僕とセシリアさんの間で爆発。黒煙が撒かれる。

 

僕は黒煙を突っ切り、セシリアさんと切迫する。

 

 

「な!?い、インターセプ「遅い!」

 

 

袈裟斬り、横薙ぎ、振り下ろし。3連撃を叩き込み、振り下ろしの勢いをそのままにかかと落としを決める。

 

 

「きゃあ!?」

 

 

セシリアさんは地面に叩きつけられる。

僕は手にボムを持ち、まだ立ち上がれないセシリアさんに向けて投げ、エネルギー弾を一発放つ。

 

エネルギー弾はボムと接触。セシリアさんが爆風に煽られる。

 

そこで試合終了を告げるブザーが鳴る。

 

 

『セシリア・オルコット、シールドエネルギー0。勝者、柳川将冴』

 

 

織斑先生の声がアリーナに響く。

なんとか勝てたな。

 

っと、セシリアさん大丈夫かな?

ISを待機状態にして義手をつけて車椅子に乗って、セシリアさんのところへ向かう。

 

セシリアさんはISを待機状態にしたところだったみたいだ。

 

 

「セシリアさん、大丈夫?」

 

「え、ええ……完敗でしたわ」

 

「いやぁ、僕もいつビットの攻撃に当たるかヒヤヒヤだったよ」

 

「よく言いますわね。軽くいなしていたくせに」

 

「んー、嘘じゃないんだけどな」

 

 

実際、ミサイルはかなり焦った。

……本当だよ?

 

 

「まぁ、とにかく私の負けですわ。なんとなく、織斑先生があなたを試合に出した意味がわかりました。私もまだまだだと気付かされました」

 

 

織斑先生、そんなこと考えてない気がするな……リハビリして来いとか言ってたけど、絶対にあれは建前だ。もっといい建前があると思うけど。

 

 

「柳川さん……いえ、これからは将冴さんとお呼びしても?」

 

「うん、いいよ」

 

「では、将冴さん。戦えて良かったですわ。また今度、お手合わせ願います」

 

「こちらこそ、よろしく」

 

 

握手をして、お互いのピットに戻った。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ピットに戻ると、織斑先生と山田先生が近づいてきた。

 

 

「柳川君、お疲れ様でした」

 

「いい試合だった。よくやったな」

 

「ありがとうございます。一夏の方はどうですか?」

 

「ああ、まだ時間がかかっている。セシリアの方はエネルギー補充が終わればすぐに出れるだろうから、一次移行(ファーストシフト)する前に戦わねばならないな」

 

 

時間かかってるなぁ。もうちょっと時間延ばしたほうがよかったかな?

 

車椅子を動かし、一夏の元へ向かう。

 

 

「将冴、すごかったな!今の試合」

 

「伊達に専用機持ってないからね」

 

「そうだな。将冴にだってできたんだ、俺も頑張らなきゃな」

 

「頑張ってね。応援してるから」

 

 

話しているうちに、セシリアさんの補給が終わったのかアリーナにブルー・ティアーズを纏ったセシリアさんが現れる。

 

 

「ほら出番だよ」

 

「おう!」

 

「一夏、絶対に勝つのだぞ」

 

「わかってるよ、箒。お前との特訓、無駄にはしないさ」

 

 

カタパルトに乗った一夏は、白式とともにアリーナに飛び出す。

 

 

「さて、一夏は何分持つかな」

 

「将冴……応援しするんじゃなかったのか?」

 

 

箒さんの言葉に僕は何も答えなかった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「だぁー!!あとちょっとだったのに!」

 

 

ピットに戻ってきた一夏は、悔しそうに叫んだ。

 

 

「惜しかったね。『零落白夜』だっけ?当たってたら勝てたね」

 

「あそこでエネルギー無くなるとは思わなかったぞ。クソォ、悔しい」

 

 

まぁ、善戦した方じゃないかな。

ミサイルに当たる瞬間に一次移行したときは流石に驚いたけど。

 

 

「初めて乗ったにしては、いい試合だった。課題は山積みだがな」

 

 

織斑先生も褒めてる。それだけのことができたんだよ?一夏。

 

 

「一夏疲れただろう。先にシャワーを浴びて来い」

 

「ああ、そうするよ」

 

 

そういえば、一夏と箒さんは同じ部屋なんだっけ?まぁ幼馴染らしいし、問題ないか。

 

 

「二人ともお疲れ様でした。今日はゆっくり休んでくださいね」

 

 

山田先生がそう微笑みかけてくれる。

 

 

「あれ、そういえば俺と将冴は試合しなくていいのか?」

 

 

一夏が思いついたように尋ねる。

そういわれてみれば確かに……。

 

 

「お前と将冴が戦っても、勝敗は明らかだ。それに、これ以上は将冴の負担になる」

 

「そっか……」

 

 

僕の負担って、別に問題はないんだけど……。織斑先生がなぜか心配そうな顔をこっちに向けてくる。いや、大丈夫ですよ。なんの問題もありませんって。

 

一夏も、何暗くなってるの?そんなに貧弱じゃないからね?僕。このお通夜ムードは何!?

 

 

「失礼します。将冴さんと一夏さん……は……」

 

 

こっちのピットにきたセシリアさんがこの雰囲気を感じ、申し訳なさそうにピットから出て行った。

 

いや、なにこれ?

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

『そうか、勝てたんだな』

 

 

夜、僕はクラリッサと電話していた。あっちは今昼休みだという。この時間にかけたらちょうどいいんだな。

 

 

「うん。そしたら、なぜか僕の体のことを心配されて、みんなして暗くなって。もう意味がわかんなかったよ」

 

『はは、大切にされているんだ。素直に受け取ればいい』

 

「むぅ……」

 

 

病人扱いされるのは嫌なんだけどなぁ。

 

 

『私だって、お前のことが心配だ……』

 

「クラリッサも?」

 

『一度誘拐されてるうえに、世界に知られてしまっている。いつ将冴に危険が迫るかわからない。将冴のそばにいて、将冴を守りたい……』

 

「クラリッサ……」

 

『……すまない、少し暗くなってしまったな。そうだ、来月辺りにラウラ隊長がIS学園に転入することになったぞ』

 

「ラウラが?」

 

『ああ、上からの命令でな。表向きは、男性IS操縦者のデータを集めてくることだが、本当はラウラ隊長に普通の学生生活を送ってもらうためらしい』

 

「へぇ、ドイツ軍は優しいね」

 

『優しいというか……非公式なんだが、上層部の方ではラウラ隊長は人気なんだ。あの容姿で、何人もファンがいるらしい』

 

「そうなんだ。ふふ、なんかおかしいね」

 

『ああ、本当にな……』

 

「……クラリッサは来ないの?」

 

『シュバルツェ・ハーゼのこともある。隊長と副隊長が揃っていなくなるのは、組織的にまずい。私は行けないな』

 

「そっか……」

 

『長い休暇が取れれば、そちらにいく。その時は一緒に遊んでくれ』

 

「わかった。待ってるね」

 

『ああ、じゃあそろそろ切るぞ。またいつでも電話してくれ』

 

「うん、またね」

 

『またね』

 

 

ピッと携帯を通話を切る。

その瞬間、部屋の扉が開いた。山田先生が帰ってきたみたいだ。

 

 

「お帰りなさい、山田先生」

 

「ただいまです。電話していたんですか?」

 

「ええ。友達、です」

 

 

ズキリと胸が痛んだ。今のは……。

 

 

「そうですか。お友達、大切にしてくださいね」

 

「はい」

 

 

山田先生はベッドの間にある仕切り用のカーテンを閉めて、着替えをし始める。

 

 

「友達……」

 

 

その言葉は、適切なのかな?

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

将冴との通話を終え、ふぅと一息つく。

横にいたルカがその様子を見て、話しかけてくる。

 

 

「将冴君?」

 

「ああ。今日イギリスの代表候補生と試合をして勝ったみたいだ」

 

 

ルカは興味なさげに「ふぅん」と返した。

聞いてきたのはそっちではないか……。

 

 

「来ないのかって聞かれたの?」

 

「……ああ。だが、私にはシュバルツェ・ハーゼの副隊長としてここに残らなければ行けない。ラウラ隊長に着いて日本に行くのは無理だ」

 

「相変わらず考え方が硬いわね。会いたいなら、無理を通してでも行けばいいじゃない」

 

「そんな我儘を通せるわけないだろう。私だって、行けるものなら行きたいさ……」

 

「……あっそ。ま、私には関係ないけどね」

 

 

ルカはそう言って立ち上がり、どこかへ歩いて行く。

 

 

「おい、どこにいくんだ?」

 

「お花摘みに行くのよ」

 

「そ、そうか……」

 

「……ま、本当は直談判しに行くんだけどね」

 

 

去り際にルカが何か言っていたが、私の耳には届かなかった。




電話越しに相手の声が聞こえるけど、触れないというのは、なんとも辛いものでしょうね。


一夏とセシリアの試合は、原作と同じだった、ということだけ伝えておきます。べ、別に書くのが面倒だったわけじゃないんだからね!?
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