多分、その3で終わります。
今回はあのお姉様方と最終決戦兵器(胸部装甲的な意味で)が……
一夏達やナターシャさんがいなくなって、やっと静かになったと思ったら、僕に静寂は訪れないようだ。
なぜこんなことを言うのかというと、わざと鳴らしていると思われるヒールの音が二つ聞こえるから。
僕の予想が正しければ、多分その二人の他にもう一人いると思うんだけど……
バンッ!
「将冴!来てやったぞ!」
「オータム、少し静かにしなさいな」
「なぜ私まで付き合わなければならないんだ……」
予想通り、生徒会室に入ってきたのは三人。オータムさん、スコールさん、マドカだった。
「三人とも、来てくれたんだ」
「当たり前じゃない。地球の裏側からだって駆けつけるわよ」
僕の頭を撫でるスコールさん。その声は少し寂しそうな感じがする。
その様子を見ていたオータムさんが、何やら苛立った様子で腕を組んでる。
「あら、オータム。何か言いたいことあったんじゃないの?」
「な!ね、ねぇよ!そんなの……」
「嘘つけ、昨日ずっと将冴と会ったらなんて言えばいいとかしつこく私に聞いていたではないか」
「ま、マドカ!」
「ほら、言っちゃいなさいな」
スコールさんがオータムさんの背中を押して、僕の前に連れてくる。オータムさんよ顔が赤くなっているのがわかる。
「えっと……その……」
モジモジと自分の人差し指と人差し指をくっつけたり、くるくる回したりしている。
「オータムさん?」
「結婚、おめでとぅ……し、幸せにな……」
「うん、ありがとうございます」
「あら、まだ言うことあるんじゃなかった?」
「スコール!余計な事を!」
もう耳まで真っ赤になってしまったオータムさんは、まるで決死の覚悟を決めるかのように手を握る。
「わ、私も好きだったんだからな!幸せにならないと、ぶっ飛ばすからな!くそぉぉぉ!!」
そのままオータムさんは生徒会室を走り去っていった。
なんか勢いに任せて告白された?
「初々しいわね。まぁ、あの子からしたら初恋だったものね。私もそろそろ行くわ。式の途中で攫って行くから、よろしく」
「そんなドラマじゃないんだから……」
スコールさんはオータムさんを追うように生徒会室から出ていった。マドカは呆れたようにやれやれと首を横に振る。
「騒がしくてすまんな。二人とも、お前の結婚がかなりショックだったみたいだ」
「ショックって……」
「罪作りな男だと、私ですら思うぞ」
「知らない間に、いろいろ業を生んでいたみたい」
「まぁ、あの二人は大丈夫だろう。そういえば、私からは伝えていなかったな。結婚おめでとう。月並みだが、幸せにな」
「ありがとう、マドカ」
お互いに握手をする。マドカとこんな話をするのも、妙な感じだ。
「では、私は二人のフォローに行ってくる。また後でな」
「うん、またね」
マドカも出て行く。今日は客が多いなぁ。
まだくるかな?あと少ししたら、式も始まると思うんだけど……。というか、式の流れを全く聞いてないんだけど、大丈夫なのかな。
「将冴君」
突然、名前を呼ばれる。目を向けると、綺麗に着飾った山田先生が扉の所に立っていた。
「山田先生」
「緊張、してますか?」
「緊張する間も無く、いろんな人が訪れてきて、正直疲れてます」
「ふふ、まだ式は始まってませんよ?」
山田先生は笑っている。さっきまでの来客よりも、おとなしいと言ったら変かもしれないけど、疲れてぐったりすることはなさそうだ。
「でも羨ましいですね、結婚式。私もしたかったです」
「したかったって、山田先生はこれからじゃないですか」
「そうかもしれませんけど……その……できれば将冴君と……」
「僕と……?」
「あ、冗談です!冗談!私もいい人見つけなきゃですよね?」
慌てる山田先生の目が少し潤んでいた。
さっきのは冗談じゃなくて……。
「今日は将冴君とクラリッサさんの門出です。式の運行は任せてください!この後、織斑先生が迎えに来ますから」
「……はい。わかりました」
「あと、結婚おめでとうございます。幸せになってくださいね」
「ありがとうございます、山田先生」
「それでは、失礼します」
出て行く山田先生の背中を見て、僕は今の今まで山田先生の気持ちに気付いていなかったことに後ろめたい気持ちになった。
山田先生だけじゃない。いろんな人の気持ちに気付いてあげられなかった。一夏よりはわかってるつもりでいたんだけどなぁ……一夏のことは言えないかな。簪の言う通り、僕はタチが悪い。
それから10分ほど経って、生徒会室の扉が開いた。今日は何回も開けられている扉は、若干建て付けが悪くなってしまったのか、音が歪んでいる。
「準備はできているか?将冴」
「はい、大丈夫です。織斑先生」
入ってきたのは織斑先生。いつものスーツ姿だ。見慣れたその姿に、なんだかホッとする。
「千冬でいい。お前はもう卒業したんだ」
「そうでしたね、千冬さん」
名前で呼べば出席簿が頭に襲いかかるのだが、今日は落ちてこない。とはいうものの、僕は一度も出席簿をくらったことがないので、どの程度痛いのかは知らないけど。
「では、行くとしよう」
千冬さんがゆっくりと車椅子を押しくれる。
次で最後ー。
だんだんスランプもよくなってきたかなという感じです。明後日から本編更新していきます。