IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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今回でプロローグ終わりです。

この辺で終わらせないと、プロローグがものっすごい長くなりそうなので。

ドイツ語、1ミリもわかんねぇですので、多分ドイツ語を書くことはないと思います。


第5話

 

目を覚ましたら、見知らぬ天井だった。

それと共にピクリとも動かない体に違和感を覚えた。

 

とりあえず、意識を失う前に何があったかを思い出さなければ……。

 

確か、誘拐されてて、ISを纏ったお姉さんが助けに来てくれて、それから爆発があって……

 

 

「あ……」

 

 

そこで違和感の正体に気付いた。麻酔やらなんやらで動かないと思っていたが、違うんだ。

 

あるべきところに、あるべきものがないから違和感を感じたんだ。

 

 

「腕と足が……」

 

 

ないんだ。両手足が。すっぱり。

 

 

「はは、無くなっちゃったのか……」

 

 

それからすぐに入ってきた看護師さんが、起きてる僕を見て慌て始めた。

 

 

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ーーーー

ーー

 

 

医者から検査と言われ(ドイツ語でわからなかったけど、多分そんなニュアンスのこと)、せわしなくいろんな機械やらに通されて、血とかを抜かれた後、診察室みたいなところで担当医らしき人と対面していた。

 

ドイツ語がわからない僕に、通訳がついた。なんでもドイツ軍が呼んでくれたとか。チラッと千冬とか聞こえた気がするけど……あの人は忙しいだろうから、聞き間違いだろう。

 

通訳を通して、医者が話し始める。

 

 

「術後の感染症なんかの疑いもない。しばらく様子を見て、問題なければ退院だ」

 

 

そんなようなことを言われた。案外、すんなり受け入れられるものだ。

 

いきなり手足が無くなっても、正気を保っている僕はすごいと思う。

 

そうだ、一つ聞きたいことがあった。……嫌な予感がするけどね。

 

 

「先生。僕の両親は……」

 

「ああ……」

 

 

気まずそうに顔を伏せる先生。やっぱりそうなんだ。

 

 

「……君の両親は亡くなった。詳しい状況は知らないが、軍からそう聞いている」

 

「そうですか……ありがとうございます。すいませんが、もう部屋へ戻っても大丈夫ですか?

 

 

先生はもちろんと言い、僕は部屋へ戻ることにした。看護師さんに車椅子を押してもらって。

 

部屋の前まで着くと、女の人がいた。見覚えのある人。意識を失う前まで、すぐ近くにいた人だ。

 

 

「あなたは……」

 

「……」

 

 

あの時のお姉さんだ。

 

 

ーーーーーー

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ーー

 

織斑千冬の言う通り、少年は目を覚ましていた。

 

柳川将冴。

 

私が自由を奪ってしまった男の子……。

少年の部屋の前に立ったが、入る決心がつかず立ちすくんでいたら、カラカラと車椅子の引かれる音が聞こえた。

 

 

「あなたは……」

 

「……」

 

 

多分、私は酷い顔をしているだろう。言わなきゃいけないことがあるのに、声帯を取られたかのように声が出ない。

 

そんな私を見て、少年は微笑を浮かべた。

 

 

「中、はいりませんか?お姉さんとお話ししたいです」

 

 

日本語でそう言われた。なんとか意味はわかった。異国の言葉なのに、その言葉に救われた気がする。

 

私は扉を開け、車椅子の彼を先に病室に入れて、後を追うように中に入った。

 

看護師が彼を抱き上げ、ベッドに寝かせた。

 

 

「ありがとう……ってドイツ語で何ていうか忘れちゃった」

 

 

看護師はニコッと笑うと病室を出て行った。

 

すれ違いざまに、ごゆっくりと言ってきた。余計なお世話だ。

 

 

「えっと、一応初めましてなのかな?柳川将冴です」

 

「クラリッサ……クラリッサ・ハルフォーフ」

 

 

彼はドイツ語がわからないだろう。少ししか勉強していないが、できるだけ日本語で喋ろう。

 

 

「わ、ワタシ、アナタ、守レナカッタ。スゴク、ゴメンナサイ。アナタ、腕、足、ナクナッタ。ワタシ、責任アル。スゴク、スゴクゴメンナサイ……」

 

 

拙い日本語で、謝った。日本では頭を下げるという。それに習って、90度になるくらい頭を下げた。

 

腕と足の無い彼の姿を見たら、こんなことで許されるとは思えないけど。今はこうするしかなかった。

 

 

「クラリッサさん。頭をあげてください」

 

 

彼に言われて、頭をあげる。

 

彼の目は、今にも泣きそうなくらい弱々しい。

 

 

「僕は、あなたが助けてくれたのを知ってます。爆発から救おうと庇ってくれたことも、病院へ運んでくれたことも。クラリッサさんが、謝ることじゃないんです」

 

「デモ!ワタシ、アナタノ、オトウサン、オカアサン、守レナカッタ!アナタノ体、不自由ニシタ。許サレナイコト……」

 

「それはクラリッサさんのせいじゃありません。悪いのは、僕達を誘拐した人です。あなたは、謝らなくていい」

 

 

この少年は……なんでそんなに強いんだろう。親も、体も失ったのに。なんでこんなに……

 

 

「クラリッサさん、ありがとうございます」

 

 

その言葉で、私はもう限界だった。

 

 

「うう……うわあぁぁぁぁぁ!!」

 

 

涙を、止めることはできなかった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

クラリッサさんは一頻り泣いたら落ち着いたようで、ベッドの横にあった椅子に座った。

 

 

「恥ズカシイ姿、見セマシタ。ゴメンナサイ」

 

「いえ、時には思いっきり泣いたほうがいいです」

 

「アナタ、泣カナイ、デスカ?」

 

「……うん。なんでかわからないけど。涙が出ないんだ。悲しいのは本当だし、かなりショックだけど。両手足がないし」

 

 

強がりの笑顔を作ってみせる。

 

 

「なんとなく、お父さんもお母さんも、泣いてる僕なんて見たくないと思うしね」

 

「アナタ、強イ」

 

「そんなことはないよ。結構いっぱいいっぱい」

 

 

多分、いろんなことが起きすぎて、脳が処理しきれてないんだと思っている。それに、ここで泣いたら、一生引きずりそうだから。

 

 

「アナタ、コレカラドウスル?」

 

「退院したらってこと?」

 

 

クラリッサさんが首を縦に振る。

 

 

「……わかんない。多分、日本に戻って施設とかに入れられるんじゃないかな」

 

「ソウ……」

 

 

クラリッサさんは見るからに落ち込んでいた。また自分のせいとか思っているのかな?

 

 

「こら!」

 

「っ!?」

 

 

本当なら軽くチョップとかしたいけど、腕がないから怒った声をあげる。

 

 

「もう自分のこと責めない。わかった?」

 

「わ、ワカッタ……」

 

 

シュンとしてる。なんだか第一印象では、結構厳しくてクールな感じの人かと思ったけど、そうでもなさそうだ。

 

そんなことを考えていると、コンコンと病室の扉をノックする音が聞こえ、看護師さんが入ってきた。

 

 

『そろそろ面会終了のお時間です』

 

 

ドイツ語でなんか言ってる。

 

 

『わかった。すぐに出る』

 

 

看護師さんの方を見てクラリッサさんもドイツ語で返し、すぐに僕の方を見た。

 

 

「コレ、連絡先」

 

 

名刺を取り出し、裏に電話番号を書いて渡してくれた。

 

 

「ありがとう。また来てくれるの楽しみにしてる」

 

「サヨウナラ」

 

「違うよ」

 

「?」

 

 

クラリッサさんは頭にハテナを浮かべてる。

 

 

「またねって言うんだよ」

 

「マタネ?」

 

「うん、またね」

 

 

クラリッサさんは嬉しそうにマタネと言って、病室を出て行った。

 

さて……

 

 

「これからどうしようかな」




片言クラリッサに萌えた。

自分で書いてて萌えました。
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