とりあえず、今はシャルルの処遇について決めあぐねています。このままだと一夏ハーレムに入りそうにない……
簪さんの部屋のテレビの前で、箒とクラリッサがゲームキュー◯のコントローラーを手に白熱した争いを繰り広げていた。
「あ、篠ノ之!今攻撃されると私のワゴンが!?」
「私はロケットの練習をしているだけです!目の前に現れるハルフォーフ先生が悪いんです!」
はは、案の定友情破壊してるよ。
僕と簪は離れたところでお茶を飲みながらその様子を見ていた。僕と簪さんが参戦すると、初心者の箒とクラリッサをいじめてしまうため、高みの見物という感じだ。
「でも、将冴君。どうしていきなりゲームを……」
「箒が瞬時加速のイメージがしやすいかなぁと思ってね。クラリッサは物珍しさで楽しんでるだけだよ」
「ああ……」
なんとなく納得したような顔をする簪さん。何か通じるものがあったのかな。
「そういえば、打鉄弐式の方はどう?」
「もう少しで完成。姉さんも手伝ってくれたから、学年別トーナメントには間に合いそう」
「それは良かった。それじゃあ、トーナメントでは試合できるかもしれないんだね」
「うん。バーチャロンと試合できるのは、私も嬉しい」
簪さんは日本の代表候補生。技術もかなりのものだと聞いた。今から手合わせが楽しみだ。
「な、なんだこのデデデとか言う奴は!?将冴の愛機であるルインズが一撃で!?」
「ああ!私のロケットが!?」
お、早速大王様から洗礼をもらったみたいだね。そろそろ頃合いかな。
「どう、箒?なんとなく感じは掴めた?」
「あ、ああ。イメージは掴めた」
「それは良かった。それじゃあ今日の特訓はおしまい。いつまでもお邪魔するわけにはいかないからね」
「そうだな」
「簪さん、お邪魔してごめんね。今度改めてお礼させて」
「気にしないで。トーナメント、楽しみにしてる」
「うん。こちらこそ」
簪さんの部屋を出て、自室へ向かう。箒も同じ方向だから途中まで一緒だ。
ドドドド
ん?前の方からなにやらたくさんの足音が聞こえてくる。
5人……いや10人以上?
その足音はこちらに近づいてきて、その姿をあらわした。
『将冴君!』
「うえぇ!?」
「な、なんだ!?」
「暴徒か!?」
どうやら全員一年生。IS学園なので当然のごとく全員女子だ。
『私とペアになってください!』
「……えっと……どういうこと?」
「これ見て」
女子のうちの一人が、一枚のプリントを渡してくる。
そこには、学年別トーナメントをタッグトーナメントに変更する旨が書かれていた。
「あぁ〜、なるほど……」
「将冴君、ぜひ私とパートナーに!」
「いや、私と!」
「ここはお姉ちゃんと一緒に組もう?ね?」
「私が責任を持って腐らせてあげるから!」
毎度のごとく変なのが混ざってるけど、ガンスルーしておこう。しかし、タッグトーナメントか……一夏はシャルルと組むだろうし、セシリアさん、鈴は自分の友達と組むはず。そうなるとラウラと組むこともできるけど、ラウラとはトーナメントで戦うことを約束してしまったから……よし。
「ごめん、僕は箒と組む事にするよ」
「わ、私か!?」
「うん、今まで特訓してきたから、箒の実力はわかってるしね。箒がよければだけど」
「私は構わないぞ!将冴がいれば百人力だ」
「そういうわけだから、皆ごめんね」
そう言うと、僕とペアを組みたがっていた女子生徒たちは「しょうがないか」「男性陣は全滅だ」「お姉ちゃんとは認めてくれないんだね……」「ノンケだって構わないのに……」と口々につぶやきながら去っていった。最後の2つはなんなんだろう、本当に……。
「しかし、すごい剣幕だったな。いくつも戦場を体験してきたが、あんな修羅場は初めて見たぞ」
「はは……この世で一番恐ろしいのは女性っていうことかな……」
「将冴、本当に私で良かったのか?他の専用機持ちと組むことも……」
「それもいいとは思うけど、一緒に特訓してきたんだ。どうせなら、近くで成長を見たいからね」
「そうか……ありがとう、将冴」
礼を言われるようなことはしていないさ。さて、そうなると……
「明日からはハードメニューかな。まずは瞬時加速を明日でマスターしよう」
「き、急すぎやしないか!?」
「将冴……黒いぞ……」
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翌日、職員室前でクラリッサと別れ教室に行くと一夏とシャルルが2人で話していた。トーナメントのことかな。
「おはよう、二人とも」
「おう、おはよう」
「おはよう、将冴」
「タッグトーナメントのことでも話してたの?」
「ああ、俺はシャルルと組むことにしたよ。例の件もあるしな。事情知ってる俺か将冴が組んだ方いいだろ?」
ちゃんとわかっているようだった。色恋沙汰以外ならこんな風に気を配れるのになぁ……。
「将冴はもうペア決めたの?」
「うん、箒とね」
「そういや最近2人で特訓してるみたいだもんな。タッグトーナメント、負けないからな」
「まずはサシの勝負に勝ってから言ってね。僕も箒も、全力で勝ちに行くから」
一夏と拳をぶつけ合う。
箒は近接戦闘に関しては一夏と並ぶだけの力を持ってる。あとはテクニックの方を伸ばせば……
「勝負を楽しむのはいいけど、僕達は優勝しないと面倒なことになるからね……」
「どういうこと?」
「あれ、将冴は知らなかった?なんか、今回のトーナメントで優勝した人は景品として僕、一夏、将冴と付き合えるって噂が流れてるんだよね」
「……へ?」
どうしてそうなった……いや、意味がわからないぞ?
「でも、付き合えるって買い物とかに俺らが付き合わされるだけだろ?それのどこが景品なんだ?」
「「はぁ……」」
僕とシャルルが同時にため息をつく。全くこの鈍感王子は……。
「シャルルさん、聞きました?今の」
「聞いた聞いた。とても年頃の男子のセリフとは思えないね」
「「はぁ……」」
「なんだよ二人とも!何かあるなら直接言えよ!」
「なんでもないよ、一夏」
「そうそう、なんでもない」
ため息が止まらないや……。
「そういえば、将冴……あの件は……」
シャルルが小声で聞いてくる。
「大丈夫、シャルルは何も気にせずにトーナメントに集中して。トーナメントが終わる頃に、全部終わるから」
「う、うん……」
と、その時。教室の扉がバンッと乱暴に開かれた。そこには箒が息を切らして立っていた。
「箒、どうした?なんか息切れてるけど……」
「箒?」
「将冴、少しいいか」
「え、あ、うん」
呼ばれたので箒についていく。本当に何が……。
連れてこられたのは人気のない廊下の隅。箒は真剣な表情をこちらに向けている。
「将冴、タッグトーナメントの優勝景品の話、聞いたか?」
「一夏とか僕とかシャルルと付き合えるってやつ?」
「ああ、そうだ。それなんだが……」
なにやらバツの悪そうな顔をする箒。
もしかして……。
「多分、噂の発端は私だ」
「それはどういう意味?」
「実はな、2日ほど前に一夏にこう言ったんだ。『学年別トーナメントで優勝したら付き合ってもらう』と……」
「ああ〜……」
その現場を誰かに見られて、その人が話を広めたらこうなってしまったと……完全に僕とシャルルはとばっちりだね。
しかし、これで箒がトーナメントまでに強くなると言っていた理由がわかった。
そして、箒には気の毒だけど……
「一夏はなんて答えていた?」
「わかったと言っていたが……」
「多分買い物に付き合ってくれとか、そういうことと勘違いしてる」
箒の顔が絶望と悲しみを含んだ顔になる。
なんというか……御愁傷様。
「一夏、ちゃんと伝えても伝わらないっていうドが付くほどの鈍感だから……それで何人の女の子が泣いたことか……」
「そ、そんな……」
そんな泣きそうな顔しないで……。
「こうなったら、何としても優勝して一夏にわからせないとね」
「将冴?」
「箒、特訓の成果を一夏に思い知らせよう。全力をもってね……」
一夏、女の子の気持ちがわからない君にはお仕置きが必要だね……。
「将冴、なんか怖いぞ……」
次回から学年別トーナメント。原作とはかなりの変わると思います。
はぁ……戦闘シーンかけるかなぁ……