この辺で終わらせないと、プロローグがものっすごい長くなりそうなので。
ドイツ語、1ミリもわかんねぇですので、多分ドイツ語を書くことはないと思います。
目を覚ましたら、見知らぬ天井だった。
それと共にピクリとも動かない体に違和感を覚えた。
とりあえず、意識を失う前に何があったかを思い出さなければ……。
確か、誘拐されてて、ISを纏ったお姉さんが助けに来てくれて、それから爆発があって……
「あ……」
そこで違和感の正体に気付いた。麻酔やらなんやらで動かないと思っていたが、違うんだ。
あるべきところに、あるべきものがないから違和感を感じたんだ。
「腕と足が……」
ないんだ。両手足が。すっぱり。
「はは、無くなっちゃったのか……」
それからすぐに入ってきた看護師さんが、起きてる僕を見て慌て始めた。
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医者から検査と言われ(ドイツ語でわからなかったけど、多分そんなニュアンスのこと)、せわしなくいろんな機械やらに通されて、血とかを抜かれた後、診察室みたいなところで担当医らしき人と対面していた。
ドイツ語がわからない僕に、通訳がついた。なんでもドイツ軍が呼んでくれたとか。チラッと千冬とか聞こえた気がするけど……あの人は忙しいだろうから、聞き間違いだろう。
通訳を通して、医者が話し始める。
「術後の感染症なんかの疑いもない。しばらく様子を見て、問題なければ退院だ」
そんなようなことを言われた。案外、すんなり受け入れられるものだ。
いきなり手足が無くなっても、正気を保っている僕はすごいと思う。
そうだ、一つ聞きたいことがあった。……嫌な予感がするけどね。
「先生。僕の両親は……」
「ああ……」
気まずそうに顔を伏せる先生。やっぱりそうなんだ。
「……君の両親は亡くなった。詳しい状況は知らないが、軍からそう聞いている」
「そうですか……ありがとうございます。すいませんが、もう部屋へ戻っても大丈夫ですか?
先生はもちろんと言い、僕は部屋へ戻ることにした。看護師さんに車椅子を押してもらって。
部屋の前まで着くと、女の人がいた。見覚えのある人。意識を失う前まで、すぐ近くにいた人だ。
「あなたは……」
「……」
あの時のお姉さんだ。
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織斑千冬の言う通り、少年は目を覚ましていた。
柳川将冴。
私が自由を奪ってしまった男の子……。
少年の部屋の前に立ったが、入る決心がつかず立ちすくんでいたら、カラカラと車椅子の引かれる音が聞こえた。
「あなたは……」
「……」
多分、私は酷い顔をしているだろう。言わなきゃいけないことがあるのに、声帯を取られたかのように声が出ない。
そんな私を見て、少年は微笑を浮かべた。
「中、はいりませんか?お姉さんとお話ししたいです」
日本語でそう言われた。なんとか意味はわかった。異国の言葉なのに、その言葉に救われた気がする。
私は扉を開け、車椅子の彼を先に病室に入れて、後を追うように中に入った。
看護師が彼を抱き上げ、ベッドに寝かせた。
「ありがとう……ってドイツ語で何ていうか忘れちゃった」
看護師はニコッと笑うと病室を出て行った。
すれ違いざまに、ごゆっくりと言ってきた。余計なお世話だ。
「えっと、一応初めましてなのかな?柳川将冴です」
「クラリッサ……クラリッサ・ハルフォーフ」
彼はドイツ語がわからないだろう。少ししか勉強していないが、できるだけ日本語で喋ろう。
「わ、ワタシ、アナタ、守レナカッタ。スゴク、ゴメンナサイ。アナタ、腕、足、ナクナッタ。ワタシ、責任アル。スゴク、スゴクゴメンナサイ……」
拙い日本語で、謝った。日本では頭を下げるという。それに習って、90度になるくらい頭を下げた。
腕と足の無い彼の姿を見たら、こんなことで許されるとは思えないけど。今はこうするしかなかった。
「クラリッサさん。頭をあげてください」
彼に言われて、頭をあげる。
彼の目は、今にも泣きそうなくらい弱々しい。
「僕は、あなたが助けてくれたのを知ってます。爆発から救おうと庇ってくれたことも、病院へ運んでくれたことも。クラリッサさんが、謝ることじゃないんです」
「デモ!ワタシ、アナタノ、オトウサン、オカアサン、守レナカッタ!アナタノ体、不自由ニシタ。許サレナイコト……」
「それはクラリッサさんのせいじゃありません。悪いのは、僕達を誘拐した人です。あなたは、謝らなくていい」
この少年は……なんでそんなに強いんだろう。親も、体も失ったのに。なんでこんなに……
「クラリッサさん、ありがとうございます」
その言葉で、私はもう限界だった。
「うう……うわあぁぁぁぁぁ!!」
涙を、止めることはできなかった。
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クラリッサさんは一頻り泣いたら落ち着いたようで、ベッドの横にあった椅子に座った。
「恥ズカシイ姿、見セマシタ。ゴメンナサイ」
「いえ、時には思いっきり泣いたほうがいいです」
「アナタ、泣カナイ、デスカ?」
「……うん。なんでかわからないけど。涙が出ないんだ。悲しいのは本当だし、かなりショックだけど。両手足がないし」
強がりの笑顔を作ってみせる。
「なんとなく、お父さんもお母さんも、泣いてる僕なんて見たくないと思うしね」
「アナタ、強イ」
「そんなことはないよ。結構いっぱいいっぱい」
多分、いろんなことが起きすぎて、脳が処理しきれてないんだと思っている。それに、ここで泣いたら、一生引きずりそうだから。
「アナタ、コレカラドウスル?」
「退院したらってこと?」
クラリッサさんが首を縦に振る。
「……わかんない。多分、日本に戻って施設とかに入れられるんじゃないかな」
「ソウ……」
クラリッサさんは見るからに落ち込んでいた。また自分のせいとか思っているのかな?
「こら!」
「っ!?」
本当なら軽くチョップとかしたいけど、腕がないから怒った声をあげる。
「もう自分のこと責めない。わかった?」
「わ、ワカッタ……」
シュンとしてる。なんだか第一印象では、結構厳しくてクールな感じの人かと思ったけど、そうでもなさそうだ。
そんなことを考えていると、コンコンと病室の扉をノックする音が聞こえ、看護師さんが入ってきた。
『そろそろ面会終了のお時間です』
ドイツ語でなんか言ってる。
『わかった。すぐに出る』
看護師さんの方を見てクラリッサさんもドイツ語で返し、すぐに僕の方を見た。
「コレ、連絡先」
名刺を取り出し、裏に電話番号を書いて渡してくれた。
「ありがとう。また来てくれるの楽しみにしてる」
「サヨウナラ」
「違うよ」
「?」
クラリッサさんは頭にハテナを浮かべてる。
「またねって言うんだよ」
「マタネ?」
「うん、またね」
クラリッサさんは嬉しそうにマタネと言って、病室を出て行った。
さて……
「これからどうしようかな」
片言クラリッサに萌えた。
自分で書いてて萌えました。