本編の方も、読者の方からアドバイスいただいたので、なんとか形にできそうです。
本当に、読者の方々に助けていただいてます。ありがとうございます。
結婚式場である講堂までの道。千冬さんから段取りを伝えられる。まぁ、一般的な結婚式と変わらない。
「式の時は義足をつけるのか?」
「はい。こういう時くらいカッコつけたいです」
足があるんだから、自分で立たなきゃ。今までクラリッサに支えてもらった分、僕がクラリッサを支えるんだ。
「そうか……思えば、この数年はお前のことばかり考えていた」
「千冬さん?」
「ドイツで一緒に暮らした。一年空いたが、IS学園でも一緒に過ごせた。いつも心配していた。だけど、将冴は強かった。泣き言は言わず、ハンデを背負っても強く生きていた」
車椅子が止まる。
振り返り千冬さんを見ると、嬉しそうな表情で目を潤ませていた。
「もう、こうやってお前の車椅子を押すことはないのかもしれないな」
「……」
「結婚、おめでとう。先を越されてしまったな」
「ここまで来れたのは千冬さんがいてくれたからです。千冬さんがいなかったら、こうはなりませんでした。本当にありがとうございます」
千冬さんは一筋涙をこぼし、すぐに指で拭った。
「お前は、私の家族だ。これからもな」
「はい、千冬さん」
「さ、早く講堂に行こう。みんな待ってる」
再び車椅子を押してくれる。
お互い、アリーナに着くまで何も話さなかった。
講堂に着くと、本当の教会のように装飾されていた。
両サイドに椅子が並べられ、みんな座っている。山田先生は司会のようで、前の方で立っている。
一夏、箒、セシリア、鈴、シャル、ラウラ、簪、同級生の皆、涙目の楯無さん、虚さん、スコールさん、オータムさん、マドカ、ナターシャさん……シュバルツェ・ハーゼのみんなもリョーボさんもいる。
「緊張しているか?」
「いえ、こんなに知り合いがいるのに、緊張なんてできませんよ」
「そうか」
僕は義足をつけて立ち上がり、椅子の間を歩く。みんなが僕の事を見て笑いかけてくれる。
みんなの前まで来たら、あとは待つだけだ……。
「新婦の入場です」
山田先生の言葉と同時に、講堂の扉が開く。
真っ白な、純白のドレスをきた愛しい人……クラリッサがそこにいた。
一歩ずつ、歩いてくる。
「クラリッサ……綺麗だよ」
「将冴……」
僕の前まで着いたクラリッサを見ると、もう言葉にしていた。
クラリッサと腕を組む。なんだか、さっきまで緊張してなかったのに、一気に緊張してきた。
さっき聞いた段取りでは、ここで神父が……。
「やっほーい!本日の司祭様は、束さんだよーん!」
どこからともなく、大天災が現れた。
会場が唖然としている。
「た、束さん!?」
「後でとっちめる……」
殺気を含んだ千冬さんの声が聞こえた気がした。
「はいはい、みんな度肝抜かれてるところ悪いんだけどぉ、早速始めちゃうよ!もうめんどくさいのは飛ばしちゃうから!」
「し、篠ノ之博士!?あまり勝手なことは……」
「うるさいよ、無駄乳星人!ではでは、まずは誓いの言葉を……くらちゃんはしょーくんの事を愛してますかぁ?」
やりたい放題とはこのこと……僕はもうどうでもよくなってきたよ……。
「えっ、あ、はい!愛しています!」
突然のことで処理しきれていないようだったクラリッサ。
かなり段取りと違うから、戸惑うのは当然だ。
「しょーくん。しょーくんはくらちゃんと私のことを愛していますか?」
この司祭ダメだ。
「僕は、クラリッサを愛しています」
「むぅ、振られちゃった……」
むくれてないで、続きをしてくれないかな。
「では、指輪の交換でーす」
やる気を感じない声で言われた。束さん、やるなら最後までしっかりやろうよ。
と、指輪を持ってきてくれたのはクロエさんだった。まぁ、束さんが来ていたら、クロエさんも来ているだろう。
「どうぞ、将冴様、クラリッサ様」
「ありがとう、クロエさん」
クロエさんから指輪を受け取り、クラリッサの左手の薬指にはめる。
「なんだかめちゃくちゃだね。結婚式」
「そうだな。でも、これもなかなかいいものだ」
クラリッサもクロエさんから指輪を受け取り、僕の指にはめてくれる。
「はい、では次はメインイベント!誓いのキッスです!」
指輪をはめた余韻すらも与えない束さん。これは色々とどうなんだ?
とりあえず、言われた通りにしよう。
クラリッサのヴェールをあげる。
綺麗に化粧をしているクラリッサ。
でも、少し顔が赤いのがわかる。
「緊張するね」
「いつもしているではないか」
「でも、こういう場だとさ……」
「確かに……少し照れくさいな」
「愛してるよ、クラリッサ」
「私も、愛してる」
お互いに顔を近づけ、唇が触れ合った。
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〜現在〜
「あの後も大変だったよね。一夏達専用機組が、ISに乗って祝砲あげたり……」
「篠ノ之博士と楯無が将冴を拉致しようとしたりな……」
「ふふ、千冬さんのアイアンクローをまともに受けてたっけ」
普通とは思えない結婚式。でも、楽しかった。一生忘れない思い出だ。
「っと、そういえばもう着いてたんだよね。早く荷ほどきしなきゃ」
「ああ、そうだな」
車から降りると、そこはドイツ軍の女子寮。僕がドイツにいた時暮らしていた、あの寮だ。
「しかし、本当に良かったのか?ドイツ軍に入るなんて……私がドイツ軍をやめて、日本に残るという選択肢も」
そう、僕はドイツ軍に入ることになった。ラウラというコネを使ってシュバルツェ・ハーゼ隊に入隊することになっている。
本当は結婚式を終えたらすぐにドイツに来る予定だったんだけど、日本政府にごねられたり、いろんな資料書かされたり、ドイツ国籍とったりしている間に一ヶ月も経ってしまった。おかげで、クラリッサと新婚旅行にも行けていない。というか、クラリッサとあまり会えなかった。許すまじ……
「ううん、いいんだよ、これで。ISを動かす仕事に就きたかったし、大学はお金がかかるから行くつもりはないし、それにクラリッサと同じ職場がいいから」
「そ、そういうことをサラッと言うな……嬉しいけど……」
恥ずかしそうにするクラリッサ。全く、可愛すぎるな、僕のお嫁さんは。
「荷物、結構あるからね。急いでも夜になっちゃうかな」
「ああ、そうだな……夜に……」
「どうしたの?クラリッサ」
「将冴!」
「今日、荷ほどきが終わればゆっくりできるんだな!」
「うん、そうだね。正式な入隊は一週間後だし……」
「なら……」
クラリッサがなにやら意を決したような表情を浮かべる。
「今夜が……初夜ということでいいな!」
「そういうことは大声で言わないの!」
こんな終わり方でいいのか……いいよね。クラリッサが最後の最後で残念な感じになる……うん、アリだね。
いかがだったでしょうか。完全な思いつきでしたが、楽しんでいただけたでしょうか?
明日から本編です。
本編は、今回の番外編のことは忘れて、お楽しみください。