フェイフェイだよー←
箒とピットに戻ると、手のひらで鼻を押さえ、指の間からドボドボと血を流しているクラリッサが待っていた。
「さすがはわたしの将冴。GJ」
「ハルフォーフ先生!?何があったんですか!?」
「気にするな篠ノ之」
箒にそう言いながら鼻にティッシュを詰めるクラリッサ。
僕はISを待機状態にし、義肢を全てつける。
「クラリッサ」
「将冴、よかったな。作戦は大成功……」
「覚悟はできてるね?」
「……へ?」
クラリッサの首根っこを掴み物陰まで引きずる。
「し、将冴!?これは一体どういうことだ!」
「いらない指示を出す悪い子にはお仕置きが必要だからね」
「今までにないくらい黒いぞ将冴!じ、慈悲を」
「そんなものはありません」
「篠ノ之ぉ〜!助けてくれ!?」
「ハルフォーフ先生、申し訳ないのですが、それはできません……」
「そんなぁ!?」
さぁ、楽しい楽しいお仕置きの時間だ。
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「あ……ああ……」
放心状態でピクピクしながら床に突っ伏するクラリッサ。全く、自業自得だ。
僕は手をパンパンと埃を払うように叩く。
「将冴……ハルフォーフ先生に何を……」
「知りたい?」
「いや、やめておく」
真っ青な顔で拒否する箒。
まぁ、クラリッサのことを擽り続けただけなんだけど。
僕の隠し技だ。今まで使ったのは一夏と鈴くらいだったかな。
さて、そろそろピットから出ないと……
バンッ!
「将冴!さっきのやつどういうことよ!?」
鈴が乱暴に扉を開けて入ってくる。その後ろにはセシリアさんもいる。
「あんなものがあるなんて、私聞いてませんわ!」
「どういうことか説明しなさい……って、なんでハルフォーフ先生倒れてんの?」
「ああ、ちょっとお仕置きをね」
「あんた、まさか……」
「久々にしてあげようか?鈴」
「え、遠慮するわ……」
っと、話が逸れた。フェイ・イェンのことだっけ?
あんまり触れてほしくないんだけど……。
「将冴さん、なんでそんな悲しみをたたえた目をしているんですの……?」
「ああ……気にしないで。フェイ・イェンのことだっけ?あれはバーチャロンの5つあるうちのフォームの一つだよ。コンセプトは速度……終わり」
「それだけ!?」
「もっと他にいうことはありませんの!?」
「他って……完全に束さんの趣味としか……」
話しているうちにテンション下がってきた……なんかどうでもよくなってきた……。
「5つあるうちってことは……」
「いつも使っているテムジン、クラス対抗戦で球体を倒したライデン、練習で何度か使っていたアファームド、そしてフェイ・イェン。あと一つあるということだな」
「将冴さん。あと一つ、ここで見せていただけます?」
あと一つか……まぁ見せてもいいんだけど、あのフォームはなぁ……。
「別にいいけど、僕もよくわからないフォームだから、説明はできないよ?」
バーチャロンを展開し、最後のフォームを呼び出す。
「フォームチェンジ『スペシネフ』」
展開されたのは、大きな翼。鋭い爪。銃と鎌が一緒になったビームサイズ。そして、骸骨のような頭部だった。
「これが、最後のフォーム?」
「やけに禍々しいですわね……」
「見ているだけで、胸が締め付けられるような感じがする」
このスペシネフはとにかく禍々しい雰囲気を漂わせる機体だ。束さん曰く、僕の両親はこれをデータの隅に追いやっていたという。危険だから、そういう措置を取ったんだろうけど、この機体……
『システムエラー、システムエラー。待機モードに移行します』
スペシネフは粒子化し、待機状態のピアスに戻る。
僕は義足をつけて、地面に着地した。
「システムエラーって、どういうこと?」
「スペシネフは何回出しても今みたいにシステムエラーを起こして待機状態に戻っちゃうんだ。動かすことができず、性能を確かめることができない。だから、普段は全く使わないんだ」
「しかし、そんな不完全なものを姉さんが作るだろうか……」
「束さんが言うには、スペシネフはこれで完成しているんだ。数字の上での性能は、他のフォームをはるかに凌ぐらしい。たしか、他のフォームとはインターフェースが違うとかなんとか……」
「ふぅん……なんか、面倒な機体ね」
「まぁね。さ、早くここを出よう。次の試合の選手が来ちゃうから」
車椅子を呼び出して座り、義足を粒子化しながら三人に退室するように促す。
今日はあともう一試合あったはず……フェイ・イェンは使わないからね。
あ、一夏とシャルルの試合を見とかないと。シャルルの戦い方を研究だ。
「将冴、ハルフォーフ先生はあのままでいいのか?」
「そのうち気がつくからいいでしょ。お仕置きだし」
「ハルフォーフ先生、どうなさったのでしょう……」
「セシリア、そこには触れないほうが身のためよ」
ちょいと短いですが、こんな感じで。
将冴の超絶テク(擽り)で悶えて涙目になるクラリッサ可愛い。