IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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クラリッサとの絡みが少ない気がする……気のせいだよね……気のせいだよね!?


65話

 

部屋の前まで来るとと、扉に紙が貼ってあった。

 

 

『山田先生のところに行っている。

先に休んでいて構わない。

何かあれば連絡してくれ。

クラリッサ』

 

 

山田先生のところに……実習生っていうことになってるし、現役の先生に聞きたいこととかあるのかな?

 

まぁ、ちょうどよかったけど。

 

部屋に入り、ベッドに腰掛ける。

 

 

「さてと……ようやく確かめることができるかな」

 

 

クラス対抗戦前にかかってきた、襲撃を教えてくれたあの電話。あの時はわからなかったけど、今になって考えるとあの声は……。

 

携帯を取り出し履歴からあの電話番号を見つけ、電話をかける。

 

数秒コールした後、電話がつながった。

 

 

『もしもし、束か?さっきも報告した通り、今日は何も……』

 

「オータムさんですか?」

 

『……へ?』

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「だぁ!もう!疲れた〜!」

 

 

アジトにしている、今は使われていないホテルに戻ってきた私……オータムは、今着ているレディーススーツを脱ぎ捨ててソファーに座り込んだ。

 

 

「もう、オータム。帰ってくるなり下着姿にならないの」

 

 

私に続きスコール、エムが部屋に入る。エムはまっすぐ自室として使っている部屋に戻っていく。

 

 

「いいだろ、別に。私らしかいないんだし、今日は特に疲れたんだから」

 

「そのわりには、何も情報は得られなかったけどね」

 

「ったく、本当にドイツに何かあるのかよ」

 

「束博士からの情報よ。間違いないわ」

 

 

私達3人は、現在ドイツにいた。束からドイツに不穏な動きがあるから調べて来いと言われたからだ。あのウサ耳博士にいいようにこき使われてるだけな気がするがな……。

 

 

「それで、明日はどうするんだよ」

 

「明日も軍の方を調査……と行きたいところだけど、フリーにするわ。私、ちょっと会わなきゃいけない人がいるから」

 

「男か?」

 

「男なのは正解だけど、ただの情報屋よ。色々と調べ物を頼んでいたの。それに、可愛げのない男は嫌いなの私」

 

 

スコールの男の趣味はどうでもいいんだがな。

 

 

「あっそう。ま、明日がフリーなら、たらふく飲めるか」

 

「好きになさい。私はもう寝るわ」

 

「あいあい、おやすみ」

 

 

スコールも自室として使っている部屋に戻っていった。さて、一人寂しく酒でも飲むかなっと。

 

 

「確か冷蔵庫に未開封のボトルが……」

 

 

ソファーから立ち上がり、冷蔵庫のところまでいったところで、私が脱ぎ捨てたスーツから携帯のバイブ音が聞こえる。

 

 

「あん?」

 

 

私の携帯に連絡をよこすのは、ウサ耳博士かその娘のクロエとかゆう小娘だけ。また面倒クセェ用件か?

 

つぅか、今日のことはもう伝えたろうが……

 

 

「ったく、人が飲もうって時に」

 

 

スーツから携帯を探し出し、画面も確認せずに通話を繋げた。

 

 

「もしもし、束か?さっきも報告した通り、今日は何も……」

 

『オータムさんですか?』

 

「……へ?」

 

 

誰だこいつ。男の声?ていうか私のことを知ってるだと?なんだ、こいつ一体……。

 

なんか聞いたことある声なんだが……

 

 

『もしもし?オータムさん?』

 

「テメェ、誰だ……」

 

『あ、将冴です。以前、ドイツではお世話になりました』

 

 

将冴って、あの柳川将冴?そうだ、この声は将冴の声だ。

 

 

『あの……オータムさん?何かありました?』

 

「あ、いや何もねぇよ……てか、なんでこの番号知ってんだよ!?束に聞いたのか?」

 

『いえ、前にかけてもらった時の履歴から』

 

「履歴……?」

 

『オータムさん、非通知にするの忘れていたでしょう?電話番号、きっちり僕の携帯に残ってますよ』

 

 

あ……確かに非通知にするの忘れていたかもしれねえ……くっそ、迂闊だった!一番知られたくねぇ奴に知られた!

 

 

『やっぱり、あの時の電話はオータムさんだったんですね。おかげで、被害を最小限にできた……かもしれないです』

 

「なんでそんな自信なさそうなんだよ……」

 

『あの電話、半信半疑だったので。対応が少し遅れてしまったかもしれないです』

 

 

半信半疑だったのかよ!こっちは電話をかけるっていう、嫌いなことをしてまで伝えてやったのに!

 

っと、こんなこと話している場合じゃねぇ。

 

 

「それより何の用で電話してきたんだよ。何か用があったから電話してきたんだろう?」

 

『いえ、ただあの時のお礼が言いたかっただけです』

 

「……は?」

 

 

それだけのために連絡してきたのかよ!

甘ちゃんかよ……。

 

 

『……すいません、迷惑でしたか?』

 

「え?いや、別に……」

 

『そうですか、よかった。本当はもっと早く連絡したかったんですが、義手が無かったり、1人になれる時が無かったりで、なかなかタイミングが難しくて。オータムさんたちは、あまり他の人に知られてはいけない立場の人たちなんですよね?』

 

「あ、ああ。そうだな……」

 

 

直接会ったのは、ドイツのショッピングモールの事件の時だけだってのに、私達が表の世界に顔を出せないのを理解したのか……妙に鋭いな……。

 

 

『それじゃあ、そろそろ切りますね。これ以上は迷惑でしょうし』

 

「わ、わかった……」

 

『あ、そうそう。オータムさんって以外とおっちょこちょいなんですね。前にあった時とか男勝りな人だなぁという印象しかなかったんですが、かわいいところもあるんですね。っと、クラリッサが帰って来ちゃう。それではまた』

 

 

ブツッと通話が切れた。

なんだよあいつ、終わり際に……。

 

ああ、もう、気にしねぇ!酒だ酒!

 

冷蔵庫からワインのボトルを取り出した。その時、冷蔵庫に立てかけてあった鏡に私の顔が映る。

 

 

「な、なんで飲んでもいねえのに赤くなってんだよ!」

 

 

鏡は粉々になった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

僕が通話を切ったと同時にクラリッサが部屋に戻ってきた。

 

 

「将冴、まだ起きていたのか?」

 

「うん。もう寝るところだけどね。クラリッサは山田先生のところで何してたの?」

 

「少し勉強をな。通常科目も出来ていたほうがいいと思って」

 

「そっか。お疲れ様」

 

 

さて、着替えてもう寝よう。明日から、色々と大変になりそうだし。

 

 

「将冴」

 

「何?」

 

「一緒のベッドで寝ていいか?」

 

「ダメ」




お一人様ごあんなーい。

これが将冴クオリティ。誰も抗うことができないのさ!
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